ニューヨーク市の募集家賃の中央値は、2026年9月時点で月4,150ドルです。マンハッタンの1ベッドルームは月4,940ドルで、1年前より11%上がりました。
高い理由のいちばん大きなものは、借りられる部屋がほとんど空いていないことです。市の住宅・空室調査では、2023年の賃貸の空室率は1.41%でした。100戸のうち、借り手を募集している空室は1.4戸しかない計算です。そのうえ賃貸の約4割は家賃の上げ幅が規制された住戸で、新しく部屋を探す人が選べる範囲はさらに狭くなります。
- 2023年の賃貸の空室率は1.41%。2021年の4.54%から大きく下がりました
- 空室率が5%を下回る限り「住宅緊急事態」とされ、家賃安定化の制度が続きます。いまの期限は2027年4月1日です
- 募集家賃の中央値は2019年9月から約4割上がり、市全体で月4,150ドルです
- 貸す側には、需要の強さと規制の強さが同時にあります
本日はニューヨークの家賃が高い理由について見ていきましょう。
1. 空室率1.41%。借りられる部屋がほとんど空いていない

市の調査が示す数字
ニューヨーク市は、法律に基づいて定期的に住宅・空室調査(NYCHVS)を行っています。2023年の調査結果では、賃貸の空室率は1.41%でした。賃貸住戸235万7,000戸のうち、借り手を募集していた空室は3万3,210戸です。
2021年の空室率は4.54%でした。市は2023年の数字を、1965年の調査開始以来もっとも低い水準の一つとしています。
安い部屋ほど空いていない
空室率は、家賃の水準と住戸の種類で差があります。以下は市の調査から、誤差の小さい区分を抜き出した表です。
| 区分 | 2021年 | 2023年 |
|---|---|---|
| 市全体 | 4.54% | 1.41% |
| マンハッタン | 10.01% | 2.33% |
| 募集家賃が月1,650ドル未満 | 0.90% | 0.65% |
| 募集家賃が月1,650ドル以上 | 7.57% | 2.16% |
| 家賃安定化住戸 | 4.57% | 0.98% |
| 市場賃料の住戸 | 5.29% | 1.84% |
※市の住宅・空室調査(2023年、調査期間は1月から6月中旬)による賃貸の空室率です。他の区は標本の誤差が大きいため載せていません。
2. 空室率が5%を下回る限り、家賃安定化が続く

3年ごとの「住宅緊急事態」の判断
家賃安定化は、州の法律に基づいて市が続けている制度です。市議会の発表によれば、市議会は3年ごとに住宅緊急事態が続いているかを判断します。基準は、賃貸の空室率が5%未満であることです。
2024年3月、市議会は2023年の調査結果をもとに緊急事態の継続を決め、家賃安定化の期限を2027年4月1日まで延ばしました。空室率1.41%は、基準の5%を大きく下回っています。
賃貸の41%が規制の対象
2023年の家賃安定化住戸は99万6,600戸で、賃貸住戸の41%にあたります。主に1974年より前に建った6戸以上の賃貸建物の住戸が対象です。
家賃安定化住戸の空室率は0.98%で、市場賃料の住戸(1.84%)より低い数字です。新しく部屋を探す人が実際に選べるのは、多くが市場賃料の住戸ということになります。
住んでいる人が払っている家賃と、いま募集されている家賃は別物です。2023年の調査では、賃貸住戸全体の家賃の中央値は月1,641ドルでした。2026年9月の募集家賃の中央値4,150ドルとは調べ方も時期も違うため単純には比べられませんが、長く住む人の家賃と、新しく借りる人の家賃には大きな開きがあります。
3. 募集家賃は2019年から約4割上がった

区ごとの推移
賃貸サイトStreetEasyが公開しているデータから、全間取りの募集家賃の中央値を並べました。
| 地域 | 2019年9月 | 2025年9月 | 2026年9月 | 1年の変化 |
|---|---|---|---|---|
| 市全体 | 2,950ドル | 3,995ドル | 4,150ドル | +3.9% |
| マンハッタン | 3,529ドル | 4,625ドル | 4,995ドル | +8.0% |
| ブルックリン | 2,700ドル | 3,800ドル | 3,945ドル | +3.8% |
| クイーンズ | 2,300ドル | 3,246ドル | 3,400ドル | +4.7% |
| ブロンクス | 2,000ドル | 3,000ドル | 3,060ドル | +2.0% |
※StreetEasyの募集家賃の中央値(全間取り、月額)。スタテンアイランドは掲載件数が少なく月ごとの振れが大きいため除いています。
2019年9月と比べると、市全体もマンハッタンも約4割上がっています。間取りや地域ごとの実額はニューヨークの家賃相場にまとめています。
審査で求められる年収
入居審査では、年収が月額家賃の40倍以上あることを求める家主が多くあります。マンハッタンの1ベッドルームの中央値4,940ドルなら、年収19万7,600ドルです。届かない場合の方法は保証人と保証会社の記事で整理しています。
2025年6月11日に施行された市のFARE法で、家主側の仲介業者は借り手に仲介手数料を請求できなくなりました。借り手が自分で依頼した仲介業者への支払いは別です。家主側には、手数料以外に借り手が払う費用を書面で示す義務もあります。
4. 買う人、貸す人にとって何を意味するか

