アメリカ法人設立で知っておきたい、日本とアメリカの税制の違い

2024年11月7日 Reinvent NY Inc

アメリカ法人設立で知っておきたい、日本とアメリカの税制の違い

皆さん、こんにちは。

当社サイトにご訪問をいただき、また世界中の不動産投資の中からニューヨーク不動産にご関心をいただき、ありがとうございます。

本記事では、アメリカ法人設立で知っておきたい、日本とアメリカの税制の違いというテーマについて記事を執筆させていただきます。

 

最後までお付き合いいただけますと幸いです。

 

はじめに

アメリカで法人を設立する際、日本の税制とは異なる点を理解することが重要です。

米国は州ごとに税制が異なり、法人税や所得税など、事業運営に関わる税負担がどのように発生するかも日本とは大きく異なります。

 

これらの違いを知ることで、効果的な事業計画や納税対策が可能になり、事業の健全な発展につながります。

本記事では、日本とアメリカの税制の主な違いをわかりやすく解説し、アメリカ法人設立を検討する際に役立つポイントをお伝えします。

 

 

1. 日本とアメリカの税制の違い

日本とアメリカの税制には重要な違いがあり、これらを理解することは事業計画を立てる上で非常に重要です。

以下、主要な項目について詳細に解説します。

 

1.1 法人税率

日本
日本の法人税率は以下の通りです。

– 国税としての法人税:23.2%
– 地方法人税:1.0%(法人税額の4.4%)
– 事業税:所得割1.0%(資本金1億円超の法人)
– 住民税:法人税額の12.9%(標準税率)

 

これらを合計すると、実効税率は約29.74%となります。ただし、中小企業に対しては軽減税率が適用される場合があります。

 

アメリカ
アメリカの法人税率は以下の通りです:
– 連邦法人税率:21%(2017年の税制改革以降)
– 州法人税:0%〜12%(州により異なる)

 

例えば、カリフォルニア州では8.84%の州法人税が課されるため、連邦税と合わせると実効税率は約29.84%となります。

 

一方、テキサス州やネバダ州のように州法人税がない州もあります。

この税率の違いは、企業の税務戦略に大きな影響を与えます。

例えば、研究開発拠点をカリフォルニア州に置きながら、利益計上を税率の低い州で行うなど、州ごとの税率の違いを活用した戦略が可能です。

1.2 課税システム

日本
日本は全世界所得課税方式を採用しています。

これは、日本の企業が海外で得た所得も含めて、全ての所得に対して日本で課税される仕組みです。

 

ただし、2009年の税制改正により、一定の条件を満たす外国子会社からの配当については、95%が益金不算入となる制度が導入されました。

 

アメリカ
2017年の税制改革以降、アメリカは部分的な領土主義システムに移行しました。

これにより、海外子会社からの配当に対する課税が大幅に軽減されました。

 

具体的には以下となります。

  1. 海外子会社からの配当の100%が控除可能になりました(一定の条件を満たす場合)。
  2.  過去に蓄積された海外利益に対して、一回限りの移行税(15.5%または8%)が課されました。
  3. グローバル無形資産低課税所得(GILTI)に対する最低税率が導入されました。
    この変更により、多国籍企業の税務戦略に大きな影響が及びました。例えば、海外子会社の利益を米国に還流させやすくなり、国内投資を促進する効果が期待されています。

 

1.3 消費税/売上税

日本
日本の消費税率は全国一律で10%です(2019年10月1日以降)。

ただし、飲食料品(酒類を除く)と定期購読の新聞については軽減税率8%が適用されます。

 

アメリカ
アメリカには連邦レベルの売上税はありません。

代わりに、州および地方自治体が独自に売上税を課しています。税率は地域によって大きく異なり、0%から10%以上まで幅があります。

 

例えば以下となります。

– カリフォルニア州:7.25%(州税)+ 最大2.5%(地方税)
– ニューヨーク州:4%(州税)+ 最大4.875%(地方税)
– オレゴン州:売上税なし

 

この違いは、特に小売業や飲食業などの消費者向けビジネスに大きな影響を与えます。

また、オンライン販売を行う企業にとっては、複数の州での売上税の徴収と納付が大きな課題となっています。

1.4 個人所得税

日本
日本の個人所得税は累進課税方式を採用しており、最高税率は45%です。

これに地方税(住民税)を加えると、最高で約55%の税率となります。

 

