2026年3月9日 Satoshi Onodera

アメリカ永住権の取得方法|5つのルート

2026年現在、皆さまはアメリカ永住権(グリーンカード)の取得方法についてお考えでしょうか。

私がニューヨークで不動産・移住支援事業を展開する中で、多くのお客様から「永住権を取得してアメリカに根を下ろしたい」というご相談をいただきます。実際に当社では、これまで200件以上の移住支援を行ってまいりました。

グリーンカード取得は確かに複雑な手続きですが、適切な方法を選択すれば必ず実現可能です。本記事では、投資家ビザ(E2ビザ)からの永住権取得、職歴ベースの申請、家族ベースの申請など、主要な5つのルートについて現地在住の観点から詳しく解説いたします。

 

1. グリーンカードの基本知識と取得メリット

グリーンカードとは何か

グリーンカード(Green Card)は正式には「永住者カード(Permanent Resident Card)」と呼ばれ、米国移民局(USCIS)が発行するアメリカ合衆国の永住権証明書です。この証明書を持つことで、アメリカに無期限に居住し、働くことができます。

現在のグリーンカードは、実際には緑色ではなく薄いベージュ色をしています。名称の由来は1940年代から1960年代にかけて実際に緑色だったことに遡ります。カードには写真、氏名、生年月日、永住者登録番号(Permanent Resident Number)などが記載されています。

米国国務省のデータによると、2023年度には約1,063,200人が新たにグリーンカードを取得しており、そのうち日本人は約5,800人でした。

 

グリーンカード取得の5つのメリット

グリーンカード取得により得られるメリットは多岐にわたります。まず、就労制限がないという点が最大の利点です。どのような職種でも自由に働くことができ、転職や起業も自由です。

次に、教育面でのメリットが挙げられます。州内授業料(In-State Tuition)の適用により、大学の学費が大幅に削減されます。例えば、カリフォルニア大学バークレー校の場合、留学生の年間授業料が約47,000ドル(約705万円)に対し、州内学生は約14,300ドル(約215万円)となります。

さらに、社会保障制度へのアクセスも重要です。社会保障番号(SSN)の取得により、退職後の年金受給資格や、失業保険、メディケアなどの社会保障制度を利用できます。

 

グリーンカードと市民権の違い

グリーンカード保持者は永住者(Permanent Resident)であり、市民(Citizen)とは異なります。主な違いは投票権、陪審員義務、パスポートの発行権限などです。

ただし、市民権申請は、グリーンカード取得から5年後(配偶者ベースの場合は3年後)に可能となります。多くの方が最終的には市民権取得を目指されます。

 

2. 投資ベースのグリーンカード取得(EB-5プログラム)

EB-5投資家ビザプログラムの概要

EB-5プログラムは、一定額の投資を行うことでグリーンカードを取得できる制度です。2026年現在、最低投資額は80万ドル(約1億2,000万円)から180万ドル(約2億7,000万円)に設定されています。

投資先は、新規事業の設立、既存事業の拡張・再編、または地域センターへの投資の3つの選択肢があります。特に地域センター投資が人気で、投資家は直接的な事業管理を行う必要がありません。

重要なのは、投資により10人以上の常勤アメリカ人雇用を創出または維持することです。この雇用創出要件が満たされない場合、グリーンカードは取り消される可能性があります。

 

EB-5申請プロセスと期間

EB-5申請は段階的に進行します。まず、I-526E請願書を提出し、投資計画と資金源の合法性を証明します。USCIS処理時間データによると、2026年現在のI-526E処理期間は約42〜60ヶ月です。

承認後、領事館で面接を受けるか、既にアメリカ国内にいる場合はI-485によるステータス調整を行います。条件付きグリーンカード取得から2年後、条件解除申請(I-829)を提出し、投資と雇用創出の実績を証明します。

全プロセスは通常5〜7年を要し、中国やインドなど申請者数の多い国では更に長期化する傾向があります。

 

