2024年、米国の不動産投資市場において、新たな注目を集めているのがReal Estate Professional Status(REPS)です。
IRS(内国歳入庁)の統計によれば、REPSを活用する不動産投資家は過去5年間で約35%増加しており、特に高所得者層における税務戦略として重要性を増しています。
今回は、この強力な節税ツールについて、最新のデータと実例を交えながら詳しくご説明していきます。
1. Real Estate Professional Statusとは?
Real Estate Professional Status(REPS)は、米国内国歳入法469条に基づく特別な資格ステータスです。
このステータスを取得することで、通常はパッシブ損失として制限される不動産投資の損失を、給与所得などの通常所得と相殺することが可能となります。
Forbes誌の分析によれば、REPSの取得には以下の厳格な要件を満たす必要があります。
・年間750時間以上を不動産事業に費やすこと(時間管理アプリや詳細な記録が必要)
・不動産関連活動が納税者の主たる職業活動であること(他の職業での活動時間を上回る必要がある)
・実質的な参加(Material Participation)の要件を満たすこと(7つのテストのいずれかをクリア)
特に、750時間要件については、The Tax Adviserの報告によると、IRSの審査で最も厳しくチェックされる項目とされています。
2. どんなメリットがある?
REPSを取得することによる最大のメリットは、不動産投資における損失を他の所得と無制限に相殺できることです。Investopediaの解説によれば、通常の不動産投資家の場合、パッシブ損失は年間25,000ドルまでしか通常所得との相殺が認められません。
さらに、この25,000ドルの控除も、調整後総所得(AGI)が150,000ドルを超えると段階的に減額され、175,000ドルで完全に消失します。しかし、REPSを取得することで、これらの制限が完全に撤廃されるのです。
具体的な節税効果の例
PwCの税務分析を基に、REPSの有無による節税効果の違いを表で見てみましょう。
項目 | REPS無し | REPS有り | 追加メリット |
---|---|---|---|
給与所得 | $300,000 | $300,000 | – |
不動産損失 | -$100,000 | -$100,000 | – |
損失相殺上限 | $25,000 | 制限なし | +$75,000 |
課税所得 | $275,000 | $200,000 | -$75,000 |
節税効果 | 約$8,250 | 約$33,000 | +$24,750 |
※年収30万ドル、不動産損失10万ドルの場合の試算例
3. 具体的な減税の効果は?
REPSによる減税効果は、特に高所得者層において顕著です。Noloの税務ガイドによれば、年収50万ドルの場合、20万ドルの不動産損失を全額相殺できることで、実に7万ドル以上の節税効果が期待できます。
この効果は、以下のような要因によってさらに強化されます。
・加速償却による損失の創出(建物部分の償却期間を27.5年から短縮)
・1031条交換との組み合わせによる譲渡益課税の繰り延べ
・コストセグリゲーションの活用(建物の各部分を個別に減価償却)
・土地改良費用の即時償却制度の活用
・修繕費と資本的支出の適切な区分による課税タイミングの調整
BiggerPocketsの調査によると、コストセグリゲーションを活用することで、初年度の減価償却費を通常の2-3倍に増加させることも可能です。
4. 注意点
REPSの取得と維持には、以下のような重要な注意点があります。
・活動時間の詳細な記録が必須(日時、業務内容、所要時間を細かく記録)
・IRSの厳格な審査への対応(特に750時間要件の証明)
・年間750時間要件の継続的な達成(一時的な達成では不十分)
・主たる職業要件との両立(他の職業での活動時間との調整が必要)
・不動産管理会社との関係整理(過度の業務委託はREPS要件を満たさない可能性)
配偶者の方がなると非常に強力な節税ツールに
Journal of Accountancyの分析によれば、配偶者がREPSを取得する戦略が特に効果的です。夫婦の一方が高所得を得ながら、もう一方がREPSの要件を満たすことで、世帯としての節税効果を最大化できます。
この戦略は、以下のような場合に特に有効です。
・主たる納税者が高額な給与所得を得ている場合
・配偶者が柔軟な時間管理が可能な立場にある場合
・複数の不動産投資物件を所有している場合
・減価償却費などによる大きな会計上の損失が見込める場合
まとめ
Real Estate Professional Statusは、適切に活用することで非常に強力な節税効果を発揮する制度です。Real Estate CPAの試算によれば、高所得者層において数十万ドル規模の節税も可能とされています。
ただし、750時間要件をはじめとする厳格な基準をクリアする必要があり、安易な取得は避けるべきでしょう。専門家と相談しながら、自身の状況に適した活用方法を検討することをお勧めします。
最新の税制改正動向にも注意を払い、長期的な視点で戦略を立てることが重要です。REPSは、適切に運用することで、不動産投資ポートフォリオの収益性を大きく向上させる可能性を秘めています。
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