アメリカの犯罪率は、FBI(連邦捜査局)が2026年8月に公表した2025年の統計で、暴力犯罪が人口10万人あたり327.6件でした。前の年から9.7%下がり、FBIは記録が残る中で最も大きな下げ幅だと説明しています。殺人は人口10万人あたり4.1件で、1955年と1956年に並ぶ低さでした。
ただし、全米の平均がそのまま当てはまる州はありません。2025年の暴力犯罪の率は、メイン州の95.3件からアラスカ州の736.2件まで、州によって7倍以上の開きがあります。同じ州、同じ市の中でも数字は大きく違うため、州の数字だけで、住む場所や出張先での備えは決まりません。
本日は、FBIの2025年の数字を犯罪の種類別と州別に並べ、数字の読み方と、外務省・在ニューヨーク日本国総領事館の安全情報の使い方を見ていきましょう。
1. 全米の犯罪率(FBI、2025年)

犯罪の種類ごとの件数と率
FBIの数字は、全米の警察などの法執行機関が報告した件数をもとに、報告が欠けた部分を推計で補ったものです。2025年は、報告した機関の管轄が全米の人口の96%以上に及んでいます。発表はFBIの2025年の統計公表で、元の数字はFBIの犯罪データ・エクスプローラー(Crime Data Explorer)で見られます。
犯罪は大きく、暴力犯罪(殺人、強制性交、強盗、加重暴行)と財産犯罪(侵入窃盗、窃盗、自動車盗)に分けて集計されます。
以下は、2025年の全米の推計件数と人口10万人あたりの率をまとめた表です。
| 犯罪の種類 | 2025年の推計件数 | 人口10万人あたり | 前年からの変化(件数) |
|---|---|---|---|
| 暴力犯罪の合計 | 1,119,768件 | 327.6件 | 9.3%減 |
| 殺人 | 14,085件 | 4.1件 | 18.1%減 |
| 強制性交 | 123,332件 | 36.1件 | 7.6%減 |
| 強盗 | 168,927件 | 49.4件 | 18.5%減 |
| 加重暴行 | 813,424件 | 238.0件 | 7.2%減 |
| 財産犯罪の合計 | 5,245,768件 | 1,534.8件 | 12.4%減 |
| 侵入窃盗 | 661,800件 | 193.6件 | 2021年から24.3%減 |
| 窃盗 | 3,910,502件 | 1,144.1件 | 9.8%減 |
| 自動車盗 | 673,466件 | 197.0件 | 22.7%減 |
※上記は、FBI「Reported Crimes in the Nation, 2025」の推計値です。強制性交と侵入窃盗の率は、同じ資料の件数と人口から当社が計算しました。侵入窃盗は前年比が示されていないため、2021年との比較を載せています。
10年で見た変化
2016年と比べると、2025年の暴力犯罪の件数は12.6%、財産犯罪は33.6%少なくなっています。侵入窃盗は2016年の半分以下(56.2%減)です。一方、加重暴行は2016年より1.5%多く、暴力犯罪の7割強(72.6%)を占めています。
統計に載るのは、警察に届けられた事件だけです。届けられなかった被害は、司法統計局の全米犯罪被害調査(NCVS)が別の方法で推計しています。
2. 州ごとの犯罪率

