アメリカで働きたいカナダ人やメキシコ人の専門職にとって、TNビザは最も実用的な選択肢の一つです。NAFTA(現USMCA)協定に基づくこの特別な非移民ビザは、対象国籍者に対してより簡素化された手続きでアメリカでの就労を可能にします。
2026年3月現在、TNビザはカナダ・メキシコ両国で年間65,000人以上の専門職が取得しており、その利便性と実用性から人気を博しています。しかし、TNビザには厳格な職業リストや教育要件があり、申請前の入念な準備が不可欠です。本日はTNビザについて詳しく見ていきましょう。
1. TNビザの概要と基本的な仕組み

TNビザ(Trade NAFTA Visa)は、USMCA協定(旧NAFTA)に基づく非移民ビザで、カナダ人とメキシコ人の専門職がアメリカで一時的に働くことを可能にします。
このビザの最大の特徴は、他の就労ビザと比べて手続きが簡素化されている点にあります。H-1Bビザのような年間発給数の制限がなく、労働証明書の取得も不要です。
TNビザの対象国籍
TNビザを申請できるのは以下の国籍者に限定されます。
①カナダ国籍者、カナダ・アメリカ国境での申請が可能
②メキシコ国籍者、アメリカ領事館での事前申請が必要
カナダ人の場合、国境でのその場申請が認められているため、より迅速な手続きが可能です。一方、メキシコ人は事前にアメリカ領事館での面接を経てビザを取得する必要があります。
TNビザの有効期間と更新
TNビザの初回有効期間は最長3年です。更新は理論上無制限ですが、実際には一時的な滞在という性質上、長期間の更新には注意が必要です。
2. TNビザの対象職業と教育要件

TNビザで就労できる職業は、USMCA協定で規定された63の専門職に限定されています。これらの職業には厳格な教育要件や資格要件が設定されています。
主要な対象職業カテゴリー
以下に代表的な職業分野をご紹介します。
①エンジニア、学士号または州のライセンス
②科学者、生物学、化学、物理学等の学士号
③コンピューター関連、学士号または同等の経験
④会計士、学士号またはCPA資格
⑤弁護士、法学博士号(J.D.)または州の弁護士資格
各職業には具体的な教育要件が定められており、学位の専門分野と職務内容の一致が求められます。
| 職業分野 | 必要な学位・資格 | 代表的な職種 | 追加要件 |
|---|---|---|---|
| エンジニア | 工学士号または州ライセンス | 土木、電気、機械 | 専門分野の一致 |
| 医療従事者 | 関連学位+州ライセンス | 看護師、薬剤師 | NCLEX等の試験合格 |
| 会計・金融 | 学士号またはCPA | 会計士、経済学者 | 専門知識の証明 |
| 教育 | 学士号+教員資格 | 大学教授、研究者 | 教授ポジション |
| IT・技術 | 学士号または同等経験 | システム分析、技術者 | 技術スキルの実証 |
※上記は、TNビザ対象職業の主要カテゴリーと要件をまとめた表です。
学位認証と同等性の証明
カナダやメキシコで取得した学位をアメリカで認証する必要があります。World Education Services(WES)などの認証機関で学位評価を受けることが推奨されます。
3. 申請手続きと必要書類

TNビザの申請手続きは国籍により異なりますが、共通して詳細な準備が必要です。特に職業要件と雇用条件を証明する書類の準備が重要になります。
カナダ人の申請プロセス
カナダ人はアメリカ・カナダ国境での入国審査時にTN分類を申請できます。このため、事前のビザ申請は不要です。
必要書類は以下の通りです。
①雇用オファーレター、職務内容、期間、給与の詳細
②学位証明書、TNカテゴリーに適合する学位
③職歴証明書、関連する職務経験
④資格証明書、州ライセンスや専門資格
メキシコ人の申請プロセス
メキシコ人は事前にアメリカ領事館での面接を受ける必要があります。申請プロセスは以下の流れになります。
①DS-160オンラインフォームの提出
②面接予約の取得
③必要書類の準備
④領事館での面接受験
⑤ビザ発給決定
面接では職業要件の適合性や雇用契約の妥当性について詳細な質問があります。
申請費用と処理期間
TNビザの申請費用は以下の通りです(2026年3月現在、1ドル=155円換算)。
カナダ人、入国時の審査手数料56ドル(約8,680円)
メキシコ人、DS-160申請費用185ドル(約28,675円)
処理期間はカナダ人の場合、国境での即日審査が可能です。メキシコ人の場合は、領事館の予約状況により2週間から2ヶ月程度要します。
4. TNビザのメリットと制限事項

TNビザには多くの利便性がある一方で、重要な制限事項も存在します。申請前にこれらの特徴を十分理解しておくことが重要です。
TNビザの主要メリット
TNビザの最大の利点は手続きの簡素性にあります。以下に主要なメリットをご紹介します。
①年間発給数制限なし、H-1Bのような抽選システムがない
②労働証明書不要、雇用主による複雑な手続きが不要
③家族の同行可能、配偶者・子供はTD分類で入国
④更新の柔軟性、3年ごとの更新が可能
また、税務上の取り扱いも比較的明確で、適切な税務プランニングが可能です。
TNビザの重要な制限事項
一方で、TNビザには以下の制限があります。
①永住意図の禁止、一時的滞在が前提
②職業の限定、63の指定職業以外は対象外
③雇用主の変更制限、新たな申請が必要
④自営業の禁止、独立した事業活動は不可
特に永住意図については厳格に審査されるため、グリーンカード申請との両立には慎重な戦略が必要です。
家族の同行とTDビザ
TNビザ保持者の配偶者と21歳未満の未婚の子供は、TDビザで同行できます。
TDビザの特徴は以下の通りです。
配偶者の就労、雇用許可証(EAD)申請により可能
子供の就学、公立学校への通学が認められる
有効期間、主申請者のTNビザと同一
まとめ

TNビザは、カナダ・メキシコ国籍の専門職にとって実用的で効率的なアメリカ就労ビザです。USMCA協定の恩恵により、他の就労ビザと比べて簡素化された手続きでアメリカでの就労が実現できます。
申請成功のポイントは、対象職業への適合性確認と必要書類の完璧な準備にあります。特に学位要件や職務内容の一致については、事前の入念な確認が不可欠です。
また、TNビザは一時的な就労ビザであることを念頭に置き、将来的な永住計画がある場合は適切な戦略立案が重要になります。我々の経験では、TNビザからグリーンカードへの移行を成功させるクライアント様も多数いらっしゃいます。
TNビザに関するご質問やより詳細な申請戦略については、お問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。専門的な見地から、お客様の状況に最適なアドバイスをご提供いたします。
お客様の成功事例
当社では多数のビザ取得支援実績がございます。実際の成功事例については、以下をご参照ください。
・E2ビザ取得成功事例①
・E2ビザ取得成功事例③
・E2ビザ取得成功事例④
ビザ取得をご検討の方へ

アメリカでのビザ取得は複雑なプロセスですが、適切な準備と戦略により成功率を大幅に向上させることができます。TNビザ以外にも、お客様の状況に応じてE2投資家ビザなど様々な選択肢がございます。
ビザ取得に関するご相談は、お問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。


