アメリカ
アメリカの個人所得税も累進課税方式ですが、連邦税と州税が別々に課されます。

– 連邦所得税:最高税率37%(2021年現在)
– 州所得税:0%〜13.3%(州により異なる)

 

例えば、カリフォルニア州の最高税率13.3%を合わせると、最高で50.3%の税率となります。

一方、フロリダ州やテキサス州など、州所得税がない州もあります。

 

この違いは、高給の従業員を雇用する際や、役員報酬を決定する際に考慮すべき重要な要素となります。

また、ストックオプションなどの株式報酬を設計する際にも大きな影響を与えます。

 

1.5 社会保険料

日本
日本の社会保険制度には、健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険などがあります。

これらの保険料は概ね雇用主と従業員で折半して負担します。ただし、労災保険は雇用主が全額負担します。

 

標準的な保険料率(東京都の場合、2021年度):
– 健康保険:約10%(折半)
– 厚生年金:18.3%(折半)
– 雇用保険:0.9%(雇用主0.6%、従業員0.3%)
– 労災保険:業種により0.25%〜8.8%(雇用主負担)

 

アメリカ
アメリカの社会保険制度は以下の通りです。

  1. 社会保障税(Social Security):
    – 税率:12.4%(雇用主と従業員で折半)
    – 課税上限額:$142,800(2021年)
  2. メディケア税(Medicare):
    – 税率:2.9%(雇用主と従業員で折半)
    – 課税上限額なし
    – 高所得者に対する追加税率0.9%(従業員負担)
  3. 失業保険税(Unemployment Insurance):
    – 連邦失業税:6%(課税対象賃金の最初$7,000に対して)
    – 州失業税:州により異なる(通常0.5%〜5.4%)
    – 雇用主のみが負担
  4. 労災保険(Workers’ Compensation Insurance):
    – 州法で定められており、雇用主が全額負担
    – 保険料率は業種やリスク評価により大きく異なる

 

この違いは、特に人件費の計算や従業員の手取り額の予測に大きな影響を与えます。

また、アメリカでは健康保険が公的制度ではなく、多くの場合雇用主が提供するため、これも大きなコスト要因となります。

 

1.6 その他の主な違いと注意点

複雑な税制

アメリカの税制は連邦、州、地方レベルで異なり、非常に複雑です。

例えば、売上税一つとっても、州や市町村ごとに税率が異なり、課税対象も細かく規定されています。

そのため、複数の州で事業を展開する場合、各州の税法に精通した専門家のアドバイスが不可欠です。

 

州ごとの違い

法人税率、売上税、個人所得税が州により大きく異なるため、事業計画に大きな影響を与えます。

例えば、本社機能をデラウェア州に置き、実際の事業をテキサス州で行うなど、税制の違いを活用した戦略的な事業構造の設計が可能です。

 

国際課税

日米間の租税条約や移転価格税制など、国際的な課税問題に注意が必要です。

特に、日本の親会社とアメリカの子会社間の取引については、適正な価格設定(アームズレングス価格)が求められます。不適切な価格設定は、両国の税務当局から追徴課税を受ける可能性があります。

 

報告義務

アメリカでは、海外資産や取引に関する詳細な報告義務があり、罰則も厳しいため注意が必要です。

例えば、海外金融口座報告書(FBAR)の提出義務違反には、高額の罰金が科される可能性があります。

 

給与計算の違い

源泉徴収や社会保険料の計算方法が日本と異なります。

アメリカでは、従業員が自身で確定申告を行うケースが多く、雇用主は適切な源泉徴収を行う必要があります。また、州ごとに異なる源泉徴収ルールにも注意が必要です。

 

会計基準の違い

日本の企業会計基準とアメリカの一般に認められた会計原則(GAAP)には差異があります。例えば、のれんの償却やリース会計、収益認識などにおいて違いがあり、財務諸表の作成や分析の際には注意が必要です。

 

