ニューヨーク市では、10月1日から5月31日までが「ヒートシーズン」で、建物の所有者には暖房を入れる法律上の義務があります。日中(6時〜22時)は外気が55°F(約12.8℃)を下回ったら室内を68°F(約20℃)以上、夜間(22時〜6時)は外気に関係なく62°F(約16.7℃)以上に保つ決まりです。
給湯は季節を問わず、1年365日、120°F(約48.9℃)以上です。市の住宅保存開発局(HPD)の暖房と給湯の案内に、この基準と苦情の出し方がまとめられています。
- 暖房の義務は10月1日から5月31日まで。日中68°F、夜間62°Fが最低の室温です
- 古い建物は蒸気の暖房が多く、温度は建物側が決めます。暑すぎることもあります
- 暖房が来なければ、管理人に伝えたうえで311へ。苦情は匿名でも出せます
- 貸す側の違反は、裁判所の民事罰が1日250〜500ドルから積み上がります
駐在で借りる方にとっては冬の住み心地の話で、日本から物件を持って貸している方にとっては、守らないと罰金が日ごとに積み上がる義務の話です。
本日はニューヨークのアパートの暖房について見ていきましょう。
1. 暖房はいつから、何度まで。市が決めている最低温度

時間帯で基準が分かれる
基準は時間帯で2つに分かれます。日中は「外が寒いときだけ」、夜間は「外の気温に関係なく」です。
日中の違反は、検査員がその場で測った外気温が55°F未満のときにしか出ません。春や秋の暖かい昼に室内が68°Fを下回っていても、違反にはなりません。
| 時間帯 | 外気温の条件 | 室内の最低温度 | 摂氏の目安 |
|---|---|---|---|
| 日中(6時〜22時) | 55°F(約12.8℃)未満のとき | 68°F | 約20℃ |
| 夜間(22時〜6時) | 条件なし | 62°F | 約16.7℃ |
| 給湯(1年中) | 条件なし | 120°F | 約48.9℃ |
ニューヨーク市住宅保存開発局(HPD)の案内をもとに作成。摂氏は換算した目安です。
苦情の数は増えている
暖房の苦情は毎冬、市に大量に届きます。HPDの公表では、2026年5月31日に終わったシーズンの苦情は344,437件で、その前のシーズンの282,606件から約22%増えました。
寒波の日には、同じ建物の多くの住戸で一度に暖房が止まることもあります。冬の住み心地は、建物の設備と管理で大きく変わります。
2. スチーム暖房とは。古い建物の暖房の実情

ボイラーで建物全体を温める
ニューヨークの古い集合住宅では、地下のボイラーで作った蒸気や温水を、各部屋の放熱器(ラジエーター)へ送る方式がよく使われています。温度を決めるのは建物側で、住戸ごとに細かく調整できないことが少なくありません。
そのため冬に部屋が暑くなりすぎ、窓を少し開けて調整する住戸もあります。配管がカンカンと鳴る音も、蒸気の暖房ではよく起きます。
新しい建物は住戸ごとに調整する
新しい建物には、住戸ごとに温度を設定できる電気式の空調を備えたものが増えています。自分で温度を決められる一方、暖房の費用は電気代として自分で払う形になります。
契約の前に、暖房費が家賃に含まれるか、電気代として自分で払うか、温度を自分で調整できるかを確かめます。同じ家賃でも、冬の光熱費と快適さが変わります。
HPDによると、灯油ストーブとプロパンガスのストーブはニューヨーク市では違法です。電気ストーブは延長コードを使わず壁のコンセントに直接差し、寝るときと部屋を出るときは抜きます。家具やカーテンからは3フィート(約90cm)以上離し、ガスコンロで部屋を暖めることもしません。
3. 暖房が来ないとき。311への連絡と市の検査

