2026年4月18日 Reinvent NY Inc

デラウェア州で会社設立する理由|日本人が知るべき税制・費用・手続き

デラウェア州は、フォーチュン500企業の約67%が法人登記する、アメリカで最も企業に選ばれている州です。人口わずか100万人程度の小さな州でありながら、なぜこれほど多くの企業がデラウェア州を選ぶのか。ニューヨークで2019年より法人設立やビザ取得のご支援をさせていただいている立場から、デラウェア州での会社設立について税制・費用・手続きの観点で解説いたします。2026年現在の最新情報をもとにお届けします。

 

1. デラウェア州とは(基礎情報)

アメリカ東海岸の小さな州が持つ圧倒的な存在感

デラウェア州(State of Delaware)は、アメリカ東海岸に位置する全米で2番目に小さな州です。面積は約6,446平方キロメートル、人口は約100万人。州都はドーバー(Dover)で、最大都市はウィルミントン(Wilmington)です。

1787年にアメリカ合衆国憲法を最初に批准した州であり、「The First State(最初の州)」という愛称を持っています。1899年にデラウェア州会社法(Delaware General Corporation Law)を制定して以降、120年以上にわたり企業にとって最も魅力的な法的環境を提供し続けてきました。

2026年現在、デラウェア州法人課によると、フォーチュン500企業の約67%がデラウェア州で法人登記を行っています。私自身もニューヨークでお客様の法人設立をご支援する中で、デラウェア州を選択されるケースは非常に多くあります。

 

2. なぜデラウェア州で会社設立するのか(税制メリット3つ)

メリット1:州外事業収入に対する法人所得税が非課税

デラウェア州の最大の特徴は、州外で行われる事業活動からの収入に対して法人所得税を課さないという点です。デラウェア州で法人を登記し、実際の事業はニューヨークやカリフォルニアで行う場合、デラウェア州への法人所得税は発生しません。

また、州内に物理的なオフィスを持たない場合、売上税(Sales Tax)も課されません。

メリット2:株主・役員のプライバシー保護

デラウェア州では、法人設立時の定款に株主や取締役の氏名を記載する義務がありません。公的記録に残るのは登録代理人(Registered Agent)の情報のみです。

資産保全やプライバシーを重視される方にとって、この仕組みは非常に重要です。カリフォルニア州やニューヨーク州では役員情報の公開が求められるため、デラウェア州の明確な優位性と言えます。

メリット3:企業法専門裁判所「Court of Chancery」の存在

デラウェア州には、全米で唯一の企業法専門裁判所である衡平法裁判所(Court of Chancery)が存在します。陪審員制度を採用せず、企業法に精通した裁判官が直接審理を行います。

200年以上にわたる判例の蓄積があるため、企業間紛争の判断が迅速かつ予測可能です。将来的な資金調達やIPOを視野に入れている場合、この法的環境は大きなアドバンテージとなります。

 

3. デラウェア州での法人設立にかかる費用(具体金額)

初期費用と年間維持費用の全体像

デラウェア州での法人設立にかかる費用は、法人形態(LLCかCorporationか)によって異なります。以下に主要な費用をまとめました。

デラウェア州 法人設立・維持にかかる主な費用一覧(2026年現在)
費用項目 LLC Corporation(C-Corp)
設立申請手数料(Filing Fee) 90ドル(約13,500円) 89ドル(約13,350円)
年間フランチャイズ税(Franchise Tax) 300ドル(約45,000円) 最低175ドル(約26,250円)から株式数に応じて増加
年次報告書(Annual Report) 不要 50ドル(約7,500円)
登録代理人(Registered Agent)年間費用 100〜300ドル程度(約15,000〜45,000円) 100〜300ドル程度(約15,000〜45,000円)
EIN取得(連邦税ID) 無料(IRSに直接申請) 無料(IRSに直接申請)

上記はデラウェア州に支払う公的費用と登録代理人費用の目安です。弁護士費用や会計士費用は別途必要となります。

Corporationのフランチャイズ税は株式数に応じて計算される点に注意が必要です。Assumed Par Value Capital Methodという計算方式を選択することで税額を抑えられるケースもありますので、設立前に税務の専門家に相談されることをおすすめいたします。

実際の総費用感としては、LLC設立で初年度800〜2,000ドル程度(約120,000〜300,000円)、Corporation設立で初年度1,000〜3,000ドル程度(約150,000〜450,000円)が目安です。アメリカ会社設立費用の詳細についてはこちらもご参照ください。

 

4. 設立手続きの流れ(ステップバイステップ)

全体の流れ(通常1〜2週間で完了)

デラウェア州での法人設立は、以下のステップで進みます。オンラインでの手続きが充実しており、日本からでも対応可能です。

会社名の決定と確認:デラウェア州法人課のウェブサイトで希望する会社名の使用可否を確認します。名称の予約も可能で、最長120日間確保できます。

法人形態の選択:LLC、C-Corporation、S-Corporationなどから選択します。外国人(非米国居住者)はS-Corporationを選択できないため、LLCまたはC-Corporationとなります。

登録代理人(Registered Agent)の選定:デラウェア州内に住所を持つ登録代理人の指定が必要です。専門サービス会社に依頼するのが一般的で、年間100〜300ドル程度(約15,000〜45,000円)です。

設立書類の作成・提出:LLCはCertificate of Formation、CorporationはCertificate of Incorporationを作成し提出します。通常処理で1〜2営業日です。