税務調査のリスク

アメリカの税務当局(IRS)は、外国企業や新規参入企業に対して特に厳格な調査を行う傾向があります。適切な会計記録の維持と、正確な税務申告が極めて重要です。

 

州税の複雑性

州によっては、法人税以外にも様々な税金が課されることがあります。例えば、フランチャイズ税、総収入税、資本税などが存在し、これらは州ごとに大きく異なります。

 

タックスクレジット

アメリカでは、研究開発税額控除やエネルギー効率向上のための税額控除など、様々なタックスクレジットが用意されています。これらを効果的に活用することで、実質的な税負担を軽減できる可能性があります。

 

出国税

日本からアメリカに移住する個人や、日本企業がアメリカに事業を移転する場合、日本の出国税(国外転出時課税制度)に注意が必要です。これは、未実現のキャピタルゲインに対して課税するもので、事業計画に大きな影響を与える可能性があります。個人の方においては、日本国内で資産が1億円以上ある方が対象となります。

これらの違いを理解し、適切に対応することは、アメリカでの事業成功の鍵となることは言わずもがなです。

 

 

2. 雇用、会計、法規制に関する注意点

アメリカで事業を展開する際には、日本とは異なる様々な規則や慣行があります。以下に主要な注意点をまとめます。

2.1 雇用関連

雇用形態

– At-will employment(任意雇用)が一般的です。これは、雇用主も従業員も、理由や事前通知なしに雇用関係を終了できるという原則です。
– ただし、差別的な理由や公共政策に反する理由での解雇は違法とされています。
– 雇用契約書の使用は限定的で、主に高級管理職や専門職に対して使用されます。

 

労働時間と賃金

– 連邦法で定められた最低賃金は現在$7.25/時(2024年10月時点ですが、多くの州や都市でより高い最低賃金を設定しています。
– 時間外労働に対しては通常1.5倍の賃金を支払う必要があります(週40時間を超える労働に対して)。
– 一部の管理職や専門職は時間外労働手当の対象外(exempt)となりますが、その判断基準は複雑で、慎重な検討が必要です。

 

従業員分類

正社員(Exempt employees)と時給従業員(Non-exempt employees)の区別が重要です。この分類は、時間外労働手当の適用や他の労働法の適用に影響します。
独立請負業者(Independent contractors)との適切な区別も重要です。誤った分類は、税金や福利厚生の面で深刻な問題を引き起こす可能性があります。

 

福利厚生

健康保険の提供は、50人以上のフルタイム相当の従業員を雇用する企業に義務付けられています(Affordable Care Act)。
– 401(k)などの退職金制度は義務ではありませんが、人材確保の観点から重要な福利厚生となっています。
– 有給休暇の付与は連邦法では義務付けられていませんが、多くの企業が提供しています。一部の州では有給病気休暇の付与が義務化されています。

 

差別禁止法

– 人種、性別、年齢、障害、宗教、出身国などに基づく差別は厳しく禁止されています。
– 採用、昇進、解雇などの雇用決定において、これらの要素を考慮することは違法です。
– セクハラ防止研修の義務化(カリフォルニア州など)や、賃金履歴の質問禁止(マサチューセッツ州など)といった、州独自の規制にも注意が必要です。

 

労働安全衛生

– OSHA(労働安全衛生局)の規制遵守が求められます。これには、安全な作業環境の提供、従業員への安全教育、事故報告などが含まれます。
– COVID-19パンデミックを受けて、職場の衛生管理や感染予防対策の重要性が高まっています。

 

労働組合

– 私企業の労働組合組織率は比較的低いですが、特定の産業(製造業、運輸業など)では依然として影響力があります。
「労働権法(Right-to-Work Law)」を採用している州では、労働組合への加入や組合費の支払いを雇用の条件とすることが禁止されています

 

2.2 会計関連

会計基準

– US GAAP(米国会計基準)の適用が一般的です。日本の企業会計基準やIFRS(国際財務報告基準)との違いを理解することが重要です。
– 主な違いには、のれんの償却(US GAAPでは償却せず減損テストを実施)、研究開発費の会計処理、リース会計などがあります。

 

