
アメリカ永住権、いわゆるグリーンカードを取得する方法は複数ありますが、その中でも特に注目されているのがDV抽選プログラム(Diversity Visa Lottery)です。投資や雇用ベースのビザと異なり、学歴や職歴の条件を満たせば誰でも応募できるこの制度は、毎年世界中から数百万件の応募が集まります。
2026年現在、アメリカ移住を検討している方にとって、DV抽選は最もコストがかからないグリーンカード取得ルートの一つです。一方で、当選確率や応募手続きの細かいルールを理解していないと、せっかくのチャンスを逃してしまう可能性があります。
本記事では、DV抽選プログラムの仕組みから応募方法、当選確率、当選後の手続きまでを網羅的に解説します。グリーンカードの取得方法を検討されている方は、ぜひ最後までお読みください。
 
 
1. DV抽選プログラム(Diversity Visa Program)とは

 
DV抽選プログラムは、アメリカへの移民が少ない国の出身者を対象に、年間最大55,000件の移民ビザを抽選で発給する制度です。米国国務省(U.S. Department of State)が管理運営しており、正式名称はDiversity Immigrant Visa Programといいます。
この制度は1990年移民法(Immigration Act of 1990)に基づいて創設されました。アメリカへの移民の多様性を確保するという目的のもと、過去5年間にアメリカへの移民数が50,000人を超えた国は対象外となります。
 
日本は毎年この抽選の対象国に含まれています。中国本土、インド、メキシコ、フィリピン、韓国などは移民数が多いため、例年対象外となるケースが多い一方、日本国籍の方は問題なく応募が可能です。
なお、DV抽選はアメリカ永住権を直接取得できる数少ない手段の一つであり、EB-5投資ビザのように多額の資金を必要としない点が大きな特徴です。
 
 
2. 応募方法と写真要件の詳細

 
DV抽選への応募は、米国国務省のE-DV公式サイトからオンラインで行います。応募期間は例年10月上旬から11月上旬の約30日間で、この期間外の応募は一切受け付けられません。
応募に必要な情報は以下のとおりです。
 
①氏名と生年月日。パスポートと完全一致していることが必須です。
②出生国。対象国であることが条件となります。
③学歴または職歴。高校卒業以上、もしくは過去5年以内に2年以上の訓練を要する職業に従事した経験が必要です。
④デジタル写真。600×600ピクセル、JPEG形式、背景は白で、直近6か月以内に撮影されたものに限ります。
⑤配偶者・子どもの情報。21歳未満の未婚の子どもは全員記載が必要です。
 
写真要件は非常に厳格で、国務省の写真ガイドラインに沿っていないと自動的に不受理となります。眼鏡着用は原則禁止、顔が写真全体の50%から69%を占めること、影がないことなど細かい規定があります。
応募は1人につき1回のみです。重複応募が発覚した場合、すべての応募が失格となるため注意してください。逆に、配偶者がいる場合は夫婦それぞれが個別に応募でき、どちらか一方が当選すればもう一方も派生的にグリーンカードを取得できます。これは当選確率を実質的に2倍にする合法的な戦略です。
 
 
3. 当選確率と日本人の実績データ

 
DV抽選の当選確率を正確に把握することは、応募するかどうかの判断材料として重要です。米国国務省のビザ統計によると、毎年の応募総数はおよそ800万件から1,500万件に達します。
対して発給されるビザは最大55,000件ですが、実際に当選通知を受ける人数はこれより多く、約100,000人から120,000人が選ばれます。これは、当選しても手続きを完了しない人が一定数いるためです。
 
日本人の当選者数は年によって変動しますが、近年の実績では年間200人から350人程度が当選しています。日本からの応募者数が他の対象国に比べて少ないため、応募者あたりの当選率は比較的高い傾向にあります。
全体の当選確率は単純計算で約0.7%から1.5%です。しかし日本のようにアメリカへの移民数が少ない国からの応募者は、地域別の配分枠の恩恵を受けやすく、体感的には1%から2%台の当選率が見込まれます。
 
