【アメリカ法人設立】デラウェア州がアメリカで起業するのに最適な州と言われる理由とは?

2024年12月21日 Reinvent NY Inc

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本記事では、「デラウェア州がアメリカで起業するのに最適な州と言われる理由」というテーマについて記事を執筆させていただきます。

最後までお付き合いいただけますと幸いです。

 

はじめに

Delaware | Flag, Facts, Maps, & Points of Interest | Britannica

米国におけるデラウェア州の企業法務上の地位は、他に類を見ないほど特徴的です。アメリカの企業設立において、デラウェア州は圧倒的な存在感を示しています。

 

フォーチュン500企業の約67%、ニューヨーク証券取引所上場企業の50%以上がデラウェア州で設立されています。なぜ、人口わずか100万人のこの小さな州が、アメリカの企業に好まれているのでしょうか。

 

その理由は、19世紀末から築き上げてきた企業フレンドリーな法制度と、効率的な行政サービス、そして長年の判例法の蓄積にあります。

特に、1899年のデラウェア州会社法(Delaware General Corporation Law)の制定以降、企業にとって魅力的な法的環境を継続的に提供してきました。

 

1. デラウェア州が起業に最適な理由

法人設立が簡単

デラウェア州の法人設立プロセスは、効率的でスピーディーです。オンラインでの申請が24時間365日可能で、必要書類も最小限に抑えられています。

通常1〜2営業日で設立が完了し、急ぎの場合は24時間以内の処理も可能です。設立に必要な役員は1名のみで、株主や取締役が外国人でも問題ありません。

 

また、実際の事業所をデラウェア州に持つ必要はなく、登録代理人(Registered Agent)を置くだけで済みます。州政府のウェブサイトも使いやすく、各種手続きのガイドラインが明確に示されています。

さらに、法人設立の際の資本金に関する規制も緩やかで、最低資本金の定めもありません。多言語対応のサポートも充実しており、外国企業の進出もスムーズに行えるのが特徴です。

 

法律面の優位性

デラウェア州の最大の特徴は、200年以上に渡って蓄積された企業法の判例と、専門的な裁判所の存在です。

特に、企業法専門の「衡平法裁判所(Court of Chancery)」では、陪審員を置かず、企業法に精通した裁判官が審理を行うため、迅速で一貫性のある判断が期待できます。

 

また、デラウェア州会社法(DGCL)は、企業の柔軟な運営を可能にする一方で、株主の権利も適切に保護しており、バランスの取れた内容となっています。企業の合併・買収(M&A)に関する規定も充実しており、複雑な取引構造にも対応可能です。

さらに、州の立法府は企業法の現代化に積極的で、ビジネス環境の変化に応じて迅速な法改正を行っています。

 

税制のメリット

デラウェア州は、州外で行われる事業活動からの収入に対して法人税を課さないという大きな特徴があります。

また、州内に実際の事業所を持たない場合、売上税や固定資産税も発生しません。株主が州外に居住している場合は、配当金に対する州税も免除されます。さらに、法人設立時の手数料も比較的リーズナブルで、年間のフランチャイズ税(年次報告書提出料)も、企業規模に応じた適正な金額に設定されています。

 

知的財産権に関する税制優遇措置も充実しており、特許やロイヤリティ収入に対する課税も軽減されています。

また、国際取引に関する二重課税の回避措置も整備されており、グローバルなビジネス展開を考える企業にとって有利な環境となっています。

 

信頼性とブランド力

デラウェア州法人であることは、ビジネスの世界で一定の信頼性を示すブランドとなっています。

多くの著名企業がデラウェア州で設立されているという実績は、投資家や取引先との関係構築において大きな利点となります。特に、ベンチャーキャピタルや投資家は、デラウェア州法人の法的枠組みに精通しているため、投資判断がスムーズになります。

 

また、将来の株式公開(IPO)を考える場合も、デラウェア州法人であることは有利に働きます。さらに、国際的な取引においても、デラウェア州法人というステータスは広く認知されており、海外の取引先との信頼関係構築にも役立ちます。

金融機関との取引や融資の申請においても、デラウェア州法人であることは、企業の信頼性を示す重要な要素として評価されます。

 

