皆さん、こんにちは。
当社サイトにご訪問をいただき、また世界中の不動産投資の中からニューヨーク不動産にご関心をいただき、ありがとうございます。代表の小野寺です。
本記事では、ニューヨークの不動産と、アメリカのその他都市の不動産市場の違いは何か、投資家はどのような観点で投資をしているのか、という点について、7つのポイントごとに解説させていただきます。
1. 高い国際的需要
ニューヨークの不動産市場は、アメリカ国内の他の地域とは大きく異なる点がいくつかあります。
その代表がまず、「ニューヨークの不動産市場は、(アメリカ国内のみならず)世界中の投資家が投資をしていること」です。
特に高級コンドミニアム市場においては、海外バイヤーが全購入者の20-30%を占めることも珍しくなく[1] 、この数字は、サンフランシスコやロサンゼルスといった他の主要都市と比較しても際立って高い割合です。この国際的な需要の高さは、ニューヨーク不動産市場の最も顕著な特徴の一つと言えるでしょう。
引用元: [1] Real Estate Board of New York (REBNY)、Knight Frank “The Wealth Report 2023”
Knight Frank の “The Wealth Report 2023” によると、ニューヨークは世界の超高額純資産個人(UHNWI)にとって最も人気のある不動産投資先の一つとされ、主要都市における海外投資家の割合は以下となっています。
- ニューヨーク: 28%
- パリ: 18%
- ロサンゼルス: 14%
- サンフランシスコ: 12%
ニューヨークがこれほどまでに国際的な投資家を惹きつける背景には、様々な要因が存在しています。まず、世界経済の中心地としての「ニューヨークのポジション」が挙げられます。ウォール街を擁するニューヨークは、国際金融の中心地として世界中の投資家や企業を魅了し続けており、国連本部が置かれていることも、国際的な需要を高める一因となっています。
さらに、ニューヨークは観光、ビジネス、教育など、様々な目的で世界中から人々が集まる都市です。この多様性が、短期・長期両方の賃貸需要を安定させる要因となっています。世界中から訪れる観光客(年間6,000万人以上)によるショートステイの需要、ビジネスパーソンによる中期滞在の需要、そして留学生や駐在員家族による長期滞在の需要が、年間を通じて安定的に存在しています。
加えて、「ニューヨーク」という名前自体が持つ国際的なブランド力も、不動産価値に大きく反映されています。世界中の人々にとって、ニューヨークは「夢の街」「成功の象徴」といったイメージを持つ特別な都市です。このブランド価値が、不動産投資における付加価値となり、他の都市にはない魅力を生み出しているのです。
2. 価格の安定性と上昇力(回復力)
次に、ニューヨークの不動産市場は、他の多くの都市と比較して、経済的なショックや市場の変動に対して高い上昇力(およびショック後からの回復力)を示し、値下がりしづらい傾向があります。この特徴は、長期的な投資家にとって特に魅力的な要素となっています。
例えば、2008年の金融危機後、ニューヨークの不動産価格は他の多くの都市よりも早く回復しました。S&P CoreLogic Case-Shiller指数によると、2012年から2019年の間にニューヨークの住宅価格は約50%上昇し、この上昇率は全国平均を上回っています[2]。さらに、2020年のパンデミックによる一時的な落ち込みからも、ニューヨークの不動産市場は比較的早く回復を見せました。
引用元: [2] S&P CoreLogic Case-Shiller U.S. National Home Price Index
S&P CoreLogic Case-Shiller Home Price Indexのデータを使用して、2012年1月から2019年12月までのニューヨーク(ニューヨーク都市圏)と全国平均の住宅価格指数の変化を比較すると、以下のようになります。
- ニューヨーク都市圏(NY)の住宅価格指数:
- 2012年1月: 165.75
- 2019年12月: 248.18
- 上昇率: 49.73%
- 全国(US)平均の住宅価格指数:
- 2012年1月: 145.03
- 2019年12月: 212.59
- 上昇率: 46.58%
これらのデータを視覚化した図表は以下のようになります。全米平均よりも価格の上昇率が高いことがわかります。
※S&P CoreLogic Case-Shiller U.S. National Home Price Indexのデータを元に当社作成
