2026年3月7日 Satoshi Onodera

日本企業がアメリカに支社を設立する方法|子会社・支店・駐在員事務所の違い

ニューヨークに拠点を置いてビジネスを始めたいという方から、「法人登記はどうすればいいのか」というご相談を多くいただきます。2026年現在、ニューヨーク州での法人設立はオンラインで手続きが可能ですが、日本人が遠隔で行う場合にはいくつかの注意点があります。

「日本の会社でアメリカに拠点を設けたいが、どの形態が最適か」というご質問は、海外進出を検討している企業様から多くいただきます。

2026年現在、日本企業がアメリカに支社・拠点を設立する形態は主に「現地法人(子会社)」「支店(Branch)」「駐在員事務所」の3種類があり、それぞれ設立コスト・税務処理・法的責任が大きく異なります。どの形態を選ぶかで、その後の事業展開の柔軟性とリスクが変わります。

本記事では、3つの進出形態の違いを具体的なコスト・手続き・メリット・デメリットとともに解説します。

 

1. ニューヨーク州で設立できる会社形態

アメリカ 会社設立の流れ(フロー図)
アメリカ 会社設立の流れ
New York State government building, Albany NY, official architecture, sunny day

ニューヨーク州で登記できる主な会社形態は3つです。それぞれの特徴を理解した上で、ご自身の事業に最適な形態を選ぶことが重要です。

LLC(Limited Liability Company)。最もポピュラーな形態です。設立が比較的簡単で、パススルー課税(会社の利益・損失が個人の確定申告に直接反映)が適用されます。経営の柔軟性が高く、小規模〜中規模の事業に適しています。②C-Corporation。法人格として独立した課税主体となります。外部投資家からの資金調達や将来的な上場を目指す場合に適しています。法人税率は連邦21%に加え、ニューヨーク州・市の法人税がかかります。③S-Corporation。C-Corpの法人格を持ちながら、パススルー課税の恩恵を受けられます。ただし、株主は100人以下かつ米国居住者に限られるなど制限があり、日本在住の方がオーナーの場合は選択できません。

ニューヨーク州 法人形態比較
項目 LLC C-Corp S-Corp
設立費用(州) $200 $125 $125
課税方式 パススルー 法人課税(二重課税) パススルー
外国人オーナー 可能 可能 不可
新聞公告義務 あり($1,000〜$2,000) なし なし
経営の柔軟性 高い 取締役会が必要 取締役会が必要

ニューヨーク州で設立可能な法人形態の比較(2026年現在)

 

2. ニューヨーク州での法人登記手続きの流れ

ニューヨーク州での法人登記は、以下のステップで進みます。LLCを例に解説します。

会社名の確認。ニューヨーク州務長官(Secretary of State)のウェブサイトで、希望する会社名が使用可能か確認します。既に同名の法人が存在する場合は使用できません。②Articles of Organizationの提出。LLCの場合、設立書類(Articles of Organization)をニューヨーク州務長官に提出します。オンラインまたは郵送で可能で、手数料は200ドルです。③新聞公告の実施。ニューヨーク州のLLCは、設立後120日以内に2紙の新聞に6週間連続で公告を掲載する義務があります。この費用が1,000〜2,000ドルと高額であり、ニューヨーク州LLC設立の最大のデメリットと言えます。④EIN(雇用主識別番号)の取得。IRS(内国歳入庁)からEINを取得します。これは銀行口座の開設や税務申告に必須です。⑤Operating Agreementの作成。LLCの運営ルールを定める内部文書です。州への提出は不要ですが、銀行口座開設時に求められることがあります。

手続き全体の所要期間は、スムーズに進めば2〜4週間です。ただし新聞公告は6週間かかるため、完全な手続き完了までは約2ヶ月を見ておくのが安全です。

 

3. 日本人がニューヨークで法人を設立する際の注意点

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日本在住の方がニューヨークで法人を設立する場合、いくつかの特有の課題があります。

 

住所と Registered Agent

法人登記にはニューヨーク州内の住所が必要です。実際のオフィスを持たない段階では、Registered Agent(法的書類の受取代理人)を利用するか、バーチャルオフィスを契約する方法があります。Registered Agentの費用は年間100〜300ドル程度です。

 

銀行口座の開設

法人名義の銀行口座の開設は、多くの場合渡米して対面で行う必要があります。リモートでの口座開設を受け付ける銀行もありますが、選択肢が限られます。Chase、Bank of America、Wells Fargoなどの大手銀行では、EIN、設立書類、パスポート、米国内住所の証明が求められます。

 

税務登録

ニューヨーク州と市の税務登録も忘れてはなりません。売上税(Sales Tax)の徴収が必要な事業の場合、Certificate of Authorityの取得が必要です。

ニューヨークでのビジネス開業全般はNYビジネス開業の記事もご参照ください。

 

4. デラウェア州設立 vs ニューヨーク州設立 — どちらが良いか

「ニューヨークで事業をするなら、ニューヨーク州で法人を設立すべきか」。この質問には、必ずしもそうではありませんとお答えしています。

デラウェア州で法人を設立し、ニューヨーク州にForeign LLC(外国LLC)として登録して事業を行う方法が、実務上は非常に多く選択されています。デラウェア州のメリットは、LLC新聞公告義務がないこと、法人法が整備されていること、年間コストがニューヨーク州より低いことです。

一方で、デラウェア州で設立してニューヨーク州で営業する場合、両州への登録・申告が必要になるため手続きは増えます。事業規模が小さい場合は、シンプルにニューヨーク州で直接設立する方が手間が少ないケースもあります。

デラウェア州での設立についてはデラウェア州法人設立の記事、費用比較はアメリカ会社設立費用の記事、海外進出全般は海外進出の記事もぜひご覧ください。

 

まとめ

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ニューヨークでの法人登記は、手順自体はシンプルですが、会社形態の選択、新聞公告、税務登録など、日本にはない制度への対応が求められます。特にLLCの新聞公告義務は費用面で大きなインパクトがあるため、デラウェア州設立も含めた比較検討をご推奨いたします。

 

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