2026年3月10日 Satoshi Onodera

アメリカで起業する5ステップ|会社設立から銀行口座開設まで

2026年3月現在、アメリカでの起業は世界中の起業家にとって最も魅力的な選択肢の一つです。

私自身も2019年にニューヨークで起業し、これまで7年間事業を運営してまいりました。当社でも年間50社以上の日本企業のアメリカ進出をお手伝いしており、その経験から申し上げると、アメリカ起業は正しい知識と準備があれば十分に実現可能です。

本記事では、アメリカで起業を検討されている皆さまに向けて、実際の手続きから成功のポイントまで、現地での実体験に基づいて詳しく解説してまいります。起業形態の選択から資金調達、ビザ取得まで、包括的にご案内いたします。

 

1. アメリカ起業の基本知識と法人形態の選択

1. アメリカ起業の基本知識と法人形態の選択

アメリカで起業する際、まず決定しなければならないのが法人形態です。私が2019年に起業した際も、この選択に最も時間をかけました。

 

主要な法人形態の特徴

LLC(Limited Liability Company)は最も人気の高い形態です。米国中小企業庁(SBA)によると、新規起業の約60%がLLCを選択しています。

設立手続きが簡単で、税務上のパススルー課税が適用されるため、法人税と個人所得税の二重課税を避けることができます。年間の維持費用も州によって異なりますが、一般的に500ドル(約75,000円)程度と比較的安価です。

C Corporationは大規模な資金調達を予定している場合に適しています。ベンチャーキャピタルからの投資を受けやすく、株式公開も可能ですが、二重課税の問題があります。

法人形態 設立費用 税制 責任 適用場面
LLC $500-2,000 パススルー 有限責任 中小企業・サービス業
C Corporation $1,000-5,000 二重課税 有限責任 大規模事業・VC調達
S Corporation $1,000-3,000 パススルー 有限責任 中規模企業
Partnership $200-1,000 パススルー 無限責任 共同事業

※設立費用は州により変動、専門家費用除く

 

設立州の選択戦略

デラウェア州は「法人設立の聖地」と呼ばれ、デラウェア州法務省のデータによると、フォーチュン500企業の65%以上がデラウェア州で設立されています。

法人法が発達しており、裁判所の判例も豊富で予測可能性が高いことが特徴です。ただし、実際の事業拠点が他州にある場合は、その州でも登録が必要になる場合があります。

 

2. ビザと就労許可の取得方法

2. ビザと就労許可の取得方法

日本人がアメリカで起業するためには、適切なビザの取得が不可欠です。私自身も最初はE2ビザから始めました。

 

E2投資家ビザの活用

E2ビザは日本人起業家にとって最も実用的な選択肢です。米国国務省によると、最低投資額の明確な規定はありませんが、実質的には20万ドル(約3,000万円)程度が目安となります。

事業計画の妥当性、投資資金の合法性、雇用創出の可能性が審査されます。私が支援したお客様の中には、15万ドル(約2,250万円)の投資でビザを取得された方もいらっしゃいます。

E2ビザの最大のメリットは、配偶者も就労許可を得られることです。お子様の教育も考慮すると、家族全体でのアメリカ移住が可能になります。

 

その他のビザオプション

L1ビザは日本に親会社がある場合に利用できます。過去3年間のうち1年以上、日本の関連会社で管理職または専門職として勤務していることが条件です。

USCIS(米国移民局)のデータによると、L1ビザの承認率は約85%と比較的高水準を維持しています。

 

3. 資金調達と金融機関との関係構築

3. 資金調達と金融機関との関係構築

アメリカでの起業において、資金調達は成功の鍵を握ります。私も初期は銀行口座開設だけで3ヶ月かかりました。

 

初期資本の準備

起業時の初期資本は業種により大きく異なりますが、カウフマン財団の調査によると、平均的なスタートアップの初期資金は8万ドル(約1,200万円)程度です。

ただし、これは全業種の平均であり、テクノロジー系企業では50万ドル(約7,500万円)以上、サービス業では2万ドル(約300万円)程度と大きな開きがあります。

 

銀行口座開設の実務

銀行口座開設は最初の大きな壁です。Chase BankBank of Americaなどの大手銀行では、通常以下の書類が必要です。

法人設立証明書、EIN(雇用者識別番号)、パスポート、ビザ、初期預金として5,000ドル(約75万円)程度を求められることが一般的です。

当社の経験では、地方銀行の方が対応が柔軟な場合もあります。特に、その地域での事業展開を具体的に説明できれば、審査通過の可能性が高まります。

 

投資家との関係構築

成長資金が必要な場合、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルとの関係構築が重要です。全米ベンチャーキャピタル協会(NVCA)によると、2024年のVC投資総額は1,800億ドル(約27兆円)に達しています。

シリコンバレーのSand Hill Roadには多くのVCが集中しており、ニューヨークでもUnion Square VenturesやFirst Round Capitalなど著名なファンドが活動しています。

 

4. 事業運営と規制遵守のポイント

4. 事業運営と規制遵守のポイント

アメリカでの事業運営には、日本とは異なる規制や慣行への理解が不可欠です。

 

税務・会計システムの構築

税務申告は複雑で、州税と連邦税の両方に対応する必要があります。IRS(内国歳入庁)によると、中小企業の約40%が税務申告で何らかのミスを犯しているというデータがあります。

私も最初の年は専門家に依頼せず自分で申告しようとしましたが、結果的に2倍の時間と労力がかかってしまいました。CPA(公認会計士)への依頼は年間5,000ドル(約75万円)程度かかりますが、リスクを考慮すると妥当な投資です。

 

雇用・労務管理

従業員雇用には厳格な規制があります。米国労働省の定める最低賃金や労働時間の規則、反差別法の遵守が必要です。

ニューヨーク州の最低賃金は2026年現在、時給15ドル(約2,250円)となっており、年々上昇傾向にあります。健康保険の提供も法的義務となる場合があり、従業員1人当たり年間8,000ドル(約120万円)程度のコストを見込む必要があります。

 

知的財産権の保護

アメリカは世界最大の知的財産権市場です。商標、特許、著作権の保護は事業成功の重要な要素となります。

USPTO(米国特許商標庁)での商標登録費用は基本的に275ドル(約41,250円)からですが、弁護士費用を含めると2,000ドル(約30万円)程度が一般的です。

 

まとめ

まとめ

アメリカでの起業は確かに挑戦的ですが、正しい準備と戦略があれば十分に実現可能です。

法人形態の選択から始まり、ビザ取得、資金調達、事業運営まで、各段階で専門家のサポートを受けることが成功への近道となります。私自身の経験からも、特に最初の1年間は現地の専門家とのネットワーク構築に投資することを強くお勧めします。

重要なのは、アメリカの市場特性や規制環境を十分に理解し、長期的な視点で事業計画を立てることです。一時的な困難があっても、諦めずに継続することで必ず道は開けます。

当社では、アメリカでの起業をご検討の皆さまに対して、E2ビザ取得から法人設立、事業立ち上げまでの総合的なサポートを提供しております。ご質問やご相談がございましたら、お問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。