「日本人でもデラウェアでLLCを設立できるのか、どうすれば良いのか」というご相談を、海外進出・E2ビザ申請を検討している方から多くいただきます。
2026年現在、日本人がデラウェア州でLLCを設立することは完全に合法で、手続き自体もオンラインで完結できます。ただし登記後のRegistered Agent確保・EIN取得・アメリカの銀行口座開設など、日本人特有のハードルが存在します。
1. デラウェア州が「世界の法人首都」と呼ばれる理由

デラウェア州は、アメリカ東海岸に位置する全米で2番目に小さな州です。面積は約5,130平方キロメートルで、日本で言えば三重県ほどの大きさです。
しかし、この小さな州が企業法の世界では圧倒的な存在感を持っています。
その歴史は1899年に制定されたデラウェア州会社法(Delaware General Corporation Law、通称DGCL)にまで遡ります。125年以上にわたって企業に対して柔軟な法制度を提供し、判例法を蓄積してきました。
特筆すべきは、衡平法裁判所(Court of Chancery)の存在です。1792年に設立されたこの裁判所は、陪審員を置かず、企業法に精通した裁判官が審理を行います。現在は1名のChancellorと6名のVice Chancellorで構成されています。
他の州では企業訴訟が陪審員の判断に委ねられ、結果の予測が困難です。一方、デラウェア州では専門家による審理が行われるため、法的リスクの透明性が格段に高いのです。
これが、Apple、Google、Amazon、JPモルガンといったグローバル企業がデラウェア州を選び続ける最大の理由です。
2. デラウェア州で法人設立する具体的なメリット

それでは、デラウェア州で法人を設立するメリットを具体的に見ていきましょう。
税制面の優位性
デラウェア州は、州外で行われる事業活動からの収入に対して法人税を課しません。デラウェア州に法人を登記し、実際の事業はニューヨーク州やカリフォルニア州で行う場合、デラウェア州への法人税は発生しないということです。
さらに、州内に物理的な事業所を持たない場合は売上税も固定資産税もかかりません。
法人設立の手続きが迅速
デラウェア州法人局はオンラインで24時間365日申請を受け付けており、通常1〜2営業日で設立が完了します。急ぎの場合は最短30分での処理も可能です(追加手数料が必要)。設立に必要な役員は1名のみで、外国人でも問題ありません。
投資家からの信頼
ベンチャーキャピタルや機関投資家の多くは、投資先がデラウェア州で法人登記されていることを前提としています。資金調達やIPOを視野に入れている場合、デラウェア州以外の選択肢は現実的にほとんどありません。
以下に、主要な州との比較をまとめました。
| 比較項目 | デラウェア州 | ニューヨーク州 | カリフォルニア州 | ネバダ州 |
|---|---|---|---|---|
| 州法人税率 | 8.7%(州外収入は非課税) | 6.5% | 8.84% | なし |
| 設立所要日数 | 1〜2日(最短30分) | 約7〜10日 | 約3〜5日 | 約1〜2日 |
| 企業専門裁判所 | あり(Court of Chancery) | 商事部門あり | なし | なし |
| Fortune 500占有率 | 66.7% | 約5% | 約4% | 約1%未満 |
| 年間フランチャイズ税 | 最低$400(約60,000円) | 最低$25 | 最低$800(約120,000円) | 最低$200(約30,000円) |
| プライバシー保護 | 取締役名の公開不要 | 公開必要 | 公開必要 | 取締役名の公開不要 |
※ デラウェア州・主要州の法人設立に関する比較一覧(2026年3月現在、1ドル=155円換算)
以上で見てきたように、デラウェア州は税制、スピード、司法制度、投資家の信頼という4つの面で他州を大きくリードしています。
3. 「デラウェア州でなくてもいいのでは」という意見について

一方で、「わざわざデラウェア州に登記する必要があるのか」という疑問の声もあります。ここではその代表的な論点を取り上げます。
「事業を行う州に登記すればいいのでは?」
確かに、実際に事業を行う州にのみ登記するという選択肢もあります。デラウェア州に法人登記をしても、事業を行う州では別途外国法人登録(Foreign Qualification)が必要になり、追加の登録費用と税務申告が発生します。
しかし、この二重構造のコストは年間数百ドル(数万円)程度です。それに対して、デラウェア州の法的安定性やIPO時の信頼性がもたらすリターンは計り知れません。将来的にM&Aやエグジットを視野に入れている場合、最初からデラウェア州を選んでおくことが圧倒的に有利です。
「フランチャイズ税が高いのでは?」
デラウェア州のフランチャイズ税は「授権株式法」で計算すると高額になるケースがありますが、もう一つの計算方法である「みなし額面資本法(Assumed Par Value Capital Method)」を選択することで大幅に抑えられます。
適切な計算方法を選べば、年間$400〜$2,000(約60,000円〜300,000円)程度に収まるケースがほとんどです。
4. 日本からデラウェア州で法人を設立する際のポイント

それでは、実際に日本からデラウェア州で法人を設立する場合のポイントについて見ていきましょう。
まず、デラウェア州での法人設立には、州内に登録代理人(Registered Agent)を置くことが法律で義務付けられています。登録代理人は法的書類の受取窓口で、専門サービス会社に年間$50〜$300(約7,500円〜45,000円)程度で依頼できます。
次に、法人形態の選択です。主に①C Corporationと②LLC(Limited Liability Company)の2つが選択肢となります。将来の資金調達やIPOを見据える場合はC Corporationが一般的であり、スモールビジネスや不動産保有目的であればLLCが適しています。
加えて、EIN(雇用者識別番号)の取得も必要です。EINはIRS(内国歳入庁)のウェブサイトからオンラインで申請可能ですが、SSNを持たない外国人の場合は郵送またはFAXでの申請となります。
最後に、BOI報告(Beneficial Ownership Information Report)について触れておきます。企業透明性法(Corporate Transparency Act)に基づき、すべての州の法人は実質的所有者の情報をFinCENに報告する義務があります。
まとめ

デラウェア州は、125年以上にわたって培われた企業法の判例、専門的な衡平法裁判所、柔軟な税制、そして世界中の投資家からの信頼によって、「世界の法人首都」としての地位を確立しています。
2024年だけでも289,810の新規法人が設立され、IPOの81.4%がデラウェア州を選んでいるという事実は、この州の優位性が揺るぎないものであることを示しています。
法人の設立場所は事業の性質、将来の資金調達計画、税務戦略など、複数の要素を総合的に判断して決めるべきものです。しかし、アメリカ市場で本格的に勝負をされるのであれば、デラウェア州を第一候補として検討されることを強くご推奨いたします。
当社Reinvent NY Inc.では、デラウェア州での法人設立から、ニューヨーク州での外国法人登録、銀行口座の開設、E2ビザの取得まで、ワンストップでサポートしております。ご関心をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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