ニューヨーク市では、2030年6月1日から、賃貸住宅の所有者に冷房を用意する義務がかかります。入居者が申し出た寝室を、6月15日から9月15日まで室温78°F(約25.6℃)以下に保てる冷房が対象です。根拠は2026年1月に成立した市の地方法2026年第23号で、法律の正文は市の建築局が公開しています。
これまでニューヨーク市には、冬の暖房の義務はあっても、夏の冷房の義務はありませんでした。コンドミニアムの1戸を貸している区分所有者も義務を負うため、借りる方だけでなく、日本から物件を持って貸している方にも関わる法律です。
- 2030年6月1日から、入居者が申し出た寝室に、所有者が78°F以下を保てる冷房を用意します
- 申し出の受付は2028年3月1日から。申し出から60日後に、その寝室が義務の対象になります
- コンドは区分所有者、コープは株主が「所有者」として義務を負います
- 2028年3月1日以降の賃貸契約には、冷房の電気代を誰が払うかを書きます
本日はニューヨークのアパートの冷房の義務について見ていきましょう。
1. 新しい法律の中身。2030年から寝室に冷房

何が義務になるのか
法律は、住宅の維持管理を定める市の住宅維持法に、暖房と給湯の章に並べて冷房の条文を加えました。義務の中心は、入居者が申し出た寝室に、冷房の期間中、十分に冷やせる冷房を備えておくことです。
「十分な冷房」は、床から3フィート(約90cm)以上の高さ、外壁から3フィート以上離れた位置で、室温を78°F以下に保てることと定められています。対象の部屋は、住む人がふだん寝る場所として使う部屋です。
対象になる建物
対象は、集合住宅と、入居者が住む1〜2世帯住宅です。義務がかかるのは入居者が住んでいる住戸で、所有者が自分で住んでいる住戸は対象になりません。市が緊急の一時住宅として使う建物は外されています。
建物全体の空調を所有者が動かし、電気代も所有者が払っている建物では、申し出を待たずに、2030年の夏から寝室ごとに十分な冷房を届ける義務があります。
2. 入居者の申し出と、手続きの日付

申し出は2028年3月1日から
窓用エアコンのような個別の冷房は、入居者が寝室ごとに申し出た場合に義務がかかります。申し出は市の住宅局(HPD)が定める方法で行い、HPDは10日以内に所有者へ対象の部屋と開始日を知らせます。日付の流れは次のとおりです。
- 2028年1月1日までに、HPDが入居者向けの通知を英語と市の指定言語でウェブサイトに出します
- 2028年3月1日から、入居者が寝室ごとに申し出られます。義務は申し出から60日後に始まります
- 2028年3月1日から2029年9月1日までの間に、所有者が通知を各住戸に配り、建物に掲示します
- 2030年6月1日から所有者の義務が始まり、2031年6月1日からは年1回の点検と記録が加わります
契約書に書くこと
2028年3月1日以降に結ぶ新規と更新の賃貸契約には、冷房の電気代を誰が払うかを明記し、HPDの通知を目立つ形で添えることが求められます。
| 日付 | 起きること | 誰が |
|---|---|---|
| 2028年1月1日まで | 入居者向けの通知を公開 | HPD |
| 2028年3月1日から | 寝室ごとの申し出の受付。新規と更新の契約に電気代の負担者と通知を記載 | 入居者、所有者 |
| 2029年9月1日まで | 通知を各住戸に配り、建物に掲示 | 所有者 |
| 2030年6月1日から | 申し出のあった寝室に冷房を用意 | 所有者 |
| 2031年6月1日から | 冷房の年1回の点検と記録 | 所有者 |
地方法2026年第23号の正文をもとに作成しました。
3. 誰が用意し、誰が払うのか