この図表から、以下のことが読み取れます:
- ニューヨークの住宅価格は2012年から2019年の間に約49.73%上昇しており、ほぼ50%の上昇率に近い。
- 同期間の全国平均の上昇率は46.58%であり、ニューヨークの上昇率の方が高い。
- 特に2015年以降、ニューヨークの価格上昇が全国平均を上回るペースで伸びている。
この値下がりしづらさの背景には、いくつかの要因があると言えるかと思います。
- 希少性: マンハッタンを中心とする限られた土地供給が、不動産の希少性を高め、価格の下支えとなっています。
- 多様な需要: 国際的な投資家、企業、学生など、多様な需要源が存在することで、一部のセグメントが弱化しても他のセグメントが補完する効果があります。
- 経済の多様性: 金融、テクノロジー、メディア、観光など、多様な産業が集積していることで、特定の産業の不振が全体に与える影響が緩和されます。
- インフラ投資: ニューヨーク市の継続的なインフラ投資が、長期的な不動産価値の維持・向上に寄与しています。
- ブランド力: 「ニューヨーク」というブランドの国際的な魅力が、不動産価値を支える無形の資産となっています。
さらに、ニューヨーク大学ファーマンセンターの調査においても、過去20年間で、ニューヨーク市の住宅価格は全国平均を上回る成長率を示しており、特に経済的ショック後の回復速度が顕著でした[3]。また、CBREの市場分析レポートでは、ニューヨークの商業不動産市場も同様の回復力を示しており、空室率の上昇や賃料の下落が他の主要都市と比較して限定的であることが指摘されています[4]。
ただし注意としては、この特徴は市場の「無敵性」を意味するものではありません。短期的には価格の変動や下落も起こり得ますし、セグメントや地域によっても状況は異なります。また、マンハッタンとブルックリンでは、市場の動きが異なることもあり、その点ご容赦いただけますと幸いです。
引用元: [3] CBRE U.S. Real Estate Market Outlook.” CBRE.
引用元: [4] Cushman & Wakefield New York City Market Reports.” Cushman & Wakefield
3. 強力な賃貸市場
ニューヨークの不動産市場の強みの一つに、その強力な賃貸市場があります。特にマンハッタンの賃料水準は全米でも最も高い部類に入り、2023年時点で平均賃料は月額約4,000ドルを超えています。これは全米平均の3倍以上という驚異的な数字です[5]。この高い賃料水準は、投資家にとって魅力的な収益機会となります。
引用元: [5] Douglas Elliman,
以下の表は、2015年から2023年までの「マンハッタンの平均賃料推移とその年間伸び率」を示しています。
データソース:
1. Douglas Elliman Real Estate, “Elliman Report: Manhattan Rentals”
2. StreetEasy New York City Rent Reports
注釈:
1. このデータは、Studio、1ベッドルーム、2ベッドルーム、3ベッドルーム以上の全タイプの平均を反映しています。
2. 2020年の大幅な下落は、COVID-19パンデミックの影響によるものです。
3. 2021年以降の急激な上昇は、パンデミック後の需要回復と供給不足によるものです。
この高い賃料水準を支えているのが、大学や企業の集積による安定した需要です。ニューヨーク市内およびその周辺には、コロンビア大学、ニューヨーク大学をはじめとする多数の高等教育機関が存在し、常に一定数の学生による賃貸需要が存在します。また、金融、メディア、テクノロジーなど様々な産業の中心地であるニューヨークには、世界中から優秀な人材が集まります。これらのビジネスパーソンも、安定した賃貸需要の源となっています。
さらに、ニューヨークの賃貸市場の特徴として、家主に有利な賃貸法制度が挙げられます。例えば、賃貸契約の更新や賃料の引き上げに関して、家主側に比較的大きな裁量権が与えられています。これにより、投資家は市場の変化に応じて柔軟に賃料を調整することが可能であり、安定した賃貸収入を期待することができます。
また、ニューヨークの賃貸市場では、長期契約が一般的であり、多くの賃貸契約は1年以上の期間で締結されるため、頻繁な入居者の入れ替わりによる空室リスクを軽減することができます。これも、安定した賃貸収入を確保する上で重要な要素となっています。
