NYでビジネスをオープンするには?6年間アメリカで経営している当社観点も参考に解説

2024年11月15日 Reinvent NY Inc

皆さん、こんにちは。

当社サイトにご訪問をいただき、また世界中の中からニューヨークにご関心をいただき、ありがとうございます。

本記事では、NYでビジネスをオープンするには?6年間アメリカで経営している当社観点も参考に解説というテーマについて記事を執筆させていただきます。

 

最後までお付き合いいただけますと幸いです。

 

はじめに

世界経済の中心地として君臨するニューヨークは、無限の可能性を秘めたビジネスの実験場として、世界中の起業家たちを魅了し続けています。

ニューヨーク市経済開発公社(NYCEDC)の最新調査[1] によれば、2024年現在、この街では毎月約3,000の新しいビジネスが誕生し、新規事業の約40%が3年以内に安定した収益基盤を確立できています。

 

 

ニューヨークに進出すれば、ほとんどのケースで会社の売上自体は増えるものと思います。それは単価が高い(物価が高いため)です。しかしそのための会社設立、ビザ取得、ビジネス拡大などはハードルがあり、それらをクリアしていくことが(特に海外から進出される場合は)必要になります。

 

そのようなニューヨークでビジネスを始めるにあたり、6年間ニューヨークを拠点に経営をしている当社の知見を含め、ご共有したいと思います。

次の項からは、市場の特性から成功事例、リスク管理や将来の展望に至るまで、網羅的且つわかりやすく解説していきます。

 

引用元:
[1] ニューヨーク市経済開発公社(NYCEDC)

 

1. ニューヨークの市場特性と事業環境

まずは市場規模です。ニューヨーク連邦準備銀行の2024年第1四半期経済レポート[2]によると、ニューヨーク市の経済規模は約1.5兆ドル(約225兆円)に達しています。

この巨大な経済圏の中心であるマンハッタンは、単独で約8,000億ドル(約120兆円)の経済規模を誇り、世界有数の富の集積地となっています。

 

金融サービス部門では、伝統的な銀行業務からフィンテックまで、約3,500の金融機関が凌ぎを削っています。

ニューヨーク市金融サービス局(NYDFS)の調査[3]によれば、従来の銀行取引の約35%をフィンテック企業が担うようになってきており、この変化は消費者の決済習慣の変化と、テクノロジーの進化が相まって加速しています。

CBREの2024年テクノロジー産業レポート[4]によると、シリコンアレーと呼ばれるミッドタウン・サウスエリアでは、新規オフィス賃貸の40%以上をテクノロジー企業が占めています

その象徴として、Googleは2023年にハドソンヤードに25億ドル(約3,750億円)規模の新オフィスを開設し、2,000人以上の新規雇用を創出したことが報告されています。

 

小売業界については、ニューヨーク市小売協会(NYCRA)の最新調査[5]が興味深いデータを示しています。

パンデミック後の構造変化により、実店舗とEコマースの融合が加速し、マンハッタンの主要商業地区における売上比率は55対45となっています。

特に注目すべきは、この比率が2022年の65対35から大きく変化している点です。

ここでは全体の数字を中心に述べましたが、その他の業界に関して特に日本人観点で言えば、日本のカルチャーが活きるもの、例えば飲食店や日本の食の販売、ビューティーサロンやホテルなどのホスピタリティ関連は、ニーズが大きく、しかしまだまだ

Japan Fes(ジャパンフェス)という日本の食品をニューヨークの路上で週末販売するパレードは、毎回30店舗ほどのお店がならび、15ドルを超える商品が販売されます。例えば6個入りのたこやきや焼きそばが15ドルほどで売られており、飛ぶように売れています。彼らの公開情報で、一店舗当たりの最も販売されたお店は1日で13,000ドルを超えるというものもあり(ラーメン店)、注目が集められています。それほど日本のものはニーズがあるのです。

 

ニューヨーク進出、テストマーケティングなどのご支援は、当社までお気軽にご相談ください

 

引用元:
[2]ニューヨーク連邦準備銀行
[3]ニューヨーク市金融サービス局(NYDFS)
[4]CBRE
[5]ニューヨーク市小売協会(NYCRA)

 

2. 地域別の市場特性

続いて、ニューヨーク市都市計画局の2024年地域経済分析[6]によれば、各地域は独自の経済的特色を持ち発展を続けています。

マンハッタンでは、一人当たりの年間消費支出が85,000ドル(約1,275万円)と全米でもトップクラスの消費力を誇ります。

 

特にアッパー・イーストサイドやトライベッカといった地域では、プレミアム商品・サービスへの需要が際立って高く、高級ブティックやミシュラン星付きレストランの集積度は世界でも類を見ません。

ブルックリンの経済発展は目覚ましく、ブルックリン商工会議所のレポート[7]によれば、特にDUMBO地区とウィリアムズバーグ地区では、過去5年間でテクノロジー関連企業が300%増加しています。

 

平均年齢34歳という若い人口構成を背景に、環境配慮型ビジネスやクリエイティブ産業が急成長を遂げています。

クイーンズ経済開発公社の分析[8]は、この地域の多様性がビジネスチャンスを生み出していると指摘します。

 