EB-5投資のリスクと注意点

EB-5投資には相応のリスクが伴います。投資元本の損失リスクが最も重要で、投資先プロジェクトが失敗した場合、投資額は回収できません。

また、雇用創出要件を満たせない場合、条件解除が認められず、グリーンカードを失う可能性があります。過去のデータでは、地域センター投資の約15〜20%で何らかの問題が発生しているとされています。

 

3. 就労ベースのグリーンカード取得方法

EB-1優先労働者カテゴリー

EB-1カテゴリーは最も迅速にグリーンカードを取得できるルートです。EB-1A(特別能力者)、EB-1B(卓越した研究者・教授)、EB-1C(多国籍企業幹部)の3つのサブカテゴリーがあります。

EB-1Aは、科学、芸術、教育、ビジネス、スポーツ分野で国際的に認知された業績を持つ個人が対象です。ノーベル賞やピューリッツァー賞などの主要な国際的賞の受賞、または10の基準のうち3つ以上を満たす必要があります。

EB-1Cは、アメリカ国外の関連企業で管理職として1年以上勤務し、アメリカの同一企業グループで管理職として働く場合に適用されます。多国籍企業の駐在員の方に適したカテゴリーです。

 

EB-2国家利益免除(NIW)

EB-2 National Interest Waiver(NIW)は、高度な学位保持者や特別な能力を持つ者が、労働認定なしで申請できる制度です。

NIW承認には、①提案される取り組みが実質的メリットと国家的重要性を持つ、②申請者がその取り組みを推進する適切な立場にある、③労働認定要件を免除することがアメリカの国家利益になる、という3つの要件を満たす必要があります。

近年、STEM分野(科学、技術、工学、数学)の専門家やスタートアップ起業家からの申請が増加しており、承認率は約75〜80%と比較的高い水準を維持しています。

 

労働認定(PERM)プロセス

EB-2やEB-3カテゴリーの多くは、労働認定(PERM)プロセスを経る必要があります。雇用主が、アメリカ人労働者では代替できない職位であることを労働省に証明する手続きです。

PERM申請では、職位の募集広告を複数媒体に掲載し、応募者の選考過程を文書化する必要があります。現在の処理期間は約18〜24ヶ月です。承認後、I-140請願書を提出し、その後I-485でステータス調整を行います。

 

4. 家族ベースのグリーンカード申請

直系親族(Immediate Relatives)

アメリカ市民の直系親族は、数的制限なしにグリーンカードを申請できます。対象は、アメリカ市民の配偶者、21歳未満の未婚子女、アメリカ市民の両親(申請者が21歳以上の場合)です。

国務省ビザ・ブリテインによると、直系親族カテゴリーの現在の処理期間は約12〜18ヶ月です。書類審査と面接を経て、比較的迅速にグリーンカードを取得できます。

配偶者ベースの申請では、真正な婚姻関係の証明が重要です。共同の銀行口座、保険、賃貸契約書、写真などの証拠書類を準備し、偽装結婚ではないことを立証する必要があります。

 

家族優先カテゴリー(Family Preference)

家族優先カテゴリーは年間約226,000枚の数的制限があり、優先順位により処理されます。F1(アメリカ市民の成人未婚子女)、F2A/F2B(永住者の配偶者・子女)、F3(アメリカ市民の既婚子女)、F4(アメリカ市民の兄弟姉妹)に分類されます。

国別制限により、中国、インド、メキシコ、フィリピン出身者の待機期間は特に長期化しています。F4カテゴリーでは、フィリピン出身者の場合約24年の待機期間を要します。

以下の表は、2026年現在の家族ベース各カテゴリーの待機期間を示しています。

カテゴリー 対象 一般国 中国 インド フィリピン
F1 市民の成人未婚子女 7年 8年 14年 12年
F2A 永住者の配偶者・未成年子女 2年 2年 2年 3年
F3 市民の既婚子女 12年 12年 12年 22年
F4 市民の兄弟姉妹 22年 22年 22年 24年

