L-1ビザは、多国籍企業の駐在員がアメリカで働くために必要な企業内転勤ビザです。2026年5月現在、日本企業のアメリカ進出が加速する中で、L-1ビザは重要な選択肢となっています。
このビザは、日本の親会社で1年以上勤務した管理職または専門職の従業員が、アメリカの関連会社に転勤する際に取得できます。H-1Bビザと異なり、年間発給数に上限がなく、配偶者も就労許可を得ることができるため、企業にとって戦略的価値の高いビザ制度です。
本日はL-1ビザの詳細な仕組みと申請方法について見ていきましょう。
新規設立支店の場合の特別ルール
既存の米国法人への転勤とは異なり、日本企業が米国に新規で支店を設立する場合、L-1ビザの申請には特別な要件が適用されます。このケースでは、申請者が米国で事業を開始する準備段階から関与していることが必須となります。具体的には、米国法人のオフィス確保や従業員採用、事業計画の策定など、実質的な運営準備を主導している事実を証明する必要があります。また、新規設立の場合は最初の滞在期間が1年間に制限されるため、その後に事業が順調に進んでいることを示して更新申請を行う流れが一般的です。
配偶者の就労許可と家族帯同
L-1ビザの大きな利点の一つに、配偶者が自動的に就労許可を取得できる点が挙げられます。配偶者はL-2ビザを取得し、米国国内のどの企業でも働くことが可能になります。この制度は、家族の経済的安定を図るだけでなく、配偶者が現地のネットワークを構築する機会も提供します。子供については、F-1学生ビザを取得せずに現地の公立学校や私立学校に通学できるため、教育環境の面で大きな安心感があります。家族全員が米国で生活基盤を築ける点は、長期駐在を検討する企業にとって非常に魅力的な要素です。
申請プロセスにおける審査の厳格化
近年、米国移民局はL-1ビザの審査基準をより厳格化しており、特に「企業間の関係性」と「申請者の職務内容」に焦点を当てています。親会社と米国法人が同じグループに属していることを証明する組織図や資本関係の書類は、詳細かつ明確に提出する必要があります。また、申請者が日本国内で管理職や専門職として実際に働いていた実績を、給与明細や評価表などの客観的な証拠で裏付けることが求められます。審査官は、申請者が米国で同じ役割を果たす能力があるか、あるいはその職務が米国市場において不可欠かを慎重に判断するため、書類作成には細心の注意を払う必要があります。
1. L-1ビザの基本概要と種類

L-1ビザは、企業内転勤ビザとして1970年に制定された制度で、多国籍企業の人材移動を促進することを目的としています。米国移民局(USCIS)によると、2026年度には約75,000件のL-1ビザが発給されています。
L-1Aビザ、管理職・役員向け
L-1Aビザは、経営幹部や管理職を対象とした分類です。取得者は最大7年間のアメリカ滞在が可能で、グリーンカードへの切り替えも比較的容易です。
対象となる職種には、部門責任者、支社長、地域統括責任者などが含まれます。申請者は、他の従業員を直接監督する立場にあるか、組織の重要な機能を管理する権限を持つ必要があります。
L-1Bビザ、専門知識保有者向け
L-1Bビザは、特殊な専門知識を持つ従業員が対象です。滞在期間は最大5年間に制限されており、会社の製品、サービス、研究、技術などに関する高度な知識を持つ専門家が該当します。
米国国務省の定義では、この専門知識は一般的な業界知識を超え、企業固有のものである必要があります。
2. 申請条件と企業要件

L-1ビザの申請には、企業間の関係性と従業員の勤務実績が重要な要素となります。まず企業要件から詳しく見ていきましょう。
企業間の関係性要件
申請企業は、以下のいずれかの関係を証明する必要があります。これらの要件はUSCISポリシーマニュアルに詳細に規定されています。
①親子会社関係、50%以上の株式保有による支配関係
②子会社関係、親会社が複数の子会社を支配する関係
③支社・支店関係、同一企業の異なる拠点間での転勤
④合弁会社関係、共同出資による事業体への派遣
従業員の勤務実績要件
申請者は、申請前3年間のうち連続する1年以上を海外の関連会社で勤務している必要があります。この期間は、管理職または専門職として従事していることが条件です。
また、アメリカでの職務は、海外での職務と同等かより上位のレベルである必要があります。単純な技術者から管理職への昇進は可能ですが、管理職から単純作業員への降格は認められません。
3. 申請手続きと必要書類

L-1ビザの申請プロセスは、I-129請願書の提出から始まります。これは雇用主がUSCISに提出する書類で、従業員のビザ申請の前提となる重要な手続きです。
I-129請願書の準備
Form I-129の申請には、以下の書類が必要です。申請費用は基本料金が$460(約71,300円)で、追加料金が発生する場合があります(2026年5月現在、1ドル=155円換算)。
必要書類一覧は以下の通りです。
| 書類名 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 企業関係証明書 | 株主構成、組織図、財務諸表 | 英訳が必要 |
| 職務記述書 | 海外・米国での職務内容 | 管理職は権限を明記 |
| 雇用証明書 | 勤務期間と職位の証明 | 1年以上の勤務実績 |
| 学歴・職歴証明 | 学位証明書、職歴書 | 専門性の立証に重要 |
※上記は、L-1ビザ申請に必要な主要書類です
領事館面接の準備
I-129請願書が承認された後、申請者は在日米国領事館で面接を受けます。在日米国大使館では、東京と大阪で面接が実施されており、予約から面接まで通常2~4週間を要します。
面接では、職務内容の詳細、企業間関係、アメリカでの事業計画などについて質問されます。準備すべき点として、企業の事業戦略を明確に説明できることが重要です。
4. 取得後の注意点と更新手続き

L-1ビザ取得後は、ステータス維持のためのルールを遵守する必要があります。違反すると、ビザが取り消される可能性があります。
就労制限と転職規定
L-1ビザ保有者は、請願書に記載された特定の雇用主でのみ就労可能です。転職や職務変更を行う場合は、新たにI-129請願書を提出する必要があります。
また、USCIS規定により、L-1B保有者は関連企業間での転職は可能ですが、無関係な企業への転職はビザステータスの変更が必要です。
更新申請のタイミング
L-1ビザの更新は、期限切れの6ヶ月前から申請可能です。更新回数に制限はありませんが、L-1Aは最大7年間、L-1Bは最大5年間という総滞在期間の制限があります。
更新申請では、継続的な雇用関係と職務の妥当性を証明する必要があります。特に、事業の成長や職務の発展を示す書類の準備がポイントです。
家族ビザ(L-2)の取得
L-1ビザ保有者の配偶者と21歳未満の未婚の子どもは、L-2ビザを取得できます。L-2ビザ保有者の配偶者は、Form I-765を提出することで就労許可を得ることができます。
まとめ

L-1ビザは、多国籍企業の人材戦略において極めて重要な制度です。H-1Bビザと比較して年間発給数の上限がないことや、配偶者の就労許可が得られることから、企業にとって魅力的な選択肢となっています。
成功の鍵は、企業間関係の明確な証明と、申請者の職務経験の適切な立証です。特に管理職レベルでは、具体的な権限と責任を示すことが重要で、専門職では企業固有の知識やスキルを強調する必要があります。
また、申請プロセスは複雑で、書類の不備や面接での説明不足により却下されるケースも少なくありません。当社では、L-1ビザを含む各種就労ビザの申請サポートを行っており、豊富な実績を基に最適な戦略をご提案いたします。
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