アメリカの大学や大学院を卒業した後、そのまま現地で働きたいと考える方は非常に多くいらっしゃいます。F-1ビザ(学生ビザ)で留学した方が卒業後にアメリカで就労するための制度がOPT(Optional Practical Training)です。
OPTは、専攻分野に関連した職種で最長12か月間働くことができる制度であり、さらにSTEM(科学・技術・工学・数学)分野の学位取得者は追加で24か月間の延長が認められ、合計最長36か月間のアメリカ就労が可能となります。
米国移民・関税執行局(ICE)のSEVISデータによると、2024年度のOPT承認件数は約22万件に上り、STEM OPT延長の承認件数も約9万件と過去最高を更新しています。本日はOPT制度の詳細と申請方法について見ていきましょう。
1. OPT制度の基本と対象者

OPTは、F-1ビザで在学中の学生、もしくは課程を修了した学生が、専攻分野に直接関連する職種で実務経験を積むことを目的とした制度です。米国市民権・移民局(USCIS)が管轄しています。
OPTには2つのタイプがあります。Pre-completion OPTは在学中に利用するもので、授業期間中は週20時間まで、休暇期間中はフルタイムで就労が可能です。Post-completion OPTは卒業後に利用するもので、フルタイム(週20時間以上)の就労が求められます。多くの留学生が利用するのはPost-completion OPTです。
OPTの対象者の条件
OPTを利用するためには、以下の条件を満たす必要があります。
①有効なF-1ビザステータスであること。フルタイムの学生として最低1学年(通常9か月)以上在籍していることが条件です。
②専攻分野に関連した職種であること。OPTでの就労は学位の専攻分野に直接関連している必要があり、まったく関係のない分野での就労は認められません。
③申請期限を守ること。Post-completion OPTの場合、卒業日の90日前から60日後までの間にUSCISに申請書類を提出する必要があります。
以上で見てきたように、OPTの対象者は明確に定められており、申請期限の管理が極めて重要です。
2. OPT申請の流れと必要書類

OPTの申請プロセスは、学校のDSO(Designated School Official)とUSCISの両方が関与するため、計画的に進めることが大切です。それでは申請の流れを見ていきます。
申請ステップ
①DSOへの申請として、まず在籍校のインターナショナルオフィスでDSOにOPT推薦を依頼します。DSOがSEVISでI-20を更新し、OPT推薦のエンドースメントを記載します。
②USCISへのI-765提出として、Employment Authorization Document(EAD)の申請書であるForm I-765をUSCISに提出します。申請料は410ドル(約63,550円)です。
③EADカードの受領として、通常申請から3〜5か月程度で審査が完了し、EADカードが郵送されます。このカードが届くまで就労を開始することはできません。
| 書類 | 概要 | 注意点 |
|---|---|---|
| Form I-765 | 就労許可申請書 | オンライン申請可能 |
| I-20(OPT推薦済み) | DSOがOPT推薦を記載したもの | 最新の署名が必要 |
| パスポートコピー | 有効期限内のもの | 全ページ |
| 証明写真(2枚) | パスポートサイズ | 6か月以内に撮影 |
| 申請料 410ドル | チェックまたはマネーオーダー | オンラインはカード払い可 |
※上記は、2026年現在の標準的な必要書類です。学校により追加書類が求められる場合があります。
3. STEM OPT延長の条件と手続き

STEM分野の学位を取得した留学生にとって、STEM OPT延長は非常に魅力的な制度です。通常のOPT(12か月)に加えて24か月間の延長が認められ、合計最長36か月間のアメリカ就労が可能となります。
DHS(国土安全保障省)のSTEM OPTハブによると、対象となるSTEM分野はCIP(Classification of Instructional Programs)コードで定められており、コンピュータサイエンス、工学、数学、物理学、生物学などが含まれます。2024年の改定により、データサイエンスやAI関連の分野も新たに追加されています。
STEM OPT延長の要件
STEM OPT延長を申請するためには、通常のOPTの条件に加えていくつかの追加要件があります。まず雇用主がE-Verifyに登録していることが必須条件です。E-Verifyは、従業員の就労資格を電子的に確認するシステムであり、小規模企業ではまだ登録していないケースもあるため、就職先選びの段階で確認が必要です。
また、雇用主と学生が共同でForm I-983(Training Plan)を作成し、DSOに提出する必要があります。このトレーニングプランには、学生の専攻分野とどのように関連する業務を行うか、どのようなスキルを習得するかを具体的に記載します。6か月ごとにDSOへの進捗報告も求められます。
一方で、STEM OPT延長に対しては批判的な意見も存在します。アメリカ国内の労働者の雇用機会を奪うという議論や、トランプ政権下では制度の見直しが検討されたこともありました。しかし、テクノロジー分野における人材不足は深刻であり、米国労働統計局(BLS)のデータでは、STEM職の求人数は供給を大幅に上回っています。STEM OPT延長は、アメリカ経済の競争力維持においても重要な役割を果たしています。
4. OPT期間中の注意点とその後のキャリアパス

OPT期間中にはいくつかの重要なルールがあり、これらを遵守しないとビザステータスを失うリスクがあります。
失業期間の制限
Post-completion OPTでは、累計90日間を超える失業期間があるとF-1ステータスを失います。STEM OPT延長の場合はこの期間が累計150日間に緩和されます。就労先が決まっていない状態でOPTを開始する場合は、この期間制限を十分に意識する必要があります。
また、住所変更があった場合は10日以内にDSOへ報告する義務があり、雇用主や職務内容の変更も同様に報告が必要です。これらの報告義務を怠ると、SEVISレコードが終了される可能性があります。
OPT後のキャリアパス
OPT終了後にアメリカで働き続けるためには、別のビザステータスへの切り替えが必要です。最も一般的なルートはH-1Bビザ(専門職ビザ)への切り替えですが、年間の発給枠が約65,000件(修士以上は追加20,000件)に限られており、抽選制となっています。
その他のオプションとして、E2ビザ(投資家ビザ)での起業、L-1ビザ(企業内転勤ビザ)、O-1ビザ(卓越能力者ビザ)などがあります。特に起業志向の方にとっては、OPT期間中に自ら事業を立ち上げることも可能であり(一定の条件を満たす場合)、その後E2ビザへの切り替えを目指すルートは当社でも多くのご相談をいただいています。
まとめ

F-1ビザのOPT制度は、アメリカの大学を卒業した留学生にとって、現地でのキャリアを始める最も現実的なルートです。通常12か月、STEM分野であれば最長36か月間の就労が可能であり、この期間にアメリカでの実務経験と人脈を構築することは、その後のキャリアにとって計り知れない価値があります。
申請期限の管理、失業期間の制限、DSOへの報告義務など、制度上のルールは厳格ですが、これらを正しく理解して計画的に行動すれば、OPTはアメリカでのキャリアへの確実な第一歩となります。OPT後の次のステップとしてE2ビザやグリーンカードをご検討の方は、ぜひ当社にご相談ください。
お客様の成功事例
アメリカでのキャリア構築を実現されたお客様の事例をご紹介します。
・E2ビザを取得されカリフォルニアで教育事業を展開されている佐藤社長
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※当社は移民法上の法的申請代理を行う法律事務所ではありません。当該業務は移民弁護士が担当します。


