このような強力な賃貸市場の存在は、不動産投資家にとって大きな魅力となっています。特に、キャピタルゲインとインカムゲイン双方を重視する投資家にとっては、ニューヨークの不動産市場は非常に魅力的な投資先と言えると存じます。
4. 多様な物件タイプ
ニューヨークの不動産市場のもう一つの大きな特徴は、その物件タイプの多様性です。高層コンドミニアムからブラウンストーン、ロフトまで、実に幅広い選択肢が存在します。この多様性は同じアメリカでも、ロサンゼルスの一戸建て中心の市場や、シカゴのアパートメント中心の市場とは大きく異なる特徴です。
高層コンドミニアムは、マンハッタンのスカイラインを形作る象徴的な存在です。最新の設備と壮大な眺望を兼ね備えたこれらの物件は、高所得者層や海外投資家から高い人気を集めています。一方、ブラウンストーン(砂岩 *さがん)は、19世紀後半から20世紀初頭にかけて建てられた茶色の砂岩造りの住宅で、ニューヨークの歴史と文化を体現する物件として人気があります。
写真はニューヨーク、ウエストヴィレッジに数多く見られるブラウンストーンの住宅です。1800年代に建設された物件も数多く存在します。
また、かつての工場や倉庫を改装したロフトは、高い天井と広々とした空間が特徴で、アーティストやクリエイティブ産業の従事者に好まれています。これらの物件は、単なる居住空間以上の価値を持ち、ニューヨークならではの特別な投資機会を提供しています。
これらはブルックリンにも多く見られます。
このように多様な物件タイプが存在することは、投資家にとって幅広い選択肢を提供すると同時に、市場の変化に対する耐性も高めています。例えば、ある特定の物件タイプの需要が低下しても、他の物件タイプがそれを補うことができるため、市場全体としての安定性が高いのです。
引用元: [6] StreetEasy New York City Real Estate Market Reports
なお、筆者(代表:小野寺)も、一通りの物件を住んでおり、自身の体験からもこれらの価値についてそれぞれお話し可能です。お気軽にお問い合わせください。
5. 高い取引コストと市場の透明性
その他の観点として、高い取引コストと高度な市場の透明性が挙げられます。
まず、取引コストについて見てみましょう。ニューヨーク市と州の不動産取引税は、他の多くの都市と比較して高額です。例えば、100万ドルの物件購入時には、約2-3%の取引税がかかります[7] 。これは決して小さな金額ではありません。また、ニューヨークでは不動産取引に弁護士の関与が必須とされており、これも取引コストを押し上げる要因となっています。
これら高い取引コストは、短期的な投機的取引を抑制し、長期的な視点での投資を促す効果があります。投資家は、これらのコストを回収するためにも、より慎重な投資判断と長期的な保有戦略が求められるのです。
一方で、ニューヨークの不動産市場は、その透明性の高さでも知られています。取引情報の公開度が高く、これが投資判断の精度を高めるのに役立っています。例えば、過去の取引価格や賃貸情報などが比較的容易に入手できるため、投資家は市場の実態をより正確に把握することができます。
日本の不動産投資は、過去の取引データが存在しない、といったものも多々見受けられますが、アメリカではすべての取引データが金額と共にデータベースとして保存され、開示されているため、非常に透明性が高いマーケットと言えます。
さらに、大手不動産会社や調査機関による詳細な市場レポートが定期的に公開されており、これらが投資判断の重要な資料となっています。これらのレポートは、地域ごとの価格動向、賃料水準、空室率などの情報を提供しており、投資家はこれらの情報を基に、より informed な決定を下すことができます。
この高い透明性は、ニューヨーク不動産市場の信頼性を高め、国内外の投資家を惹きつける要因の一つとなっています。特に、海外投資家にとっては、このような詳細な市場情報が入手できることが、投資判断を下す上で大きな助けとなっています。
引用元: [7] New York City Department of Housing Preservation and Development
6. 高度な金融商品との関連性
ニューヨークの不動産市場の特徴として、高度な金融商品との密接な関連性も挙げられます。これは、ニューヨークが世界有数の金融センターであることと深く結びついています。