州ごとの数字は、FBIの犯罪データ・エクスプローラーで州と年を選ぶと確認できます。当社は2026年10月15日更新のデータから、50州とワシントンD.C.の2025年と2024年の数字を取り出しました。
率が低い州と高い州
2025年の暴力犯罪の率が低いのは、メイン州95.3件、コネチカット州111.2件、ニューハンプシャー州119.2件、ロードアイランド州146.4件でした。高いのはアラスカ州736.2件、ニューメキシコ州651.1件、アーカンソー州535.7件で、首都のワシントンD.C.は806.5件です。
ニューヨーク州は367.6件、隣のニュージャージー州は198.4件でした。ニューハンプシャー州は2024年の112.6件から少し上がり、ルイジアナ州は504.4件から465.4件に、ミシガン州は431.1件になっています。
州の数字を読むときの注意
州の率は、その州で報告した機関の管轄人口で割ったものです。報告した機関の管轄が州の人口の9割に届かない州(2025年はルイジアナ州78.0%、ミシシッピ州81.5%、フロリダ州84.7%など)は、実際より少なく出ている可能性があります。
同じ州でも、都市部と郡部、同じ市の中の地区で数字は大きく違います。州の順位だけで住む場所を決めることは、ご推奨いたしません。
以下は、50州とワシントンD.C.の数字です。並びは五十音順で、順位ではありません。
50州とワシントンD.C.の数字を開く(FBI、2025年と2024年)
| 州 | 暴力犯罪 2025年 | 暴力犯罪 2024年 | 財産犯罪 2025年 | 報告のカバー率 |
|---|---|---|---|---|
| アーカンソー州 | 535.7 | 589.7 | 1,669.6 | 98.4% |
| アイオワ州 | 237.9 | 247.3 | 1,205.3 | 97.1% |
| アイダホ州 | 221.8 | 236.8 | 624.5 | 98.6% |
| アラスカ州 | 736.2 | 731.9 | 1,927.0 | 99.7% |
| アラバマ州 | 352.8 | 381.0 | 1,501.7 | 99.3% |
| アリゾナ州 | 385.1 | 433.5 | 1,542.6 | 97.9% |
| イリノイ州 | 257.8 | 294.8 | 1,556.2 | 94.7% |
| インディアナ州※ | 299.5 | 349.3 | 1,248.8 | 88.2% |
| ウィスコンシン州 | 244.5 | 287.8 | 1,032.8 | 97.1% |
| ウェストバージニア州※ | 264.7 | 263.6 | 1,084.7 | 88.2% |
| オクラホマ州 | 412.3 | 429.6 | 1,840.3 | 99.9% |
| オハイオ州 | 287.9 | 312.2 | 1,470.8 | 93.6% |
| オレゴン州 | 319.1 | 341.2 | 2,184.3 | 98.0% |
| カリフォルニア州 | 435.1 | 478.4 | 1,822.3 | 100.0% |
| カンザス州 | 476.0 | 474.7 | 1,923.0 | 94.8% |
| ケンタッキー州 | 216.2 | 226.9 | 1,282.9 | 100.0% |
| コネチカット州 | 111.2 | 139.3 | 1,159.7 | 100.0% |
| コロラド州 | 440.2 | 489.3 | 2,235.2 | 99.2% |
| サウスカロライナ州 | 390.3 | 440.8 | 1,715.6 | 96.4% |
| サウスダコタ州※ | 327.2 | 357.8 | 1,429.8 | 89.7% |
| ジョージア州 | 303.9 | 328.3 | 1,413.1 | 90.9% |
| テキサス州 | 348.3 | 398.1 | 1,808.8 | 99.4% |
| テネシー州 | 498.9 | 604.6 | 1,662.3 | 99.6% |
| デラウェア州 | 354.1 | 368.6 | 1,585.5 | 100.0% |
| ニュージャージー州 | 198.4 | 221.6 | 1,266.9 | 97.7% |
| ニューハンプシャー州 | 119.2 | 112.6 | 828.7 | 99.9% |
| ニューメキシコ州 | 651.1 | 744.3 | 2,363.5 | 94.4% |
| ニューヨーク州 | 367.6 | 392.0 | 1,565.4 | 98.9% |
| ネバダ州 | 384.1 | 408.8 | 2,029.4 | 99.6% |
| ネブラスカ州 | 222.7 | 224.6 | 1,403.4 | 99.4% |
| ノースカロライナ州 | 334.2 | 382.8 | 1,815.0 | 97.3% |
| ノースダコタ州 | 240.6 | 257.9 | 1,494.8 | 98.8% |
| ハワイ州 | 213.7 | 230.3 | 1,681.9 | 100.0% |
| バージニア州 | 210.8 | 223.9 | 1,394.7 | 100.0% |
| バーモント州 | 220.0 | 226.8 | 1,446.0 | 99.8% |
| フロリダ州※ | 248.1 | 257.9 | 1,074.9 | 84.7% |
| ペンシルベニア州 | 229.4 | 251.4 | 1,360.8 | 99.2% |
| マサチューセッツ州 | 301.0 | 317.8 | 1,036.5 | 99.8% |
| ミシガン州 | 431.1 | 442.7 | 1,299.9 | 96.9% |
| ミシシッピ州※ | 220.3 | 214.8 | 1,314.5 | 81.5% |
| ミズーリ州 | 425.5 | 472.6 | 1,689.4 | 98.7% |
| ミネソタ州 | 226.4 | 259.4 | 1,429.8 | 99.8% |
| メイン州 | 95.3 | 102.6 | 960.6 | 98.8% |
| メリーランド州 | 365.0 | 425.9 | 1,852.7 | 100.0% |
| モンタナ州 | 422.6 | 427.9 | 1,468.1 | 100.0% |
| ユタ州 | 224.8 | 238.0 | 1,319.2 | 99.0% |
| ルイジアナ州※ | 465.4 | 504.4 | 1,859.7 | 78.0% |
| ロードアイランド州 | 146.4 | 155.0 | 921.6 | 98.8% |
| ワイオミング州 | 187.7 | 212.5 | 1,098.2 | 92.5% |
| ワシントン州 | 292.0 | 332.0 | 2,017.5 | 97.6% |
| ワシントンD.C. | 806.5 | 1,016.6 | 3,179.7 | 100.0% |
※上記は、FBIの犯罪データ・エクスプローラー(2026年10月15日更新)で、各州の警察などが報告した件数を、報告した機関の管轄人口で割った値です。※の付いた州は、報告した機関の管轄が州の人口の90%未満です。同じ方法で全米を計算すると329.6件で、FBIの推計値(327.6件)とわずかに違います。
3. 都市とニューヨーク市の数字