以下の表は、DV-2028(2026年応募分)の想定スケジュールをまとめたものです。
 
| 項目 | 時期 | 内容 | 対応場所 |
|---|---|---|---|
| 応募開始 | 2026年10月上旬 | E-DVサイトで登録開始 | オンライン |
| 応募締切 | 2026年11月上旬 | 約30日間のみ受付 | オンライン |
| 当選発表 | 2027年5月上旬 | Entrant Status Checkで確認 | オンライン |
| DS-260提出 | 2027年5月以降 | 移民ビザ申請書をオンライン提出 | オンライン |
| 面接 | 2027年10月〜2028年9月 | 在日米国大使館で面接 | 東京(赤坂) |
| ビザ発給 | 面接後数週間 | 移民ビザをパスポートに貼付 | 大使館経由 |
| 渡米期限 | 2028年9月30日 | この日までに米国へ入国 | 米国内 |
DV-2028の正式日程は国務省公式サイトで発表されます。例年のスケジュールを基にした想定となります。
 
DV-2028の最新情報については、別記事でも詳しく解説しています。夫婦でそれぞれ応募する場合、当選確率は単純に約2倍となるため、配偶者のいる方はぜひご検討ください。
 
 
4. 当選後の手続きの流れと注意点

 
当選の確認は、E-DVサイトのEntrant Status Checkで行います。メールでの当選通知は一切行われません。「当選しました」という内容のメールが届いた場合、それは詐欺ですので絶対に個人情報を送らないでください。
当選を確認したら、速やかにDS-260(移民ビザ申請書)をオンラインで提出します。DS-260には、過去の渡航歴、職歴、学歴、家族構成、犯罪歴の有無など、詳細な個人情報を記入する必要があります。
 
DS-260提出後、面接のスケジュールが通知されます。日本在住の場合、面接は東京の在日米国大使館(赤坂)で実施されます。面接当日に必要な書類は以下のとおりです。
①有効なパスポート。ビザ発給日から6か月以上の有効期限が必要です。
②DS-260の確認ページ。
③戸籍謄本と英訳。
④卒業証明書(英文)。高校卒業以上であることの証明です。
⑤警察証明書(Police Certificate)。各都道府県の警察本部で取得します。発行に約2週間かかるため早めに手配してください。
⑥健康診断書。国務省指定の医療機関で受診する必要があります。東京では聖母病院が指定機関の一つです。
 
面接は通常15分から30分程度で、英語もしくは日本語で行われます。質問内容は主に、応募内容に虚偽がないかの確認、渡米後の生活計画、経済的な自立能力に関するものです。
面接に合格すると、パスポートに移民ビザが貼付されます。このビザの有効期間は通常6か月で、この期間内にアメリカへ入国する必要があります。入国時に移民手続きが完了し、後日グリーンカードが郵送されてきます。
 
注意すべき点として、DV抽選の全手続きは会計年度末(9月30日)までに完了しなければなりません。DS-260の提出が遅れたり、書類の不備で面接が延期されたりすると、期限切れで当選が無効になるリスクがあります。当選したら即座に行動を開始することが何より重要です。
 
 
まとめ

 
DV抽選プログラムは、学歴と国籍の条件を満たせば誰でも応募できる、グリーンカード取得の貴重な機会です。日本は毎年対象国に含まれており、応募にかかる費用は実質ゼロ(政府手数料は当選後に発生)です。
当選確率は決して高くはありませんが、アメリカでの生活を本気で考えている方にとっては、毎年応募し続ける価値のある制度です。配偶者がいる場合は夫婦それぞれの応募で確率を2倍にできるという点も見逃せません。
 
一方で、当選後の手続きには厳格な期限とルールがあります。DS-260の早期提出、必要書類の事前準備、指定医療機関での健康診断など、段取りよく進める必要があります。特に警察証明書は発行に時間がかかるため、当選確認後すぐに動き出してください。
また、DV抽選に落選した場合でも、グリーンカード取得にはEB-5投資ビザやE2投資家ビザなど複数のルートがあります。ご自身の状況に合った最適な方法を見つけることが重要です。
 
※当社は移民法上の法的申請代理を行う法律事務所ではありません。法的助言および申請書提出は移民弁護士が担当します。
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