コンドは区分所有者、コープは株主
法律の「所有者」は原則として建物の所有者ですが、コンドミニアムの住戸は区分所有者、コープの住戸は占有賃貸借契約に名前のある株主と定められています。日本からコンドを1戸持って貸している場合、冷房を用意するのは管理組合ではなく、その住戸の所有者です。
個別の冷房は、部屋の床面積1平方フィートあたり毎時20BTU以上の能力が基準で、能力の表示が本体の前面に見えることが条件です。150平方フィート(約14平方メートル)の寝室なら、毎時3,000BTU以上になります。窓に付ける場合は市の設置の規則に従います。
家賃安定化の住戸では、冷房の工事とそれに伴う家賃の上乗せに、州の決まりに沿った入居者の同意が要ります。HPDの通知にも、冷房の設置で規制家賃が上がる場合があると書かれます。また、非常階段に出る窓をふさぐ冷房を付ける義務はありません。窓と非常階段の決まりはアパートの窓と非常階段にまとめています。
間に合わないときの延長と、違反の重さ
費用の負担が大きい、大規模な改修や電気容量の増強が要る、建物がランドマークや歴史地区に指定されている、といった事情があれば、所有者はHPDに延長を申請できます。延長は2年ごとで、条件が続けば更新できます。
義務を守らない場合は、住宅維持法で最も重い「C類」の違反として扱われ、通知から14日以内に直す必要があります。
4. なぜ冷房が義務になったのか。暑さと住まい

市の保健局の数字
市の保健局の2026年の暑さと死亡の報告によると、毎年夏に約500人のニューヨーク市民が暑さのために早く亡くなっています。2025年に熱中症で亡くなった人は21人(暫定値)で、発症の場所が分かる人の48%は自宅でした。
エアコンの有無が分かった25人のうち、エアコンを持っていた人、使っていた人はいませんでした。報告は、自宅で冷房を使えないことが、熱中症で亡くなる大きな危険要因だとしています。
借りる方、貸す方が今から確かめること
- 借りる方は、冷房が建物の空調か、壁の埋め込み式か、窓用かを内見で確かめる
- 電気代が家賃に含まれるか、自分で契約するかを確かめる
- 貸す方は、寝室ごとに必要な冷房の能力と、建物の電気容量を確かめる
- コンドとコープでは、窓用エアコンの付け方に建物の規約がないかを確かめる
- 2028年以降の契約書のひな形に、電気代の負担者を書く欄を用意する
窓用エアコンの付け方は月別の気温と住まいの備えに、電気代の目安はニューヨークの電気代に、契約の流れはニューヨークの賃貸契約ガイドにまとめています。
まとめ

2030年までに、寝室ごとの冷房を整える
ニューヨーク市の地方法2026年第23号で、2030年6月1日から、入居者が申し出た寝室に所有者が78°F以下を保てる冷房を用意する義務ができました。申し出は2028年3月1日から受け付けられ、同じ日から結ぶ契約には冷房の電気代の負担者を書きます。
コンドを貸している方は、区分所有者として自分が義務を負います。借りる方は内見で冷房の方式と電気代を、貸す方は寝室ごとの能力と電気容量を、早めに確かめておくと安心です。
よくある質問
ニューヨークの賃貸に冷房を付ける義務はいつからですか。
市の地方法2026年第23号で、2030年6月1日から所有者の義務になります。入居者が寝室ごとに申し出ると、その寝室を6月15日から9月15日まで室温78°F(約25.6℃)以下に保てる冷房を用意します。申し出は2028年3月1日から受け付けられ、申し出から60日後に義務が始まります。
コンドミニアムを貸している場合、誰が冷房を用意するのですか。
法律ではコンドの住戸は区分所有者、コープの住戸は占有賃貸借契約に名前のある株主が所有者です。日本からコンドを1戸持って貸している場合は、管理組合ではなく、その住戸の所有者が冷房を用意します。
冷房の電気代は誰が払うのですか。
法律は負担者を一律には決めていません。2028年3月1日以降に結ぶ新規と更新の賃貸契約に、冷房の電気代を誰が払うかを明記することを求めています。HPDは、入居者が冷房を動かす費用を抑えるための機器の基準を規則で定めます。
義務を守らないとどうなりますか。
住宅維持法で最も重いC類の違反として扱われ、通知から14日以内に直す必要があります。費用の負担が大きい、電気容量の増強が要る、ランドマークに指定されているといった事情があれば、2年ごとの延長を申請できます。
本ページの相場、利回り、所要時間などの数値は、一般に公開されているデータや当社の取引経験にもとづく目安です。物件、時期、条件によって実際とは異なる場合があり、当社が正確性および最新性を保証するものではありません。犯罪発生状況はニューヨーク市警などの公的機関が地区ごとの統計を公開しているため、そちらの数字をご確認ください。当社は入居者や購入者の国籍、人種、出身、宗教、家族構成によって物件やエリアをお勧めすることはいたしません。本ページの内容は情報提供のみを目的としており、投資勧誘や税務助言には当たりません。

