2. デラウェア州で法人を設立する具体的な手続き

設立前の準備

デラウェア州で法人を設立する前には、いくつかの重要な決定事項と準備が必要です。これらの準備を慎重に行うことで、スムーズな会社設立と将来の事業展開が可能となります。

特に、会社名の選定から役員構成の決定まで、それぞれの要素が法人の基礎となるため、専門家に相談しながら、十分な検討を重ねることが推奨されます。

 

法人設立の前に、以下の項目を決定する必要があります。

  • 会社名の決定(類似名称がないかの確認)
  • 会社形態の選択(LLC、C corporation、S corporationなど)
  • 登録代理人(Registered Agent)の選定
  • 株式構造の決定(発行可能株式数、株式の種類)
  • 役員構成の決定(取締役、役員の人数と人選)

 

設立手続きの流れ

デラウェア州での法人設立は、体系的で明確な手順が定められています。オンラインでの申請システムが整備されており、多くの手続きをインターネット経由で完了できます。通常1〜2営業日で設立が完了し、迅速な処理が必要な場合は24時間以内の対応も可能です。

 

以下、デラウェア州での法人設立の具体的な手順です。

  1. 会社名の利用可能性チェック
    • デラウェア州政府のウェブサイトで検索可能
    • 予約も可能(最長120日間)
  2. 登録代理人の選任
    • デラウェア州内の住所を持つ代理人が必要
    • 多くの場合、専門の登録代理人サービスを利用
    • 年間料金は約50〜300ドル程度
  3. 設立書類の準備と提出
    • Certificate of Incorporation(定款)の作成
    • 必要事項:会社名、目的、株式構造、登録代理人情報
    • オンラインまたは郵送で州務長官事務所に提出
    • 通常の処理で1〜2営業日、急ぎの場合は24時間以内も可能
  4. 諸費用の支払い
    • 設立手数料:89ドル〜(会社形態により異なる)
    • フランチャイズ税:最低175ドル〜
    • 登録代理人費用
    • 緊急処理の場合は追加料金
  5. 設立後の手続き
    • EIN(連邦税ID番号)の取得
    • 株主名簿の作成
    • 付属定款(Bylaws)の作成
    • 取締役会の開催と議事録作成
    • 株式証書の発行

 

継続的な義務

デラウェア州で法人を設立した後は、主に以下の継続的な義務があります。まず、毎年3月1日までに年次報告書の提出が必要です。この報告書には会社の基本情報、役員情報、発行済み株式数を記載し、同時にフランチャイズ税(最低175ドル〜)を納めます。

 

また、デラウェア州内の登録代理人(Registered Agent)を継続的に維持することも必須です。登録代理人は州政府からの通知や法的文書の受け取り窓口となり、変更がある場合は速やかな届出が求められます。

株式発行や役員変更、定款変更などの重要な企業活動を行った際は、適切な書類を州政府に提出する必要があります。これらの義務を怠ると、罰金や延滞金が発生する可能性があり、最悪の場合は法人資格が剥奪されることもあります。

 

3. 他の州との比較

カリフォルニア州とデラウェア州の違い

カリフォルニア州とデラウェア州は、企業設立において対照的な特徴を持っています。カリフォルニア州は、より厳格な規制と高額な税負担が特徴です。法人税率は8.84%で、デラウェア州の設立企業が州外で事業を行う場合の非課税措置と比べて大きな違いがあります。

 

また、カリフォルニア州では株主の権利が強く保護されており、少数株主の権利行使が容易である一方、経営陣の柔軟な意思決定が制限される場合があります。訴訟に関しても、一般の民事裁判所で扱われるため、デラウェア州の企業法専門裁判所と比べて判断に時間がかかり、結果の予測も難しくなります

 

設立手続きにおいても、カリフォルニア州はより多くの書類と時間を要し、年間の維持費用も高額になる傾向があります。ただし、実際の事業所をカリフォルニア州に置く場合は、現地での法人登録が必要となるため、最初からカリフォルニア州で設立するケースも多くあります。

 

テキサス州とデラウェア州の違い

テキサス州は、デラウェア州と同様に企業フレンドリーな州として知られていますが、いくつかの重要な違いがあります。テキサス州の最大の特徴は、個人所得税と法人所得税がないことです。ただし、代わりにフランチャイズ税(マージン税)が課され、これは総収入の0.375%〜0.75%となります。

