2025年2月25日 Satoshi Onodera

【500万ドル(7.5億円)でアメリカ永住権を取得】トランプ大統領が提唱するゴールドカードとは?投資家ビザ(E2ビザ)との違い含め解説

アメリカ移住を検討される方に一つ速報が入ってまいりました。

2025年2月25日(アメリカ時間)、トランプ大統領が新たな投資家向け移民制度「ゴールドカード」を発表しました。このゴールドカードは、500万ドル(7億5,000万円)という巨額の投資によって、米国の永住権(グリーンカード)や市民権取得への道を開く新しい制度で、これまでのEB-5プログラム(グリーンカード)に代わる施策とされています。

 

本件は、アメリカのAFP通信、英紙インディペンデント、日本でもNHKニュース、中央日報社(Yahoo!ニュース転載)などのメディアが速報で報じています。

本記事では、2019年よりニューヨークにてアメリカ移住・E2ビザ取得のサポートを続けている当社Reinvent NY・また移民弁護士による見解を含み、解説いたします。

報道時点ではまだ未確定であるものの、2週間後に試行を検討しているということで、動き出しが早いものとなりそうです。

 

ゴールドカードの概要

トランプ大統領

まだ具体的発表がない中となりますが、これまでのトランプ大統領の声明からいくつかのことがわかります。

 

まずゴールドカードは、外国人富裕層向けの新しい投資移民制度で、500万ドル(約7.5億円)を米国に投資(支払い)することで米国の永住権取得(+将来的な市民権取得への道が開かれる)という提案です​。

 

この制度は、現在のEB-5プログラム(グリーンカード)に代わるものと位置付けられており、今後数週間以内に詳細が発表される見込みとされています​。ゴールドカード取得者にはグリーンカード(永住権)と市民権への道が与えられ、富裕層がこのカードを購入して米国に移住しやすくなると説明されています​。

EB-5が80万ドル〜100万ドル(1.2〜1.5億円)を米国公認のリージョンセンターに投資し、10名の雇用を生み出して取得するグリーンカードプログラムとして、これまで一定の人気を持っていましたが、これに代わる制度として、こういったものへの投資を目的とするものと考えられます。

 

狙いと背景

ハワード・ルットニック

ゴールドカード構想の背景には、これまでのEB-5プログラムへの批判と財政上の狙いがあります。トランプ氏の商務長官(ハワード・ルトニック氏)は「現行のEB-5プログラムは低額(80万ドル〜=1億2,000万円ほど)で永住権を取得できるナンセンスな制度だった」と述べ、EB-5を廃止してゴールドカードに置き換える方針を示しました​。

 

新制度では、投資家が米国政府に直接500万ドルを支払い、その資金が米国の財政赤字削減にも充てられるとされています​。

つまり、ゴールドカードは米国経済への貢献(資金提供)と引き換えに永住権を与える制度であり、富裕層移民を呼び込むことで経済活性化と財政改善を図る目的があります​。トランプ氏自身も「裕福な人々がこのカードを買って米国に来れば、多くの金を使い税金を払い、人々を雇用する。非常に成功するだろう」とその効果に自信を見せています​。

そのため、今後はこのゴールドカードが投資によるグリーンカード取得(EB-5)に代わる可能性が高いものと考えられます。(実際に執行され、EB-5が廃止された場合)

 

ゴールドカードとE2ビザの違い

ゴールドカードと従来からあるE2ビザには、目的や要件に大きな違いがあります。

 

まず大前提として、E2ビザは永住権ではなく、事業を通じてアメリカに貢献する非移民ビザとなります。基本的には5年ごとの更新などが必要となり、期間中は事実上、滞在することができますが、投資を通じてアメリカに永住するものではなく、(同じくアメリカで生活できると言う点はあれど)根本的には異なります。加えて(後述いたしますが)E2ビザはすべての国に開かれたものではありませんが、今回のゴールドビザはより開かれたものであるように見受けられます。

 

主な相違点を以下にまとめてまいります。

 

  • 必要な投資額について:まず、ゴールドカードは500万ドル(約7.5億円)という極めて高額な投資が必要です​。一方、E2ビザは明確な最低投資額の規定こそありませんが、当社支援実績では10〜20万ドル程度(約1,500万~3,000万円)の投資を一つの最低目安と置いています(あくまで当社支援実績に基づくものであり、状況により異なります。詳細はお問い合わせください)。