税務申告

– 連邦税、州税、場合によっては地方税の適切な申告が必要です。
– 四半期ごとの推定税の納付が求められることがあります。これは、年間の予想税額に基づいて計算されます。
– 国際取引を行う企業は、移転価格文書の作成や、外国口座報告書(FBAR)の提出など、追加の報告義務がある場合があります。

 

帳簿管理

– 適切な会計ソフトウェアの選択が重要です。QuickBooks、Xero、NetSuiteなどが一般的に使用されています。
– 最低7年間の記録保管が求められますが、税務や法的な目的で、より長期の保管が推奨される場合もあります。
– 電子記録の保管は一般的ですが、データのバックアップと安全な保管が重要です。

 

監査

– 公開企業の場合、独立監査が必要です。これには財務諸表監査に加え、内部統制の有効性に関する監査も含まれます(SOX法の要求による)。
– 非公開企業でも、銀行融資の条件や投資家の要求により、監査を受ける場合があります。
内部統制の確立と維持は、効率的な事業運営と不正防止の観点から重要です。

 

国際取引の会計処理

– 移転価格税制への対応が重要です。関連会社間取引は独立企業間価格(アームズレングス価格)で行う必要があります。
– 為替差損益の適切な処理が求められます。特に、機能通貨(主に事業を行う通貨)の決定と、それに基づく会計処理に注意が必要です。
– 海外子会社の連結に関しては、為替換算や少数株主持分の処理など、複雑な会計処理が必要になる場合があります。

 

収益認識

– 2018年から新しい収益認識基準(ASC 606)が適用されています。これにより、多くの業界で収益認識のタイミングや金額が変更されています。
– 特に、複数要素契約や長期契約の収益認識には注意が必要です。

 

リース会計

– 2019年から新しいリース会計基準(ASC 842)が適用されています。これにより、ほとんどのリースがバランスシートに計上されることになりました。
– オペレーティングリースとファイナンスリースの区別は維持されていますが、両者ともバランスシートに計上する必要があります。

 

2.3 法規制関連

企業統治

– SOX法(サーベンス・オクスリー法)の遵守が上場企業に求められます。これには、財務報告に関する内部統制の確立や、経営者による財務報告の正確性の宣誓などが含まれます。
取締役会の設置と運営(C Corpの場合)が必要です。取締役の独立性や多様性に関する要求が増加しています。

 

知的財産保護

– 特許、商標、著作権の適切な登録と管理が重要です。アメリカは先発明主義から先願主義に移行しているため、早期の特許出願が重要です。
– 営業秘密の保護には、適切な社内規程の整備や従業員との秘密保持契約の締結などが必要です。
– 特に技術系のスタートアップ企業にとっては、知的財産戦略が企業価値を大きく左右する可能性があります。

 

データプライバシー

– CCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)など、州ごとの法律への対応が必要です。これらの法律は、消費者の個人情報の収集、使用、開示に関する厳格な規制を設けています。
– GDPR(EU一般データ保護規則)への対応も、EU市民のデータを扱う場合には必要です。
– データセキュリティに関する法規制も増加しており、適切なデータ保護措置の実施が求められています。

 

環境規制

– EPA(環境保護庁)の規制遵守が求められます。これには、大気汚染、水質汚濁、廃棄物管理などに関する規制が含まれます。
– 州ごとの環境法にも注意が必要です。カリフォルニア州など、一部の州では連邦法よりも厳しい規制を設けています。
持続可能性(サステナビリティ)に関する報告や取り組みの重要性が増しています。

 

ライセンスと許可

-業種や所在地に応じた適切なライセンスの取得が必要です。これには、事業ライセンス、専門職ライセンス、健康・安全関連のライセンスなどが含まれます。
定期的な更新と遵守状況の確認が重要です。多くのライセンスは年次更新が必要で、更新時に遵守状況の報告が求められる場合があります。
– 特に規制産業(金融、医療、食品、酒類など)では、複数の連邦機関や州機関からのライセンス取得が必要になる場合があります。

 

契約法

– 州ごとに異なる契約法の理解が必要です。特に、準拠法の選択、裁判管轄の選択、仲裁条項などの重要性を認識することが大切です。
– 適切な契約書の作成と管理は、ビジネスリスクの軽減に不可欠です。特に、雇用契約、取引基本契約、秘密保持契約(NDA)などの重要性が高いです。
– 電子署名法(E-SIGN Act)により、多くの契約で電子署名が有効とされていますが、一部の契約では依然として物理的な署名が必要な場合があります。