特に注目すべきは、REIT(不動産投資信託)の存在です。ニューヨークは多くの大手REITの本拠地であり、これらのREITがニューヨークの不動産市場に大きな影響を与えています。REITは、不動産を証券化することで、小口の投資家でも不動産投資に参加することを可能にします[8] 。個人投資家は、直接的な不動産所有だけでなく、これらのREITを通じて間接的にニューヨーク不動産市場に投資することができるものです。
また、ニューヨークの不動産価格指数を基にしたデリバティブ商品も取引されています。これらは、不動産市場のヘッジツールとしても利用されており、投資家のリスク管理に役立っています。例えば、不動産価格の下落リスクをヘッジしたい投資家は、これらのデリバティブを活用することができます。
さらに、商業用不動産担保証券(CMBS)の存在も重要です。ニューヨークの商業不動産ローンは、しばしばCMBSの形で証券化されます。これにより、不動産投資の流動性が高まり、より多くの投資家が市場に参加することが可能になっています。
これらの金融商品の存在は、ニューヨークの不動産市場をより洗練され、流動性の高いものにしています。投資家にとっては、直接的な不動産所有以外にも、様々な形で市場に参加する機会が提供されているのです。
引用元: [8] National Association of Realtors (NAR)
7. 厳格な規制環境
最後に、ニューヨークの不動産市場のもう一つの特徴として、厳格な規制環境が挙げられます。これらの規制は、一見すると開発や投資の障壁のように思えるかもしれませんが、実際には不動産価値の安定と向上に寄与しています。
まず、ニューヨーク市の厳格なゾーニング法は、無秩序な開発を防ぎ、既存の不動産価値を保護する役割を果たしています[9] 。例えば、住宅地域に突如として高層ビルが建設されるといったことを防ぐことで、地域の特性や雰囲気を守り、不動産価値の安定性を高めています。
また、高さ制限や容積率規制などの厳格な建築規制も存在します。これらの規制は、新規供給を制限する要因となっており、結果として既存物件の価値を守ることにつながっています。特に、マンハッタンのような高密度な都市部では、これらの規制が新規開発を難しくし、既存物件の希少性を高める効果があります。
さらに、多くの地区で歴史的建造物の保護規制が設けられています。これらの規制は、ニューヨークの街並みの保全に貢献するとともに、歴史的価値のある物件の希少性を高め、その不動産価値の維持・向上につながっています。例えば、グリニッジ・ビレッジやソーホーなどの地区では、この規制によって独特の雰囲気が守られ、それが地域全体の不動産価値を押し上げる要因となっています。
これらの規制は、短期的には開発や投資の制約となる可能性もありますが、長期的には不動産市場の安定性と価値の維持・向上に寄与しています。投資家にとっては、これらの規制を十分に理解し、そのもとでの最適な投資戦略を立てることが重要となります。
引用元: [9] New York City Department of City Planning (DCP)
まとめ
グローバル化が進む現代において、ニューヨークの不動産市場はますますその重要性を増しています。世界経済の中心地として、今後も国内外の投資家を惹きつけ続けるでしょう。
記事をお読みいいただき、ありがとうございました。
100年前も現在も、そして100年後も世界の中心であり続けるニューヨーク。そんなニューヨークでの不動産投資は大きな価値をもたらす可能性があること、ご理解いただけたかと存じます。
当社Reinvent NY Incでは、2019年よりアメリカ進出・移住される個人様、企業様のご支援を続け、ニューヨーク不動産投資のあらゆる側面をサポートする総合的なサービスを提供しています。
当社は、米国系ブローカーCOREと日本人・日本企業で唯一連携し、不動産販売を行っております。
同ブローカーはブティック型で30名ほどの少数先鋭組織でありながら、取引額の大きさはニューヨーク州で5番目である、代表のショーンオッシャーは、ニューヨーク州で昨年販売金額No.1(131,488人の中で1位)の942Mドル(1,450億円ほど)の実績があり、NY州のみならず、全米でも2番目の数字となります。(2022年は5位、同ブローカー内に10位の人間もいます)。当社代表小野寺は、元々同ブローカーに所属しており、彼らと日本人で唯一連携し、ニューヨークローカルと強固なコネクションを持っており、不動産販売にお役立てさせていただきます。
まずは以下フォームより、一度お気軽にご相談をいただけますと幸いです。