 

  • 永住権・市民権の取得可否について: ゴールドカードは取得者に米国永住権を付与し、最終的に市民権(米国籍)取得への道を提供する移民ビザです​。これに対し、E2ビザは非移民ビザに分類され、永住権(グリーンカード)や市民権を直接取得することを目的とはしていません。E2ビザ保持中に滞在は可能ですが、あくまでビザの延長・更新を続ける限り有効な一時的滞在資格です。

 

  • ビザ申請者の国籍要件について:ゴールドカードは特定の国籍要件はなく、資金さえ用意できれば世界中の富裕層が対象になるとされています(実際、発表時には「ロシアのオリガルヒ(新興財閥)も対象になり得る」との言及もありました。一方、E2ビザは米国と通商条約を結んだ国の国民のみが申請可能なビザとなっています。日本は米国との条約国に該当するため日本人はE2ビザを取得できますが、インドなど条約のない国の方は国籍者は利用できません。これはE2ビザが「条約国投資家ビザ」と呼ばれるゆえんでもあります。

 

  • 投資先・ビジネスの形態について: ゴールドカードは米国政府への資金提供が要件であり、申請者自身が具体的なビジネスを経営する必要はない可能性があります。極端に言えば、「米国に多額の金額投資をする」ことで永住権を得る方式です。これに対しE2ビザでは、申請者は米国内で自らが経営する事業に投資する必要があります。​

 

  • 雇用創出など追加要件について: ゴールドカードには現時点で明確な雇用創出要件は示されていません。これは、EB-5プログラム(グリーンカード)で課されていた「少なくとも10人の雇用創出」(2年間で)といった条件を撤廃し、資金提供を重視している点も特徴です​。これはもう少し続報を待つべきかもしれません。

 

また、ゴールドカードは永住権という位置付けとなるため、アメリカの滞在日数の制約(年間180日以上など)や、アメリカへの全世界所得申告が毎年必要となる、といった可能性が想定されます。

 

日本人にはE2ビザとゴールドカード、どちらが適しているか?

トランプ大統領

まずそもそもゴールドカードとE2ビザの目的が全く違う、といった前提の上で、かつあくまで私の私見もございますが、アメリカと条約があり、E2ビザが取得できる日本人としては、(アメリカに合法的に滞在し、ビジネス活動を通じて継続的な生活をする、という目的であれば)E2ビザの方が好ましいように思います。

 

その理由の一つは費用対効果で、ゴールドカードは7億5,000万円以上もの巨額資金を拠出する必要がありますが、一方でE2ビザで求められる投資額は事業内容によりますが、数千万円規模となります。

 

また、ゴールドカードには「出資のみで、永住権と市民権が得られる(2025年2月25日時点の報道)」という魅力があるものの、E2ビザは永住権こそ直接得られないものの、ビジネスが存続する限り、更新して長期滞在できるという強みがあります​。実際、E2ビザは最長5年ごとの更新が可能で、更新に回数制限はありません​。私自身、このビザを取得して2019年よりアメリカにてビジネスを行っています。

家族(配偶者と21歳未満の未婚子女)もE2ビザに基づいて渡米でき、配偶者には就労許可も下りるため、家族で生活基盤を築くことができます​。

なお、本件におけるE2ビザへの影響は現時点で何もないと当社Yaniv移民弁護士はコメントしております。EB-5はグリーンカードの一つであり、またグリーンカードに占める割合の中でも非常に低いものとなります。前述の通り、E2ビザは違った目的のものであるため、影響は考えづらいといった見解です。

 

アメリカ移住取得サポートはご相談ください

当社は、米国移住を支援する専門サービスを弁護士チーム含め2019年より提供しており、250件以上の支援実績があります。

 

E2ビザ申請手続きのトータルサポートとして、戦略立案からビザ申請書類準備、アメリカの事業立ち上げに必要な各種事項のサポートから、米国大使館での面接対策まで、一連の手続きを丁寧にサポートします。専門知識が求められるプロセスをビザ取得まで全面的にバックアップします。

 

トランプ大統領提案のゴールドカードの今後の動向にも注目しつつ、アメリカビジネスと移住についてご関心ある方はご相談お待ちしております。

 

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