アメリカ入国時の税関手続きは、観光客から駐在員まで、すべての渡航者にとって避けて通れない重要なプロセスです。2026年4月現在、アメリカの税関・国境警備局(CBP)は、テロ対策強化と貿易管理の観点から、入国時の検査体制をより厳格化しています。
特に近年では、デジタル申告システムの導入や、高額商品の持ち込みに対する監視強化など、従来とは大きく異なる対応が求められています。適切な準備なしに入国審査に臨んだ場合、予想以上の時間がかかったり、追加の税金や罰金が課せられたりする可能性があります。
本日はアメリカ入国時の税関手続きについて詳しく見ていきましょう。
1. アメリカ入国時の税関システムの基本構造

CBPの役割と権限
アメリカの税関・国境警備局(CBP)は、米国税関・国境警備局として、年間約4億人の入国者と2,700万台の車両を処理する巨大な組織です。CBPは単なる税関業務だけでなく、国境警備、テロ対策、麻薬取締りなど、幅広い権限を持っています。
入国者は、CBPの指示に従い、すべての持参品について正直に申告する義務があります。虚偽申告や申告漏れが発覚した場合、商品の没収はもちろん、最高で商品価格の4倍の罰金が科せられる場合があります。
税関申告書(CBP Form 6059B)の記入方法
すべての入国者は、税関申告書CBP Form 6059Bを記入する必要があります。現在では、多くの空港でデジタル申告システム「Mobile Passport Control」アプリが導入されており、事前にスマートフォンで申告を完了できます。
申告書には、持参金額、商品の種類と価値、滞在期間、滞在目的などを正確に記載する必要があります。特に注意すべきは、現金1万ドル(約155万円)以上の持参時は必ず申告することです。これは現金、小切手、マネーオーダー、トラベラーズチェックすべてを含みます(2026年4月現在、1ドル=155円換算)。
2. 免税範囲と申告が必要な商品の詳細

個人使用目的の免税範囲
CBPの免税規定によると、21歳以上の成人1人あたり以下の商品が免税で持ち込み可能です。
アルコール類については、1リットルまでが免税範囲となります。ただし、州によってはアルコールの持ち込み制限が異なるため、最終目的地の州法も確認が必要です。たばこ製品は200本(1カートン)、または葉巻50本、または刻みたばこ2キログラムまでが免税対象です。
その他の商品については、総額800ドル(約124,000円)までが免税範囲となります。この金額を超える場合、超過分に対して関税が課せられます。重要なのは、商品の価値は購入価格ではなく、現在の市場価値で評価される点です。
| 商品カテゴリー | 免税範囲 | 申告必要額 | 税率 |
|---|---|---|---|
| 一般商品 | 800ドル | 800ドル超 | 商品により異なる |
| アルコール類 | 1リットル | 1リットル超 | 州により異なる |
| たばこ製品 | 200本 | 200本超 | 連邦税+州税 |
| 現金 | 10,000ドル未満 | 10,000ドル以上 | 申告のみ(税金なし) |
※上記は、個人使用目的での持ち込みに適用される免税範囲と申告基準
商業目的の持ち込み制限
商業目的での商品持ち込みは、個人使用とは全く異なる規制が適用されます。CBPの商業輸入規定では、販売目的や配布目的の商品については、金額に関係なく商業申告が必要となります。
また、同一商品を大量に持参する場合も、商業目的とみなされる可能性があります。例えば、同じブランドの時計を5個持参している場合、個人使用ではなく販売目的と判断され、追加の書類提出や関税の支払いを求められることがあります。
3. 持ち込み禁止・制限品目と必要な許可書類

絶対に持ち込み禁止の品目
農務省の規制により、生鮮食品、肉製品、乳製品、植物、種子類は基本的に持ち込み禁止となっています。これらの品目は、アメリカの農業や生態系を脅かす病害虫や病原菌を持ち込むリスクがあるためです。
近年特に注意が必要なのは、加工食品であっても肉や乳製品を含む商品です。例えば、日本のカップラーメンの多くは肉エキスが含まれているため持ち込み禁止です。「加工してあるから大丈夫」という判断は非常に危険で、発覚した場合は没収されるだけでなく、罰金の対象となります。
制限品目と必要書類
医薬品については、FDA(食品医薬品局)の規制に従う必要があります。処方薬は、英文の処方箋または医師の診断書があれば、通常3か月分まで持ち込み可能です。
ただし、向精神薬や麻薬系の薬品については、事前にDEA(麻薬取締局)の許可が必要な場合があります。市販薬であっても、アメリカで販売されていない成分を含む薬品は問題となる可能性があるため、英文の成分表を用意することをご推奨いたします。
文化財や骨董品については、CBPの文化財保護規定により、原産国の輸出許可証が必要な場合があります。特に100年以上経過した美術品や考古学的価値のある品物は、厳格な審査の対象となります。
4. デジタル申告システムと最新の入国手続き

Mobile Passport Controlアプリの活用
2026年より本格運用が開始されたMobile Passport Controlアプリは、入国手続きの大幅な時短を実現しています。このアプリを使用することで、機内や空港で事前に税関申告を完了でき、到着後は専用レーンを利用できます。
アプリでは、パスポート情報の読み取り、顔写真の撮影、税関申告書の入力がすべて完了します。利用可能な空港は現在47空港に拡大されており、主要都市のほぼすべてをカバーしています。ただし、初回利用時はアカウント作成に時間がかかるため、渡航前の事前準備をご推奨いたします。
自動入国審査機(APC)の使用方法
自動入国審査機(APC)は、アメリカ市民、永住権保持者、および特定のビザ保持者が利用できるシステムです。機械でパスポートをスキャンし、指紋認証と顔認証を行った後、税関申告を入力します。
APCを利用する場合でも、申告内容に応じて税関職員との面接が必要になることがあります。特に高額商品の持参や、申告項目で「はい」を選択した場合は、従来通り職員による確認が行われます。機械の利用により手続きは簡素化されますが、申告の正確性は従来と同様に重要です。
5. まとめ

アメリカ入国時の税関手続きは、適切な準備と正確な申告により、スムーズに完了できる手続きです。重要なポイントは、免税範囲の正確な理解、禁止品目の把握、そして何よりも正直な申告です。
デジタル申告システムの普及により手続きは効率化されていますが、申告内容の重要性は変わりません。特に現金1万ドル以上の持参、商業目的の商品持ち込み、制限品目については、事前の確認と適切な書類準備が不可欠です。
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