EIN(連邦税ID番号)の取得IRS(内国歳入庁)に申請します。SSN(社会保障番号)がない場合はFAXまたは郵送での申請となり、4〜6週間程度かかります。

Operating Agreement / Bylawsの作成:LLCはOperating Agreement(運営契約書)、CorporationはBylaws(付属定款)を作成します。

銀行口座の開設:EIN取得後、アメリカの銀行で法人口座を開設します。多くの場合、現地での手続きが求められます。

以上で見てきたように、手続き自体はシンプルですが、法人形態の選択や税務上の最適化については事前に専門家と相談されることをおすすめいたします。

 

5. デラウェア州 vs ニューヨーク州 vs カリフォルニア州(比較表)

3州の法人設立環境を徹底比較

デラウェア州以外にも、ニューヨーク州やカリフォルニア州での法人設立を検討される方は多くいらっしゃいます。以下の表で主要な違いを比較します。

デラウェア州・ニューヨーク州・カリフォルニア州 法人設立環境比較(2026年現在)
比較項目 デラウェア州 ニューヨーク州 カリフォルニア州
法人税率 8.7%(州内事業のみ) 6.5%〜7.25% 8.84%
州外事業収入への課税 非課税 課税あり 課税あり
フランチャイズ税(最低額) Corp: 175ドル / LLC: 300ドル 25ドル 最低800ドル
役員プライバシー保護 高い(公開不要) 低い(公開必要) 低い(公開必要)
企業法専門裁判所 あり(Court of Chancery) なし(Commercial Divisionあり) なし
設立手続きの速さ 1〜2営業日 数週間(LLC公告義務あり) 3〜5営業日
LLC公告義務 なし あり(6週間の新聞公告必要) なし

上記は一般的な比較であり、個別の事業状況により最適な州は異なります。

特筆すべきは、ニューヨーク州でLLCを設立する場合、6週間にわたり地元紙2紙に設立公告を掲載する義務があり、その費用が1,000〜2,000ドル程度(約150,000〜300,000円)かかる点です。この公告費用を避けるために、デラウェア州でLLCを設立しニューヨーク州では外国法人として登録するケースは非常に多く見られます。ニューヨーク法人登録の詳細についてはこちらもご参照ください。

一方で、カリフォルニア州は最低フランチャイズ税が年間800ドル(約120,000円)と高額です。デラウェア州のLLCフランチャイズ税300ドル(約45,000円)と比較すると、年間500ドル(約75,000円)の差があります。

 

6. 日本人がデラウェア州で法人設立する際の注意点

デラウェア州法人でも他州での登録が必要

デラウェア州で法人を設立しても、実際の事業活動を行う州では「外国法人登録(Foreign Qualification)」が必要です。ニューヨーク州で事業を行う場合は、同州にも外国法人として登録し、年次報告書の提出やフランチャイズ税の支払いが求められます。

デラウェア州と事業活動を行う州の両方で維持費用が発生するため、1つの州でのみ小規模に事業を行う場合はメリットが薄れるケースもあります。

連邦税はデラウェア州法人でも免除されない

デラウェア州の税制メリットはあくまで州税レベルの話です。連邦法人税は法人の所在州に関係なく一律21%が課されます。日本在住の方がアメリカ法人を保有する場合は日米租税条約に基づく課税関係も発生しますので、国際税務に精通した専門家のサポートが不可欠です。

銀行口座開設のハードル

デラウェア州で法人を設立しても、法人銀行口座の開設には現地での手続きが求められるケースが多くあります。SSN(社会保障番号)を持たない日本在住の方の場合、EIN取得からFATCA対応まで追加手続きが必要です。確実な口座開設のためには、渡米して手続きされることをおすすめいたします。

 

7. E2ビザ取得とデラウェア法人の関係

E2ビザ申請にデラウェア法人は使えるのか

E2ビザ(投資家ビザ)取得を目的とした法人設立の場合、デラウェア州法人はE2ビザ申請に問題なく使用できます。ただし、E2ビザの審査では法人の登記州よりも、実際の事業活動の内容・投資額・雇用計画が重視されます。

E2ビザの条件として、最低投資額は20万ドル(約3,000万円)が一つの目安です。この投資がアメリカ経済に実質的に貢献するものであることが求められます。

事業実態が最も重要

E2ビザ申請においては、「実際の事業活動がアメリカで行われていること」が最重要要件です。デラウェア州で法人を設立し、事業活動はニューヨークやロサンゼルスで行うという構造は全く問題なく、多くのE2ビザ申請者がこの形態を採用しています。

ただし、事業実態がないペーパーカンパニーでは審査を通過できません。オフィスの賃借、従業員の雇用、事業計画の実行など、具体的な事業活動の証拠が必要です。

当社Reinvent NY Incでは、E2ビザ取得のための法人設立から事業計画策定、ビザ申請まで、ワンストップでご支援をさせていただいております。

 

まとめ

デラウェア州での会社設立は、税制上のメリット、プライバシー保護、企業法の安定性という3つの大きな利点があります。将来的な資金調達やIPOを視野に入れている企業、複数の州で事業展開を予定している企業にとって、非常に有力な選択肢です。

一方で、小規模な事業を1つの州でのみ展開する場合は、事業活動を行う州で直接設立する方が合理的なケースもあります。ご自身の事業計画に照らして、最適な法人設立地を選択されることが大切です。

アメリカでの法人設立は、正しい知識と信頼できるパートナーがあれば、決して難しいものではありません。デラウェア州を含め、法人設立やビジネス展開について気になることがございましたら、お問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。

お客様の成功事例

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