※2026年現在の概算待機期間(年数は優先日からの経過期間)

 

K-1婚約者ビザからの永住権取得

K-1婚約者ビザは、アメリカ市民と婚約した外国人が入国後90日以内に結婚し、その後グリーンカードを申請する制度です。

K-1ビザ申請には、過去2年以内に実際に会ったことの証明、真正な関係の立証、両者とも結婚可能な状態であることの証明が必要です。現在の処理期間は約12〜16ヶ月です。

 

5. その他の特別カテゴリーと申請戦略

特別移民ビザ(SIV)と難民・庇護

特別移民ビザには、宗教関係者(R-1から移行)、国際機関職員、アフガニスタン・イラクでアメリカ軍を支援した通訳者などが含まれます。特別移民少年(SIJ)ステータスも、州裁判所が親による遺棄・虐待・放置を認定した21歳未満の未婚者が対象となります。

難民・庇護申請者は、ステータス認定から1年後にグリーンカード申請が可能です。近年、中国、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス出身者からの庇護申請が増加しています。

 

抽選永住権(DV-2027)プログラム

多様化ビザ抽選プログラム(DV)は、移民数の少ない国出身者を対象とした年間55,000枚限定の抽選制度です。日本は対象国に含まれており、毎年10月頃に翌々年度分の抽選申請が開始されます。

DV-2027の申請期間は2026年10月2日から11月5日でした。当選確率は約1〜2%と非常に低いですが、費用がかからず、学歴要件(高校卒業以上)または職歴要件(過去5年間のうち2年以上の熟練労働経験)を満たせば申請可能です。

 

複数ルートの同時申請戦略

効率的なグリーンカード取得には、複数ルートの同時申請が有効です。例えば、EB-2 NIWとEB-1Aを同時申請したり、EB-5投資と就労ベースを併用したりする戦略です。

私がサポートするお客様の多くも、E2投資家ビザでまずアメリカに入国し、事業を軌道に乗せてからEB-1CやEB-2 NIWでグリーンカード申請を行うケースが増えています。この方法により、確実性とスピードの両方を追求できます。

各ルートには処理期間、費用、要件が大きく異なるため、専門家によるカスタマイズされた戦略立案が重要です。当社では、お客様の背景と目標に応じた最適なルート選択をご支援しています。

 

申請費用と弁護士選択のポイント

グリーンカード申請の総費用は、カテゴリーや複雑さにより大きく異なります。EB-5では投資額に加えて弁護士費用約100,000〜150,000ドル(約1,500〜2,250万円)、就労ベースでは約15,000〜50,000ドル(約225〜750万円)が一般的です。

アメリカ移民弁護士協会(AILA)認定の経験豊富な移民弁護士選択が成功の鍵となります。過去の承認実績、専門分野、コミュニケーション能力を総合的に評価し、信頼できるパートナーを選ぶことが重要です。

 

まとめ

アメリカのグリーンカード取得は確かに複雑で時間のかかるプロセスですが、適切な戦略と専門的サポートがあれば必ず実現可能です。

投資ベースのEB-5は最も確実性が高いものの多額の資金が必要で、就労ベースのEB-1やEB-2は専門性が要求され、家族ベースは長期間の待機を要する場合があります。それぞれに特徴とメリット・デメリットがあるため、お客様の状況に応じた最適なルート選択が重要です。

私がこれまでサポートしてきた200件以上の移住支援事例では、複数ルートの同時申請や段階的アプローチが成功率を大幅に向上させています。まずはE2投資家ビザで渡米し、現地でビジネスを構築してからグリーンカード申請を行う戦略も非常に有効です。

グリーンカード取得は人生を大きく変える重要な決断です。専門的な知識と豊富な経験を持つパートナーと共に、皆さまの夢の実現に向けて着実に歩みを進めていただければと思います。

当社では、お客様一人ひとりの状況に応じたカスタマイズされたサポートを提供しております。お問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。皆さまのアメリカ永住権取得を全力でサポートいたします。