フラッシング地区では、アジア系コミュニティを中心とした経済圏が形成され、食品産業や小規模製造業が特に発展。

ロングアイランドシティでは、マンハッタンへの近接性を活かした新興企業の進出が相次いでいます。

 

引用元:
[6]ニューヨーク市都市計画局
[7]ブルックリン商工会議所
[8]クイーンズ経済開発公社

 

3. 不動産市場と契約実務

Cushman & Wakefieldの2024年第1四半期オフィス市場レポート[9]によると、ニューヨークの商業用不動産市場は回復基調を強めています

ミッドタウンのクラスA物件では、平方フィートあたり年間120ドル(約18,000円)という賃料水準が形成されており、これは2023年比で8%の上昇となります。

 

特に注目すべきは、環境認証を取得したグリーンビルディングへの需要が高まっていることで、このような物件では平均で15%高い賃料でも満室状態を維持しています。

小売店舗について、Real Estate Board of New York (REBNY)の春季リテールレポート[10]は、立地による賃料の大きな格差を指摘しています。

 

5番街(49-60丁目)では平方フィートあたり年間2,000ドル(約300,000円)という世界最高水準の賃料が形成される一方、新興の商業地区として注目されるブルックリンのウィリアムズバーグでは、その10分の1程度の賃料水準で出店が可能です。

 

JLLの商業不動産市場分析[11]によれば、小売店舗の契約において特に重要なのは、売上歩合賃料の設定です。

マンハッタンの主要商業地区では、基本賃料に加えて総売上の6-12%を賃料として支払う契約が一般的となっており、これはテナントとオーナー双方のリスクシェアを可能にする仕組みとして機能しています。

 

引用元:
[9]Cushman & Wakefield
[10]Real Estate Board of New York (REBNY)
[11]JLL

 

4. 会社設立の法的プロセスとビザ取得

ニューヨーク州企業局(Department of State’s Division of Corporations)の最新ガイドライン[12]によれば、会社設立のプロセスは近年大幅に簡素化されています。

 

オンラインでの申請システムの導入により、基本的な会社設立手続きは最短で48時間以内に完了が可能となりました。

設立費用については、LLC(有限責任会社)の場合、基本登録料200ドル(約30,000円)に加えて、法定公告費用として約1,000ドル(約150,000円)が必要となります。ただ、これはSSNというアメリカのソーシャルナンバー(日本でいうマイナンバー)があるケースで、これらがない海外出身者の対応はまた異なり、また銀行口座開設のハードルも上がってくることが現状です。

詳しくは当社までお問い合わせください

 

ニューヨーク市小規模企業サービス局(NYC Small Business Services)の報告[13]では、事業開始までの実質的な準備期間として、許認可の取得や内装工事を含めると平均で2〜3ヶ月を要するとしています。

特に飲食店の場合、保健局の認可取得に加えて、地域の用途規制(ゾーニング)確認、消防署の査察など、複数の行政手続きが必要となります。

 

引用元:
[12]ニューヨーク州企業局(Department of State’s Division of Corporations)
[13]ニューヨーク市小規模企業サービス局(NYC Small Business Services)

 

そして、最も重要で、大きなプロセスとなるビザ取得。これがなければニューヨークに移住することができません。当社では発給上限に制限がなく、等しくそして確実に取得できるE2ビザの申請をご推奨しております。

詳細は250件以上の有償サポートを行っており、実績が多くある当社までご相談ください。代表自らが取得した経験をお話しいたします。詳細はこちらです

アメリカ移住・投資家ビザ(E2ビザ)取得サービス

 

5. スタートアップ支援制度の活用

ニューヨーク市経済開発公社(NYCEDC)[14]が展開する起業支援プログラムは、特にテクノロジーとライフサイエンス分野に力を入れています。

 

代表的な支援策として、スタートアップ補助金制度があり、革新的なビジネスモデルを持つ企業に対して、最大10万ドル(約1,500万円)の資金援助を提供しています。

2023年度には157社がこの支援を受け、そのうち35%が黒字化を達成したことが報告されています。

 

エンパイアーステート開発公社(Empire State Development)の調査[15]によれば、インキュベーション施設の利用も有効な支援策として機能しています。

特にBrooklyn Navy YardやNew Labといった施設では、オフィススペースの提供に加えて、メンターシップや投資家とのマッチング機会が提供され、入居企業の5年生存率は一般的なスタートアップの2倍以上を記録しています。

 

引用元:
[14]ニューヨーク市経済開発公社(NYCEDC)
[15]エンパイアーステート開発公社(Empire State Development)

 

6. 成功事例から学ぶ

Datadog社の急成長

TechCrunchの詳細レポート[16]によれば、2010年にニューヨークで創業したDatadog社は、クラウドモニタリングサービスの革新的なアプローチで急成長を遂げました。

2019年のIPOでは評価額100億ドル(約1.5兆円)を達成し、現在は3,000人以上の従業員を抱える大企業へと成長。

 