 

法的環境面では、テキサス州はデラウェア州ほど判例法が蓄積されておらず、企業法の解釈においてやや不確実性が高くなります。また、企業訴訟を専門に扱う裁判所がないため、企業間の紛争解決に時間がかかる可能性があります。

 

一方、テキサス州は実体のある事業運営に向いており、特に製造業や小売業などの実業において優位性があります。不動産関連の税制も比較的有利で、事業用地の取得・運営においてメリットがあります。また、設立手続きも比較的シンプルで、オンラインでの申請が可能です。

 

デラウェア州が主に法的・税務的な最適化を目指す企業に選ばれるのに対し、テキサス州は実際の事業運営を重視する企業に選ばれる傾向にあります。特にテキサス州内で主要な事業を行う予定がある場合は、テキサス州での設立が合理的な選択となることがあります。

 

4. デラウェア州で起業する際の注意点

法人設立後の維持コストがかかる

デラウェア州で法人を設立した後は、継続的な維持費用が必要となります。主な費用として、年次報告書提出料とフランチャイズ税があり、最低でも年間175ドルがかかります。企業規模や株式構造によってはこの金額が大幅に増加する可能性があります。

 

また、登録代理人サービスの年間費用(50〜300ドル程度)も必要です。さらに、会社の状況変更や追加書類の提出が必要な場合は、その都度手数料が発生します。特に、複数の州で事業を行う場合は、各州での外国法人登録費用も追加で必要となるため、総コストは予想以上に膨らむ可能性があります。

 

州外で事業を行う場合の追加登録の必要性

デラウェア州で法人を設立しても、実際の事業を他の州で行う場合は、その州での「外国法人登録(Foreign Entity Registration)」が必要となります。この登録は、事業を行う各州で必要となり、それぞれの州で独自の申請手続きと費用が発生します。

 

例えば、ニューヨーク州で事業を行う場合は、ニューヨーク州での外国法人登録が必要で、現地での登録代理人の選任や定期的な報告義務も発生します。このため、事業展開を予定している州の法規制や登録要件を事前に確認し、必要な費用を見積もっておくことが重要です。

 

登録代理人(Registered Agent)の必要性

デラウェア州法人には、州内に登録代理人を置くことが法律で義務付けられています。登録代理人は、州政府からの公式通知や法的書類の受け取り、訴状の送達などを代行する重要な役割を担います。

 

多くの企業は専門の登録代理人サービスを利用しますが、選択する際は以下の点に注意が必要です。

  • 信頼性と実績のある業者を選ぶこと
  • 緊急時の連絡体制が整っていること
  • 適切な価格設定であること
  • 書類の転送サービスや電子化サービスの有無

 

また、登録代理人を変更する場合は、速やかに州政府への届出が必要です。登録代理人がいない状態になると、法人資格が剥奪される危険にさらされる可能性があります。

 

まとめ

デラウェア州は、長年にわたって企業に優しい法制度と効率的な行政サービスを提供してきた結果、アメリカで最も信頼される法人設立地となっています。法人設立の容易さ、充実した企業法制度、税制面でのメリット、そして世界的な信頼性が、その主な理由です。

デラウェア州での法人設立は、将来の事業拡大や資金調達を見据えた企業に特に有効な選択肢となります。ただし、事業の規模や性質、実際の事業展開地域などを総合的に考慮し、自社に最適な選択をすることが重要です。

 

特に、スタートアップや国際展開を目指す企業、将来の上場を視野に入れている企業にとって、デラウェア州法人のメリットは大きいと言えるでしょう。一方で、単一の州でローカルな事業展開を予定している場合は、その州での設立を検討することも賢明な選択となります。

 

デラウェアを含め、アメリカでの事業展開を検討されている方は、専門家のサポートを受けるのがオススメです。

当社Reinvent NY Incでは、当社では、2016年、当方がNTTデータ様の駐在員としてアメリカ・ロサンゼルスで事業責任者をさせていただいた時代より、アメリカでの事業進出・事業拡大支援をさせていただいており、有償ご相談・サポート件数は250件以上となります。

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