2026年3月4日 Satoshi Onodera

海外在住でも日本の確定申告が必要なケース|駐在・永住・移住別に解説

アメリカに駐在されている方、あるいは駐在から帰国された方にとって、日米両国の確定申告は避けて通れないテーマです。2026年現在、日米の税務申告義務を正しく理解し、適切に対応できている駐在員は多くありません。

「アメリカに移住・永住しているが、日本の確定申告はもう不要なのか」というご質問は、海外在住の方からよく寄せられます。

2026年現在、海外在住であっても日本の確定申告が必要になるケースは少なくありません。日本に不動産収入・株式配当・年金などの国内源泉所得がある場合や、日本の「非居住者」判定が適用されない場合は申告義務が継続します。駐在員・永住権保有者・移住者それぞれで判定基準が異なります。

本記事では、海外在住者が日本の確定申告をすべきかどうかの判断基準を、状況別に詳しく解説します。

 

1. アメリカの確定申告(Form 1040)の基本

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アメリカでは、暦年(1月1日〜12月31日)の所得に対して、翌年4月15日までに確定申告書を提出する義務があります。駐在員が提出する主な書類はForm 1040(連邦所得税申告書)です。

駐在員の場合、給与所得に加えて、住宅手当や子女教育手当などの福利厚生も課税対象となるケースがあります。日本では非課税の手当であっても、アメリカでは所得として申告が必要な場合があるため注意が必要です。

申告にあたっては、以下の情報・書類が必要です。①W-2フォーム。雇用主から発行される給与所得の年間サマリーです。②1099フォーム。利子所得や投資所得がある場合に発行されます。③SSN(ソーシャルセキュリティーナンバー)。申告者および扶養家族全員分が必要です。SSNがない配偶者はITIN(個人納税者番号)を取得します。

アメリカの所得税全般についてはアメリカ所得税の解説記事もご参照ください。

2. 日米租税条約と二重課税の回避方法

日米間には租税条約が締結されており、同じ所得に対して日米両国で二重に課税されることを防ぐ仕組みが整っています。駐在員がこの恩恵を受けるためには、適切な手続きを行うことが重要です。

 

二重課税を回避する2つの方法

主に2つの方法があります。第一に、外国税額控除(Foreign Tax Credit)です。日本で支払った税金をアメリカの申告時に控除する方法で、Form 1116を使用します。第二に、外国所得除外(Foreign Earned Income Exclusion)です。一定の条件を満たせば、2026年は最大約130,000ドル(約1,950万円)の海外勤労所得を米国の課税所得から除外できます。ただし、この制度は駐在員よりも海外在住の自営業者に適しているケースが多いです。

日米の確定申告スケジュールを比較表にまとめました。

日米確定申告スケジュール比較
項目 アメリカ 日本
課税期間 1月1日〜12月31日 1月1日〜12月31日
申告期限 翌年4月15日 翌年3月15日
延長申請 10月15日まで可能 原則不可
主な申告書 Form 1040 確定申告書B
申告方法 電子申告(e-file)推奨 e-Tax推奨

日米の確定申告における主要スケジュールと申告書の比較

税金全般の情報はアメリカの税金に関する記事でも解説しております。

3. FBAR(海外金融口座報告)の義務と罰則

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駐在員が見落としやすいのがFBAR(Report of Foreign Bank and Financial Accounts)の報告義務です。これは確定申告とは別の報告で、FinCEN(金融犯罪取締ネットワーク)に対して行います。

 

報告義務が発生する条件

年間を通じて、米国外の金融口座の合計残高が1万ドル(約150万円)を一度でも超えた場合、FBARの報告が必要です。日本に銀行口座、証券口座、保険の解約返戻金がある方は、ほぼ確実に該当します。

報告期限は毎年4月15日(自動延長で10月15日)です。報告を怠った場合の罰則は非常に厳しく、故意でない場合でも最大1万ドルの罰金、故意の場合は最大10万ドルまたは口座残高の50%のいずれか大きい方が科されます。

「日本の口座のことは報告しなくていいだろう」と考えてしまう方が少なくありませんが、これは大きなリスクです。IRSは各国の金融機関と情報交換を行っており、未申告が発覚するケースは年々増加しています。

4. 駐在員が使える控除・節税のポイント

アメリカの税制には、駐在員が活用できる控除や節税の仕組みがいくつかあります。知っているか知らないかで税額が大きく変わるポイントです。

標準控除。2026年の標準控除額は単身で約15,000ドル(約225万円)、夫婦合算で約30,000ドル(約450万円)です。②扶養控除。子供一人あたり最大2,000ドルのChild Tax Creditが利用できます。③退職金口座(401k/IRA)。企業が401kプランを提供している場合、拠出額は所得控除の対象となります。④州税がない選択肢。テキサス州やフロリダ州など、州所得税がゼロの州もあります。ニューヨーク州は州・市の税率が高いため、駐在先の選択が可能なら考慮に値します。

一方で、「日本の会社が全部やってくれるから自分では何もしなくていい」と考える方もいます。確かに大企業では税務申告を会計事務所に委託するケースが多いです。しかし、個人の資産状況(日本の口座、不動産、投資)まで会社がカバーしてくれるとは限りません。特にFBARは個人の義務であり、会社任せにできない部分です。

節税対策についてはアメリカの節税に関する記事、駐在生活全般はニューヨーク駐在員ガイドもご参照ください。

まとめ

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アメリカ駐在中の確定申告は、日米両国の制度を理解し、適切に対応することが重要です。特にFBARの報告義務は見落とされがちですが、罰則が非常に厳しいため、心当たりのある方は早急に対応されることをご推奨いたします。

 

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