同社CEOのOlivier Pomel氏は、ニューヨークを選んだ理由として、金融機関を中心とする大規模顧客との近接性と、多様な人材の獲得のしやすさを挙げています。

 

Levain Bakeryのブランド戦略

Restaurant Business Magazineの分析は、1995年にアッパーウェストサイドで創業したLevain Bakeryの成長戦略を詳しく報告しています。

同社は、品質へのこだわりと口コミマーケティングを効果的に組み合わせ、現在では年間売上高5,000万ドル(約75億円)を達成。

 

特筆すべきは、観光客と地元客のバランスの取れた顧客基盤を構築し、季節変動の影響を最小限に抑えている点です。

 

Moda Operandiのデジタル革新

Retail Diveの業界分析では、2011年に創業したModa Operandiが、ラグジュアリーファッション業界にもたらしたイノベーションを詳しく解説しています。

 

同社は、オンラインとオフラインの融合モデルを確立し、年間取引高4億ドル(約600億円)を突破。

特に、デジタルショールームの概念を導入し、従来の小売業の常識を覆した点が高く評価されています。

 

引用元:
[16]TechCrunch
[17]Restaurant Business Magazine
[18]Retail Dive

 

7. ビジネス運営のための重要インフラ整備

ニューヨーク市情報技術電気通信局(DoITT)の2024年インフラ報告[19]によれば、市内の5G通信網カバー率は95%を超え、特にビジネス街では1Gbps以上の超高速通信が標準となっています。

さらに、市内2,000カ所以上に設置された無料Wi-Fiスポット「LinkNYC」は、モバイルワーカーの業務効率を大きく向上させています。

 

電力供給に関して、Con Edison社の商業顧客向けレポート[20]では、マンハッタンのビジネス地区における電力の信頼性は99.99%を維持しており、特に重要なサーバー設備向けには、複数系統からのバックアップ電源確保が可能となっています。

 

引用元:
[19]ニューヨーク市情報技術電気通信局(DoITT)
[20]Con Edison

 

8. 人材確保と労務管理

ニューヨーク州労働局の2024年雇用動向調査[21]によれば、ニューヨーク市の平均給与水準は全米平均を30%上回っています

特にテクノロジー分野では、ソフトウェアエンジニアの年間給与が12万ドル(約1,800万円)から始まり、シニアレベルでは20万ドル(約3,000万円)を超えることが一般的です。

 

人材採用に関して、LinkedIn社の都市別求人動向分析[22]では、ニューヨークは依然として人材の流入が流出を上回る数少ない大都市の一つとされています。

特に、金融テクノロジーやデジタルマーケティング分野での人材需要が高く、これらの分野では平均して2週間程度で人材の採用が完了するとのデータが示されています。

 

引用元:
[21]ニューヨーク州労働局
[22]LinkedIn

 

9. リスク管理と保険

訴訟社会でもあるアメリカは保険を筆頭にリスクヘッジの方法を取ることがマストと言えるでしょう。

ニューヨーク州保険局のビジネス向けガイドライン[23]では、事業規模や業態に応じた適切な保険カバレッジの選択が詳しく解説されています。

一般賠償責任保険は最低でも100万ドル(約1.5億円)の補償額が推奨され、特にレストランや小売店など対面サービスを提供する業態では、追加の補償オプションが推奨されています。

 

引用元:
[23]ニューヨーク州保険局

 

10. 将来展望と発展の可能性

McKinsey & Companyの2024年ニューヨーク市場分析[24]では、今後5年間で特に成長が期待される分野として、以下の3つを挙げています:

 

第一に、環境技術(クリーンテック)分野です。ニューヨーク市の環境規制強化に伴い、省エネ技術やリサイクル技術への需要が急増すると予測されています。

 

第二に、高齢者向けサービス分野です。

市の人口統計予測によれば、2030年までに65歳以上の人口が現在より30%増加するとされ、それに伴うビジネスチャンスの拡大が期待されています。

 

第三に、教育テクノロジー分野です。

パンデミックを機にデジタル教育への需要が定着し、この傾向は今後も継続すると予測されています。

 

引用元:
[24]McKinsey & Company

 

終わりに

ニューヨーク市経済開発公社の2024年展望[25]は、「困難な時期にこそ、真のイノベーションが生まれる」という言葉で締めくくられています。

 

確かに、高額な事業コストや激しい競争など、ニューヨークでのビジネス展開には多くの課題が存在します。

しかし、その分だけ成功時の報酬も大きく、世界中の才能が集まるこの街での成功は、グローバルな成長への確実な足がかりとなるでしょう。

 

本ガイドで紹介した情報は、2024年4月時点のものです。

ニューヨークのビジネス環境は常に進化を続けており、最新の情報については、各参照先の公式ウェブサイトで確認することを推奨します。

 

引用元:
[25]ニューヨーク市経済開発公社

 

記事をお読みいいただき、ありがとうございました。

 

当社Reinvent NY Incでは、2019年よりアメリカ進出・移住される個人様、企業様のご支援を続け、ニューヨークのあらゆる側面をサポートする総合的なサービスを提供しています。

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