2026年3月20日 Satoshi Onodera

グリーンカードとは|アメリカ永住権の基本と5つの取得ルートを解説

自由の女神とアメリカ国旗

アメリカへの移住を考えたとき、最初に耳にするのが「グリーンカード」という言葉です。正式には永住権(Permanent Resident Card)と呼ばれ、アメリカ合衆国に無期限で居住し、就労する権利を証明するカードを指します。

2026年現在、全世界から年間約100万人がグリーンカードを取得しており、日本人の取得者数は年間約3,500人前後で推移しています。

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グリーンカードを持つことで、雇用主やビザのスポンサーに縛られることなく、アメリカ国内のどの州でも自由に生活し、働くことができます。E2ビザやH-1Bビザなどの非移民ビザは一時的な滞在許可ですが、グリーンカードは滞在期限がない点が根本的に異なります。10年ごとのカード更新は必要ですが、永住権そのものに期限はありません。

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それでは、グリーンカードの取得方法から権利と義務、市民権との違いまで、順を追って見ていきます。グリーンカード取得の具体的な申請手続きについては別記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

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1. グリーンカードの5つの取得ルート

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グリーンカードの取得方法は大きく5つに分類されます。それぞれ対象者、投資額、取得期間が異なります。

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EB-5投資永住権プログラム

米国移民局(USCIS)のEB-5プログラムは、アメリカ国内の事業に80万ドル(約1億2,400万円、2026年3月現在、1ドル=155円換算)以上を投資し、10人以上の雇用を創出することで永住権を取得する制度です。TEA(高失業率地域)への投資であれば80万ドル、それ以外は105万ドルが最低投資額となります。

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EB-1卓越能力者カテゴリー

科学、芸術、教育、ビジネス、スポーツの分野で国際的に卓越した実績を持つ方が対象です。業界内での受賞歴、メディア掲載、高収入の実績など複数の基準を満たせば申請可能です。投資もスポンサーも不要という点が大きな利点です。

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EB-2/EB-3雇用ベース

アメリカの雇用主がスポンサーとなり、米国労働省の労働認証(PERM)を経て申請するルートです。EB-2は修士号以上の専門職、EB-3は学士号保持者や熟練労働者が対象となります。手続きには通常2年から5年程度かかります。

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家族スポンサー

アメリカ市民権保持者または永住権保持者の家族が、配偶者や子ども、兄弟姉妹のためにスポンサーとなるルートです。市民権保持者の配偶者や21歳未満の未婚の子どもは「即時親族(Immediate Relative)」として、ビザの発給数制限を受けません。それ以外の家族関係では、国別の割り当て上限があるため、待ち時間が数年から20年以上に及ぶ場合もあります。

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DV抽選プログラム(グリーンカードロッタリー)

米国国務省のDVプログラムは、移民送出数が少ない国の出身者を対象に、毎年約55,000件のグリーンカードを抽選で配分する制度です。日本は対象国に含まれており、高校卒業以上の学歴があれば応募できます。費用はほぼかかりませんが、当選確率は1%未満と極めて低いのが実情です。

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以上で見てきたように、5つのルートにはそれぞれ明確な特徴があります。下記の表で比較をまとめています。

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グリーンカード取得5ルートの比較表
取得方法 投資額の目安 取得期間 難易度 主な対象者
EB-5投資 80万〜105万ドル 2〜4年 投資家、富裕層
EB-1卓越能力 不要 1〜2年 研究者、経営者、アスリート
EB-2/EB-3雇用 不要(雇用主負担) 2〜5年 中〜高 専門職、技術者
家族スポンサー 不要 即時〜20年超 低〜中 米国市民/永住者の家族
DV抽選 ほぼ不要 1〜2年(当選時) 低(運次第) 対象国出身の高卒以上

投資額や期間は個別の状況によって変動します。特にEB-5は2022年の法改正により投資額が引き上げられています。

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2. グリーンカード保持者の権利と義務

2. グリーンカード保持者の権利と義務

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グリーンカードを取得すると、アメリカ国内での就労が完全に自由になります。職種や雇用主の制限はなく、自分で事業を立ち上げることも、転職することも制限なく行えます。

ビザ保持者がスポンサー企業を離れると滞在資格を失うリスクがあるのに対し、永住権保持者にはその心配がありません。

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社会保障番号(SSN)の取得、銀行口座やクレジットカードの開設、不動産の購入、運転免許の取得なども、市民と同等に行うことができます。アメリカ生活の実態についてはこちらの記事で詳しく触れています。

