【2024年最新版】大企業のための海外進出戦略ガイド、データと事例から学ぶ7つのポイント

2024年10月27日 Satoshi Onodera

【2024年最新版】大企業のための海外進出戦略ガイド、データと事例から学ぶ7つのポイント

皆さん、こんにちは。

当社サイトにご訪問をいただき、また世界中の不動産投資の中からニューヨーク不動産にご関心をいただき、ありがとうございます。

本記事では、大企業のための海外進出戦略ガイド、データと事例から学ぶ7つのポイントというテーマについて記事を執筆させていただきます。

 

最後までお付き合いいただけますと幸いです。

 

はじめに

日本企業の海外進出は、2023年度に過去最高の投資規模を記録しています。

財務省の統計によれば、2023年度の日本企業による対外直接投資額は前年比22.3%増の25.7兆円に達しています[1]。

特に、大企業の動きが顕著で、資本金100億円以上の企業による投資が全体の78.2%を占めています[2]。

 

しかし、海外展開の成功率には依然として課題が残されています。

JETROの2023年度調査では、海外展開に取り組む大企業の47.2%が「期待した成果が得られていない」と回答しています[3]。

本稿では、この現状を踏まえ、大企業の海外進出における実践的な戦略とアプローチについて、具体的な数字とケーススタディを交えながら詳しく説明していきます。

 

引用元:
[1] 財務省「2023年度対外直接投資状況」(2024年3月速報)
[2] 経済産業省「令和5年度海外事業活動基本調査」(2024年2月発表)
[3]  JETRO「2023年度 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」(2023年12月発表)

 

1. 資金力とブランド価値の戦略的活用

大企業の最大の強みは、その豊富な資金力と確立されたブランド価値にあります。

この点で特筆すべき成功例として、ファーストリテイリングのグローバル展開があります。同社は2023年度、海外ユニクロ事業で前年比34.2%増となる1兆8,973億円の売上高を達成しています[4]。

 

とりわけ注目に値するのは、同社の旗艦店戦略です。

2023年にニューヨーク5番街にオープンした旗艦店には約150億円を投資し、初日だけで2.3億円の売上を記録しています。これは既存の米国店舗の月間平均売上高の約3倍に相当する実績となっています[5]。

 

同様の成功例として、資生堂の中国市場戦略も挙げられます。

同社は2019年から2023年までの5年間で、中国市場におけるマーケティング投資に累計約3,000億円を投じています。

この結果、2023年度の中国での売上高は4,200億円(前年比15.2%増)に達し、市場シェアは17.8%で業界第2位の位置を確立しています[6]。

 

引用元:
[4] ファーストリテイリング「2024年度第2四半期 決算短信」
[5] The Wall Street Journal “Uniqlo’s Fifth Avenue Store Sets Record” (March 2024)
[6] 資生堂「2023年度通期決算説明会資料」

 

2. マーケティング戦略と市場分析

味の素のアセアン地域での展開は、市場分析の重要性を示す好例となっています。

同社はグローバル企画部(専任スタッフ約50名)に年間約30億円の市場調査予算を配分し、特にアセアン地域では各国に市場調査専門チーム(計約100名)を配置しています[7]。

 

この徹底的な市場分析アプローチにより、味の素はタイ市場で特筆すべき成果を上げています。

2023年度のタイでの調味料製品シェアは85%に達し、年間売上高は1,200億円を記録しています。現地スーパーマーケットの97.3%に製品を導入するという圧倒的な市場浸透を実現しているのです[8]。

 

引用元:
[7] 味の素「統合報告書2023」
[8] 味の素「2024年度第3四半期決算補足資料」

 

3. 組織改革による意思決定の迅速化

グローバル展開における日本企業の課題として、意思決定の遅さが指摘されています。

BCGの2023年調査によれば、日本の大企業における海外案件の意思決定時間は、欧米企業と比較して平均で1.8倍長いという結果が出ています[9]。

 

この課題に対し、日立製作所は2022年に大胆な組織改革を実施しています。

改革前は投資判断に平均4.2ヶ月を要し、8つの部署による承認が必要でしたが、改革後は最短2週間での判断を可能とし、承認部署も3部署に削減しています。さらに、5億円以下の投資判断権限を現地法人に委譲した結果、インド市場における2023年度の売上高は前年比32%増を達成しています[10]。

 

引用元:
[9] BCG “Global Corporate Decision-Making Survey 2023”
[10] 日立製作所「2023年度第3四半期決算補足資料」

 

4. グローバルサプライチェーンの最適化

トヨタ自動車のTNGA(Toyota New Global Architecture)は、グローバルサプライチェーン改革の成功例として世界的に注目を集めています。

2023年度の実績では、開発期間を従来比40%短縮し、部品の共通化率を65%まで高めることに成功。これにより年間約1,700億円のコスト削減を実現しています[11]。

同社の生産拠点は2020年の67拠点から2023年には75拠点まで拡大し、地域別生産比率は日本32%、アジア24%、北米22%、欧州12%、その他10%という最適なバランスを実現しています[12]。

 

引用元:
[11] トヨタ自動車「サステナビリティデータブック2023」
[12] トヨタ自動車「2024年3月期 決算短信」

 

5. グローバル人材戦略

武田薬品工業のグローバル人材戦略は、日本企業の中でも特に先進的な取り組みとして評価されています。

2024年1月時点で、外国人執行役員比率は75.8%、女性管理職比率は41.2%に達し、80カ国で47,000人の従業員を擁しています。人材育成への投資も積極的で、年間180億円の研修予算を確保しています[13]。

 

引用元:
[13] 武田薬品工業「統合報告書2023」

 

6. リスクマネジメントの高度化

日本製鉄は2023年度、グローバルリスク管理システムの刷新に280億円を投資しています。これにより、世界14カ国に展開する生産拠点のリスクを一元管理し、年間約420億円のリスク関連コストの削減を実現しています[14]。

ソニーグループは2022年より、主要部品の調達先を従来の2社から最低4社に増やす「マルチソース戦略」を展開し、2023年度の部品調達における供給途絶リスクを、金額ベースで前年比65%削減することに成功しています[15]。

 

引用元:
[14] 日本製鉄「2023年度 統合報告書」
[15] ソニーグループ「サステナビリティレポート2023」

 

7. デジタルトランスフォーメーション(DX)の活用

パナソニックホールディングスは2023年度、グローバルITインフラの統合に850億円を投資し、在庫回転率を5.2回転から8.7回転に改善させました。また、本社-現地法人間の決裁時間を平均8日から2日に短縮し、年間のIT運用コストを約280億円削減しています[16]。

 

引用元:
[16] パナソニックホールディングス「2023年度通期決算説明会資料」

 

おわりに

これからのグローバル展開では、デジタル技術の活用やリスク管理の強化がさらに重要になってきます。McKinseyの分析によれば、2024年以降は地政学的リスクの高まりが予想されており[17]、より戦略的なアプローチが求められています。

大企業には、そのリソースを活かした積極的な投資と、迅速な意思決定の両立が求められています。本稿で紹介した事例が、皆様の海外展開戦略の参考になれば幸いです。

 

引用元:
[17] McKinsey & Company “Global Business Trends 2024-2025” (January 2024)

 

 

記事をお読みいいただき、ありがとうございました。

 

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