需要は強く、規制も強い
空室率1%台という数字は、市場賃料の住戸を貸す側から見れば、借り手が見つかりやすい市場だということです。一方で、家賃安定化住戸を含む建物では、家賃の上げ幅を家賃ガイドライン委員会が決めます。
委員会のOrder 58は、2026年10月1日から2027年9月30日までに始まる契約について、1年契約、2年契約とも上げ幅を0%としました。規制住戸の家賃収入は、この期間の更新では増えません。対象になる住戸の見分け方はニューヨークの家賃凍結(2026年)にまとめています。
買う前、貸す前に確かめること
- その住戸が家賃安定化の対象かどうか。州の住宅・地域再生局(DHCR)に家賃の登録があるかで確かめます
- 規制住戸が含まれる建物なら、規制住戸の数と登録家賃、更新の時期
- 市場賃料で貸す住戸なら、周辺の同じ間取りの募集家賃
- 募集を誰に任せ、仲介の費用を誰が負担するか
規制住戸を含む建物を買う場合の考え方は、ニューヨークの賃料規制物件を買うとどうなるかで詳しく扱っています。
まとめ

高い理由は、空いていないこと
ニューヨークの家賃が高いのは、借りられる部屋がほとんど空いていないためです。2023年の空室率は1.41%で、家賃安定化の制度を続ける基準である5%を大きく下回っています。
賃貸の41%が規制住戸で、新しく部屋を探す人の多くは市場賃料の住戸から選びます。その募集家賃の中央値は、2019年から約4割上がりました。
借りる側は、年収の40倍という審査の目安と初期費用を先に確かめておくと、部屋探しが早く進みます。買う側、貸す側は、需要の強さと規制の強さを両方見たうえで、住戸ごとに規制の有無を確かめることが出発点になります。
よくある質問
ニューヨークの家賃が高いのはなぜですか。
借りられる部屋がほとんど空いていないためです。市の住宅・空室調査では、2023年の賃貸の空室率は1.41%でした。賃貸の41%は家賃の上げ幅が規制された住戸で、その空室率は0.98%とさらに低く、新しく部屋を探す人の多くは市場賃料の住戸から選ぶことになります。
空室率と家賃安定化はどう関係していますか。
市議会は3年ごとに住宅緊急事態が続いているかを判断し、その基準は賃貸の空室率が5%未満であることです。2024年3月に2023年の調査結果をもとに継続が決まり、家賃安定化の期限は2027年4月1日まで延びました。
募集家賃の中央値はいくらですか。
StreetEasyの集計では、2026年9月の全間取りの中央値は市全体で月4,150ドル、マンハッタンで4,995ドルです。マンハッタンの1ベッドルームは4,940ドルでした。2019年9月と比べると、市全体もマンハッタンも約4割上がっています。
市場賃料で貸しているコンドミニアムは家賃凍結の対象になりますか。
家賃ガイドライン委員会の決定が及ぶのは家賃安定化住戸です。市場賃料の住戸は対象外で、家賃は契約と市場で決まります。ただし規制の有無は住戸ごとに決まるため、州の住宅・地域再生局(DHCR)に家賃の登録がないかを確かめておくと確実です。
本ページの相場、利回り、所要時間などの数値は、一般に公開されているデータや当社の取引経験にもとづく目安です。物件、時期、条件によって実際とは異なる場合があり、当社が正確性および最新性を保証するものではありません。犯罪発生状況はニューヨーク市警などの公的機関が地区ごとの統計を公開しているため、そちらの数字をご確認ください。当社は入居者や購入者の国籍、人種、出身、宗教、家族構成によって物件やエリアをお勧めすることはいたしません。本ページの内容は情報提供のみを目的としており、投資勧誘や税務助言には当たりません。

