都市の順位は基準で入れ替わる
市ごとの件数も、犯罪データ・エクスプローラーで各市の警察を選ぶと確認できます。ただ、都市を並べた順位は、使う数字と人口の取り方で入れ替わります。人口の少ない市は数件の差で率が大きく動き、警察の報告方式が切り替わった年は、前の年と比べられないことがあります。都市の順位づけは、調査会社ごとに基準が違うと考えたほうが確実です。
ニューヨーク市の2025年
ニューヨーク市警(NYPD)が2026年1月に公表した2025年の数字では、発砲事件は688件で、市の記録で最も少ない年でした。撃たれた人は856人で前の年より22%少なく、殺人は20%(77人)減っています。主要な犯罪の件数は市全体で3%減り、5つの区すべてで下がりました。強盗は約10%、侵入窃盗は約4%の減少です。
FBIの犯罪データ・エクスプローラーでは、ニューヨーク市警が報告した2025年の暴力犯罪は56,104件で、市の人口(約850万人)で割ると人口10万人あたり660件でした。全米平均のおよそ2倍ですが、2024年の57,614件からは減っています。
読むときに注意したいのは、マンハッタンのように通勤者と観光客が多い地区では、住んでいる人の数で割ると率が高く出ることです。市内の地区ごとの数字はNYPDの犯罪統計のページで公表されていますが、当社は地区を犯罪の数字で比べてご案内することはしていません。
4. 日本人が遭いやすい被害と、公的な安全情報の使い方

日本との違い
外務省の海外安全ホームページ(アメリカ合衆国の犯罪発生状況)は、FBIの統計を引いたうえで日本との違いを示しています。2024年の殺人は日本970件に対しアメリカ16,935件、強盗は日本1,370件に対しアメリカ205,952件です。罪種の定義と数え方が違うため参考値とされていますが、人口の差を考えても開きは大きいと外務省は書いています。
実際の被害状況とパターン
在ニューヨーク日本総領事館の安全情報によると、日本人が被害に遭いやすい犯罪として、置き引き、スリ、車上荒らしが挙げられています。特にニューヨーク市内では、観光地の周辺での置き引きやスリに注意が呼びかけられています。
総領事館は、安全に関する注意喚起を随時出しています。渡米前に一度目を通しておくと、持ち物や移動の時間帯の判断がしやすくなります。
効果的な安全対策の実践例
実務的な備えとして、まず公表されている統計と総領事館の注意喚起をご自身で確認することです。また、Nextdoorなどの近隣コミュニティアプリで、住んでいる地域の出来事を把握している方も多くいらっしゃいます。
移動では、夜遅い時間や早朝の公共交通機関の利用を減らすこと、現金を分けて持つことが基本です。GPS機能付きの緊急通報の機器を持つ方もいらっしゃいます。人の多い場所で銃撃事件に遭った場合、米国の治安当局は「逃げる、隠れる、戦う(Run, Hide, Fight)」の順で動くよう示しています(Ready.gov)。
住まいや日常の備えをより具体的に知りたい方は、アメリカの治安は悪いのか。犯罪の推移と、駐在員が知っておきたい安全対策にまとめています。
まとめ

2025年のアメリカは、FBIの統計で暴力犯罪も財産犯罪も大きく減った年でした。それでも外務省が示すとおり日本との開きは大きく、州や市、地区によって数字は大きく違います。数字は毎年、前の年の分が夏から秋に公表されるため、最新版を一次資料でご確認ください。
住まいを決めるときに実際に効くのは、通勤時間、家賃と管理費、建物の入館管理や設備といった住戸の条件、学区の評価です。当社はこの4点でご相談を承っています。
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エリア選びは、通勤時間や家賃、住戸の条件とあわせて考えます。エリアごとの家賃はニューヨークの家賃相場をご覧ください。
よくある質問
アメリカの犯罪率は2025年にどう変わりましたか。
FBIが2026年8月に公表した統計では、2025年の暴力犯罪は人口10万人あたり327.6件で、前の年から9.7%下がりました。殺人は4.1件で1955年と1956年に並ぶ低さです。財産犯罪は1,534.8件で、12.8%下がっています。
州ごとの犯罪率はどこで確かめられますか。
FBIの犯罪データ・エクスプローラーで州と年を選ぶと確認できます。2025年の暴力犯罪の率は、メイン州の95.3件からアラスカ州の736.2件まで開きがあります。報告した機関の管轄が州の人口の9割に届かない州は、少なめに出ることがあります。
ニューハンプシャー州の犯罪率はどのくらいですか。
2025年の暴力犯罪は人口10万人あたり119.2件で、全米平均(327.6件)の4割弱です。2024年の112.6件から少し上がりました。財産犯罪は828.7件です。州の中でも市や地区で数字は違います。
日本と比べるとどのくらい違いますか。
外務省は、2024年の殺人が日本970件に対しアメリカ16,935件、強盗が日本1,370件に対しアメリカ205,952件だったと示しています。罪種の定義や数え方が違うため参考値ですが、人口の差を考えても開きは大きいとしています。
ニューヨーク市内では日本人が被害に遭いやすい犯罪は何ですか。
在ニューヨーク日本国総領事館の安全情報によると、日本人が被害に遭いやすい犯罪として置き引き、スリ、車上荒らしが挙げられています。特に観光地の周辺での置き引きやスリに注意が呼びかけられています。

