まず管理人、次に311
HPDの案内では、まず建物の管理人(スーパー)か貸主に連絡します。直らなければ311に苦情を出します。苦情は匿名でも出せます。匿名の場合、検査員は建物の中から住戸を選んで検査します。
- 管理人か貸主に、暖房や給湯が来ていないことを伝えます。
- 日時と室内の温度を書き留めておきます。
- 直らなければ、電話か311のウェブサイトから苦情を出します。
- HPDが所有者に連絡し、直っていなければ検査員が室温と外気温を測ります。
- 基準を下回れば違反が出ます。所有者が直さなければ、市の緊急修理プログラムが業者を手配し、費用を所有者に請求します。
室内が日中64°F(約17.8℃)、夜間58°F(約14.4℃)を下回っていた場合は、修理費に加えて関連の手数料も所有者に請求されます。
借りる前に違反の履歴を見る
建物に暖房の違反や訴訟が出ているかは、HPDONLINEで住所から調べられます。内見の前に見ておくと、その建物の冬の様子をつかめます。部屋探しの流れはニューヨークの賃貸ガイドにまとめています。
4. 貸す側の義務と罰則。日本から所有して貸している場合

罰金は日ごとに積み上がる
HPDは暖房と給湯の違反について、住宅裁判所で民事罰を求めることができます。違反の通知が掲示された日から直るまで、最初の違反は1日250〜500ドル、同じ建物での2回目以降は1日500〜1,000ドルです。
条件を満たす最初の違反なら、24時間以内に直して是正を届け出たうえで、10日以内に250ドルを納めれば、民事罰に代えられます。
同じシーズンで違反になった検査の3回目以降は、1回200ドルの検査料が民事罰とは別にかかります。検査料は市の財務局の四半期ごとの請求に載り、払わなければ物件の担保(リーエン)になります。
冬の連絡体制を先に決める
日本から所有している場合、入居者からの「暖房が来ない」という連絡を、夜間や週末に誰が受けて誰が業者を呼ぶかを決めておくことが実務の中心です。
コンドミニアムの1戸を貸していて、建物全体のボイラーで暖房している場合、設備は管理組合の管理ですが、入居者にとっての窓口は貸主です。建物の管理会社と、住戸の管理を頼む会社の連絡経路をつないでおきます。管理会社の選び方は日本にいながらニューヨークの賃貸を回す方法で詳しく書いています。
まとめ

暖房は建物の管理を映す
ニューヨークの暖房は、10月1日から5月31日まで、日中68°F、夜間62°F、給湯は1年中120°Fという市の基準で守られています。
借りる方は、契約前に暖房費の扱いと温度の調整方法、HPDONLINEの違反履歴を確かめます。貸す方は、違反が日ごとの罰金になることを前提に、冬の連絡体制を決めておきます。
入居が決まったあとの手続きは、電気、ネット、保険、搬入の予約の記事をご覧ください。
よくある質問
ニューヨークの暖房はいつから入りますか。
ニューヨーク市の暖房の義務は10月1日から5月31日までです。この期間、日中(6時〜22時)は外気が55°F(約12.8℃)を下回れば室内68°F(約20℃)以上、夜間(22時〜6時)は外気に関係なく62°F(約16.7℃)以上に保つ決まりです。
部屋が暑すぎるときはどうすればよいですか。
蒸気の暖房は建物側が温度を決めるため、住戸ごとに細かく調整できないことがあります。まず管理人に相談し、放熱器の調整ができるか確かめてください。窓を少し開けて調整している住戸もあります。
暖房が来ないときは、どこに連絡しますか。
まず建物の管理人か貸主に伝えます。直らなければ311に電話するか、311のウェブサイトやアプリから苦情を出します。苦情は匿名でも出せ、市の住宅保存開発局(HPD)が所有者への連絡と検査を行います。
貸している物件で暖房の違反が出ると、いくらかかりますか。
HPDは住宅裁判所で民事罰を求めることができ、最初の違反は1日250〜500ドル、同じ建物での2回目以降は1日500〜1,000ドルです。同じシーズンに違反になった検査の3回目以降は、1回200ドルの検査料も別にかかります。
冬の暖房は、建物の設備と管理の質がそのまま出るところです。駐在の部屋探しでは内見前に違反の履歴まで確かめ、貸す側には冬の連絡体制からお手伝いします。
本ページの相場、利回り、所要時間などの数値は、一般に公開されているデータや当社の取引経験にもとづく目安です。物件、時期、条件によって実際とは異なる場合があり、当社が正確性および最新性を保証するものではありません。犯罪発生状況はニューヨーク市警などの公的機関が地区ごとの統計を公開しているため、そちらの数字をご確認ください。当社は入居者や購入者の国籍、人種、出身、宗教、家族構成によって物件やエリアをお勧めすることはいたしません。本ページの内容は情報提供のみを目的としており、投資勧誘や税務助言には当たりません。

