 

消費者保護法

– 連邦取引委員会(FTC)や消費者金融保護局(CFPB)などの機関が、消費者保護に関する規制を設けています。
– 広告や製品表示に関する規制、クーリングオフ制度、製品安全基準など、多岐にわたる規制があります。
– 特にオンラインビジネスを行う場合、データプライバシーや電子商取引に関する法規制にも注意が必要です。

 

反トラスト法※

– シャーマン法、クレイトン法、連邦取引委員会法などの反トラスト法を遵守する必要があります。
– 価格カルテル、市場分割、抱き合わせ販売などの反競争的行為は厳しく禁止されています。
– 企業結合(M&A)を行う際には、一定規模以上の取引に対してHart-Scott-Rodino法に基づく事前届出が必要です。

※反トラスト法(Antitrust Law)は、企業が市場で不正な独占やカルテル、価格操作などを行わないようにするための法律です。市場競争を維持し、消費者が公平な価格と選択肢を得られるようにすることを目的としています。

 

輸出入規制

– 国際武器取引規則(ITAR)や輸出管理規則(EAR)など、技術や製品の輸出に関する規制があります。
特定の国や団体との取引を禁止する経済制裁プログラムにも注意が必要です。
– 関税や原産地規則など、輸入に関する規制も複雑で、専門家のアドバイスが必要な場合が多いです。

 

金融規制

– 銀行業や証券業などの金融サービス業は、特に厳格な規制の対象となっています。
– マネーロンダリング防止法(AML)や顧客確認プログラム(KYC)の遵守が求められる業種が増えています。
– フィンテック企業に対する規制も増加しており、州ごとの金融ライセンスの取得が必要になる場合があります。

 

労働安全衛生

– 職場の安全衛生に関するOSHA(労働安全衛生局)の規制は広範囲に及びます。
– 業種に応じた特定の安全基準(建設業、製造業など)があり、これらの遵守が求められます。
– 従業員の安全教育、危険物の適切な取り扱い、事故報告など、多岐にわたる義務があります。

 

移民法

– 外国人労働者を雇用する場合、適切な就労ビザの取得が必要です。
– I-9フォーム(雇用適格性確認書)の適切な管理と保管が全ての従業員に対して必要です。
– E-Verify(電子的な就労資格確認システム)の使用が一部の州や連邦契約者に義務付けられています。

 

これらの法規制は常に変更される可能性があり、また州ごとに異なる規制も多いため、定期的な情報収集と専門家への相談が重要です。

特に、外国企業が米国に進出する際には、これらの複雑な法規制環境への適応が大きな課題となります。

 

3. 米国進出時によくある躓きポイント

海外から米国に進出する際、多くの企業や起業家が共通して直面する課題があります。

以下に主な躓きポイントとその対策を紹介します。

 

3.1 ビザと移民法関連

 

適切なビザの選択

– 問題: ビジネスの性質や規模に合わないビザを選択してしまう。
– 対策:
早期から移民弁護士に相談し、長期的な事業計画に基づいてビザを選択する。
E-1/E-2投資家ビザ、L-1駐在員ビザ、H-1B専門職ビザなど、様々なオプションを検討する。
ビザの条件(投資額、雇用創出など)を十分に理解し、それに見合う事業計画を立てる。

 

ビザ取得の時間

– 問題: ビザ取得に予想以上の時間がかかり、事業計画に遅れが生じる。
– 対策:
ビザ申請プロセスを事業計画に組み込み、十分な余裕を持ったスケジュールを立てる。
可能な場合、プレミアム処理サービスを利用して処理時間を短縮する。
ビザ取得前に行える準備作業(市場調査、パートナー探しなど)を並行して進める。

 

ビザ更新と永住権取得

– 問題: 長期的な滞在計画がビザの制限と合わない。
– 対策:
初期のビザ選択時から、将来の永住権取得の可能性を考慮する。
ビザの更新条件や制限を理解し、それに合わせて事業を展開する。
必要に応じて、別のビザカテゴリーへの変更を検討する。

 