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一方で、義務も存在します。まず、全世界所得に対する米国での納税義務があります。IRS(米国内国歳入庁)は永住権保持者を「税法上の居住者」として扱うため、日本の所得を含む全世界の収入を申告しなければなりません。日米租税条約による二重課税の回避措置はありますが、申告手続き自体は毎年必要です。

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グリーンカードの更新義務も忘れてはなりません。カードの有効期間は10年で、期限前にフォームI-90をUSCISに提出して更新申請を行います。更新手数料は2026年現在で540ドル(約83,700円)です。

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さらに、アメリカ国外に長期間滞在すると永住権を放棄したとみなされるリスクがあります。一般的な目安として、1年以上の連続した国外滞在は再入国許可(Re-entry Permit)なしでは永住権喪失の原因となり得ます。6か月以上1年未満の不在でも、入国審査で永住の意思を疑われる可能性があるため注意が必要です。

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3. グリーンカードと市民権(国籍)の違い

3. グリーンカードと市民権(国籍)の違い

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グリーンカード保持者と市民権保持者の間には、明確な違いがいくつかあります。最もわかりやすいのは選挙権です。永住権保持者には連邦、州、地方いずれの選挙においても投票権がありません。

また、連邦政府の特定の職種(安全保障関連のポジションなど)には市民権が求められるケースがあります。

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市民権を取得すると、アメリカのパスポートが発行され、海外渡航時の入国審査も大幅に簡素化されます。グリーンカード保持者は入国のたびにカードの提示と審査が必要ですが、市民はアメリカへの入国を拒否されることがありません。

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市民権は、グリーンカード取得後5年間の継続居住(米国市民の配偶者は3年)を経て、帰化申請(Naturalization)を行うことで取得できます。英語の読み書きと米国の歴史・政治に関する試験(Civics Test)に合格する必要があります。

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重要な点として、日本は二重国籍を原則として認めていないため、アメリカ市民権を取得すると日本国籍を喪失する可能性があります。この点は、グリーンカードの段階では問題になりません。永住権を維持したまま日本国籍を保持し続けることは完全に合法です。

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グリーンカードで十分な場合も多く、必ずしも市民権まで進む必要はありません。アメリカ移住にかかる費用を考慮しながら、長期的な計画を立てることが大切です。

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4. 2026年の最新動向とトランプ政権の影響

4. 2026年の最新動向とトランプ政権の影響

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2026年現在、トランプ政権下で移民政策は大きく変化しています。ホワイトハウスの移民政策ページにも示されているように、合法移民に対しても審査の厳格化が進んでいます。

EB-5プログラムについては、2022年のEB-5改革及び誠実性法(EB-5 Reform and Integrity Act)により、TEA地域への投資最低額が80万ドルに設定され、インフレ調整条項も導入されました。

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注目すべきは、EB-5のリザーブドビザカテゴリーの新設です。全体の発給枠のうち、農村部プロジェクトに20%、高失業率地域に10%、政府指定のインフラプロジェクトに2%が優先配分されます。農村部プロジェクトへの投資は、待ち時間が大幅に短縮される可能性があり、投資家にとって有利な選択肢となっています。

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DV抽選プログラムについては、廃止の議論が繰り返し浮上しています。2026年3月時点では存続していますが、今後の動向は不透明です。抽選への応募を検討している方は、国務省の公式サイトで最新の応募要件を確認することをお勧めします。

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また、E2投資家ビザで渡米し、現地での事業実績を積んだ上でEB-1やEB-2に切り替えてグリーンカードを目指すという段階的なアプローチも、近年増加しているルートです。

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まとめ

まとめ

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グリーンカードとは、アメリカに無期限で居住し、自由に就労できる永住権を証明するカードです。取得ルートはEB-5投資、EB-1卓越能力、EB-2/EB-3雇用ベース、家族スポンサー、DV抽選の5つがあり、それぞれ必要な条件、費用、期間が異なります。

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永住権を取得すると就労の自由や社会保障の恩恵を受けられる一方で、全世界所得の申告義務や10年ごとの更新手続きといった責任も伴います。市民権との最大の違いは選挙権の有無と日本国籍の保持可能性にあり、ご自身のライフプランに合わせた判断が求められます。

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2026年のトランプ政権下では移民政策の変動が続いており、取得を検討されている方は早めの情報収集と準備が肝要です。

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※当社は移民法上の法的申請代理を行う法律事務所ではありません。法的助言および申請書提出は移民弁護士が担当します。

グリーンカードの取得方法や費用、具体的なプロセスについて詳しく知りたい方は、お問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。