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3.2 税務関連

二重課税の問題

– 問題: 日本と米国の両国で課税され、過度の税負担が生じる。
– 対策:
日米租税条約を理解し、外国税額控除などの制度を適切に活用する。
税務の専門家と相談し、最適な企業構造と利益還元方法を選択する。
移転価格ポリシーを適切に設定し、文書化する。

 

州税の複雑さ

– 問題: 連邦税に加えて州税の仕組みを理解できず、適切な納税ができない。
– 対策:
進出予定の州の税制を事前に調査し、必要に応じて現地の税理士に相談する。
複数州で事業を行う場合、各州の税法と申告義務を理解する。
税務コンプライアンス管理のためのシステムやプロセスを整備する。

 

国際取引の税務処理

– 問題: 国際取引に関する複雑な税務規則に対応できない。
– 対策:
 国際税務の専門家を雇用するか、外部の専門家と契約する。
グローバルな税務戦略を立て、定期的に見直す。
BEPS(税源浸食と利益移転)対策など、国際的な税務の動向に注意を払う。

 

3.3 法人設立と運営

法人形態の選択ミス

– 問題: 事業規模や将来計画に合わない法人形態を選択してしまう。
– 対策:
専門家のアドバイスを受けながら、短期・中期・長期の事業計画に基づいて法人形態を選択する。
LLC、C Corp、S Corpなど、各形態のメリット・デメリットを十分に理解する。
将来の資金調達や出口戦略(IPOやM&Aなど)を考慮に入れる。

 

コンプライアンスの複雑さ

– 問題: 連邦、州、地方レベルの法規制を把握しきれず、違反を犯してしまう。
– 対策:
現地の法律事務所と顧問契約を結び、定期的にコンプライアンスチェックを行う。
業界特有の規制や許認可要件を理解し、遵守する。
コンプライアンス管理のための社内体制を整備する。

 

資金調達の難しさ

– 問題: 米国での信用履歴がないため、銀行融資や投資の獲得が困難。
– 対策:
日本の親会社による保証や、日系金融機関の活用を検討する。
ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家など、代替的な資金源を探る。
クラウドファンディングやSBIR(中小企業技術革新研究)プログラムなど、政府系の資金調達オプションを検討する。

 

3.4 文化と商習慣の違い

コミュニケーションスタイル

– 問題: 日本的な婉曲な表現が理解されず、ビジネスの機会を逃す。
– 対策:
米国式の直接的なコミュニケーションスタイルを学び、必要に応じてトレーニングを受ける。
バイカルチャラルな人材を採用し、橋渡し役として活用する。
社内でのコミュニケーションガイドラインを作成し、共有する。

 

意思決定の速さ

– 問題: 日本的な根回しや稟議制度により、意思決定が遅れビジネスチャンスを逃す。
– 対策:
現地での意思決定権限を持つ人材を配置し、迅速な判断ができる体制を整える。
日本本社と米国子会社の役割と権限を明確にし、意思決定プロセスを効率化する。
リスク管理と迅速な意思決定のバランスを取るための指針を設ける。

 

ビジネス慣行の違い

– 問題: 契約の重視度や交渉スタイルの違いにより、取引に支障が生じる。
– 対策:
米国のビジネス慣行に関する研修を実施し、従業員の理解を深める。
現地の法律専門家に契約書のレビューを依頼し、法的リスクを最小化する。
米国式のネットワーキングやビジネス開発手法を学び、実践する。

 

おわりに

アメリカと日本の税制には大きな違いがあり、アメリカで法人を設立する際にはこれらの違いをしっかり理解しておくことが重要です。

税制を把握し、適切な計画を立てることで、効率的な資金管理や税負担の最適化が可能になります。

 

米国での法人設立は、事業の成長やグローバル展開に大きなチャンスをもたらしますが、納税に関する責任も増えるため、適切な準備が欠かせません。

本記事が、皆様の事業展開の一助となれば幸いです。

 

 

記事をお読みいいただき、ありがとうございました。

 

当社Reinvent NY Incでは、2019年よりアメリカ進出・移住される個人様、企業様のご支援を続け、アメリカ進出のあらゆる側面をサポートする総合的なサービスを提供しています。

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